プロ公式戦初ゴールをマークした佐々木(28番)。ユース時代に培った先輩の茂木(31番)との好連係も見せた。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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 仙台ユース出身で2年目の19歳、佐々木匠が4月12日に行なわれたルヴァンカップ・磐田戦で1ゴール・1アシストの大暴れ! 4月18日・19日に実施されるU-20代表トレーニングキャンプに選外も、「俺はまだ諦めていない」と、気勢を上げた。
 
 7日に行なわれたJ1リーグの6節・浦和戦で0-7の大敗を喫した仙台。惨敗のショックも大きいなかで迎えた12日のYBCルヴァンカップの磐田戦だった。
 
 その立ち上がり、「仙台は0-7の後遺症が大きく、臆病な守備をしてきた」と磐田・名波浩監督も話した通り、相手の勢いに怯んで防戦一方となってしまったが、仙台ユース出身で公式戦初先発のMF佐々木が沈鬱なムードを一変させた。
 
 31分、同じく仙台ユース出身の先輩であるMF茂木駿佑からの縦パスを受けた佐々木は、得意のドリブルで敵陣を切り裂き決定機を作った。
「相手を観察していたら、守備ラインが下がったなと思いました」
 
 鋭い観察眼で磐田の守備の隙を見逃さなかった佐々木は、前半終了間際にもFWクリスランからパスを受け、ドリブル突破からシュートを放つなど存在感を見せた。
 
 後半に入り、迎えた51分。左サイドで茂木からパスを受けた佐々木は、クリスランへのスルーパス。GKと1対1となったクリスランがゴールを決めて先制に成功した。
 
 さらに68分、右サイドで菅井からパスを受けた佐々木は、相手GKの位置を見極め冷静にループシュート。美しい孤を描いたボールがゴール左下隅へ突き刺さり、圧巻の公式戦初ゴールが生まれた。持ち前の足技を存分に見せた佐々木は、この日の全2ゴールに絡む大活躍。2-0の快勝に大きく貢献した。
 
 佐々木の活躍の影には、1年先輩の茂木の存在があった。1点目の起点となり、佐々木と絶妙なコンビネーションを何度も見せた茂木は「匠の良さは僕が一番知っています。どういう形でパスが出てくるか、どういうパスが欲しいかも分かります。ユースの時のようにこのピッチでやれて楽しかったです」とユース時代から培った連係でチームに貢献できたことを喜んだ。
 
 佐々木も「モテくんも良いポジションを取ってくれたので、そこからボールが出てきて前を向けたのは良かったです。ユース時代から2人でチームを引っ張っていたので、良い関係が築けていると思います」と先輩のお膳立てに感謝をしていた。
 U-15年代から年代別代表の常連だった佐々木は、仙台ジュニアからの生え抜き選手ということもあり、トップ昇格1年目から大きな期待をかけられていた。ところが、体調不良や負傷による長期離脱で、昨シーズンのリーグ戦出場は2試合にとどまった。今年3月上旬のU-20日本代表トレーニングキャンプには選出されたが、ここまで公式戦で目立った活躍はできず、磐田戦前に発表されたU-20ワールドカップのメンバー発表前最後となるU-20日本代表トレーニングキャンプのメンバーからも外れた。
 
 一方、対戦相手の磐田からはFW小川航基ら3人が選出されていた。佐々木は彼らに対し、「自分は厳しい状況だと思うので『世界大会、頑張って来いよ』と言いました。でも『俺もまだ諦めてはいないぞ』とも言いました」。このところ遠ざかっていた年代別代表への執念も、この試合の好パフォーマンスにつながった。
 
 仙台サポーターの佐々木への期待は大きい。ゴールを決めた後、佐々木はサポーターに向かって走り絶叫した。
「率直に言うと、すごく不思議な感覚です。小さい頃スタンドで観戦していたので、自分がピッチに立てていることは嬉しいことです。サポーターが生え抜きの僕に期待してくれているのは分かっているので、結果を出すことが一番の恩返しです」
 
 仙台ユースの至宝と呼ばれた男は、ようやくトップでひとつの結果を残した。リーグ戦でも結果を出し続ければ、世界の舞台は自ずと近づいてくるはずだ。
 
取材・文:小林健志(フリーライター)