先日、GoogleがWeb検索およびGoogleニュースにおいて、「ファクトチェック」(事実検証)ラベルの表示を全世界で開始すると発表した。

検索結果に、1つあるいは複数のパブリッククレームに関するファクトチェックが含まれている場合、
・ファクトチェックの観点(内容)
・ファクトチェックを行ったサイト
・その内容が正しい/誤りである/それ以外(部分的に正しい)

これらが表示されるというもの(ただし、該当の検索クエリーの初回に表示される)。

つまり、現状は、すべての検索結果に含まれるコンテンツで表示されるわけではない。
パブリックな問題に対し、第三者の検証機関により検証された結果がある場合にだけ、そのファクトチェックの内容が表示される、ということのようだ。

◎そもそもファクトチェックとは? 広く言われ始めたのは......
ファクトチェックとは、その言葉どおり「ファクト(事実)かどうかをチェックすること」だ。

主に政治的な発言に対し、根拠となるエビデンスなど、その信憑性を評価するというジャーナリズム的な行為を指す。

Googleニュースで導入された大きなきっかけは、2016年の米大統領選だ。
候補者の発言が事実かどうか、ファクトチェッカーと呼ばれる発言を検証する機関・サイトに大きく注目が集まった。

大統領選に決着がついた後も、虚偽ニュースの拡散が結果を左右したのではないかと言った疑念が浮上した。特にGoogle、Facebookなどが批判にさらされ、その対策として両社はファクトチェックの全面的な導入に踏み切ったという経緯がある。

実は、Googleニュースでは、すでにアメリカやイギリスなど一部の国々でファクトチェックが導入されていた。
今回のGoogleの動きは、それをニュース以外にも広く適用し、対象も日本を含む全世界にまで広げ、Web検索の結果表示にも適用するというもの。

◎もはや無視できなくなったフェイクニュース/コンテンツ
こうした流れの背景にはさまざまな理由があるが、1つの側面として

・フェイクニュース/コンテンツが無視できなくなったこと
つまり、
・コンテンツの質を発信元で見極める状況ではなくなったこと

という点が上げられる。

社会のインフラとなったWebは、誰でも気軽に情報を発信できるようになり、ネット上に大量のコンテンツが存在する。「PVを上げる」ためだけのものから、自分の主張だけを述べるものなど、さまざまな目的のさまざまなコンテンツが玉石混交にあふれている。

それだけであれば、以前からも存在しており、今日のように大きな問題に広がることもなかったかもしれない。

だが、ソーシャルネットワークの爆発的な普及で、拡散される情報にバイアスが増幅される仕組みが生まれてしまったのだ。

SNSでは、自分が「いいな」と思う情報や、善意で協力したいと思う情報を簡単に拡散できる。一方、見ている側は、タイムラインやニュースフィードを流れてくる情報に対し、RT数や「いいね」の数が多いこと指針として「信憑性がある」「真実である」と思ってしまう。

厳密には、こうした情報の拡散の中での変移をバイアスというと正確ではないかもしれない。

また、たとえ善意からの拡散であっても、良い結果を生むとはかぎらない。
東日本大震災の際、誤情報の大量RTが大きな混乱を生んだことは、まだ多くの人の記憶にあるだろう。

インターネット、Webのメリットは当初から変わらず「誰もが平等に情報を発信できること」だ。

発信された情報を一元的に評価する存在がないことで、(コンテンツの)受け手側には、ある種のリテラシーも要求されていた。そして、そうしたリテラシーの自浄作用によりバランスを維持してきた。

しかし、いま、その前提が崩れてきたのだとも言える。

以前であれば、Googleに代表される検索エンジンが評価の寄り処ともなっていた(是非はあるが)。だが、キュレーションサイト問題でのSEOのテクニックを駆使する手法などにより、そうした評価システムも突破できることが立証されてしまったことで、正誤の寄り処を見失ってしまったと言える。

今回のファクトチェックは、これまで管理者のいないWebという空間の中を行き交う情報を、正しく交通整理できる仕組みになるのだろうか。

現在、115の第三者機関が参加しているというが、どこまで対応できるのか、まだわからない。
・本当に信用できるのか
・検証機関に誤って「誤り」と誤認されたら?
など、不安もある。

Googleのブログによると、
「これらの事実チェックはGoogleのものではなく、人々がより情報に基づいた判断を下せるように提示されている」

としている。

しかし、ちょっと想像するだけでも、ファクトチェックが大きく広がれば、少なからず混乱は起こるのではないか、という不安は払拭できない。

ただ、明確に一歩、前進することもある。これをきっかけに

「フェイクニュース/コンテンツが無視できなくなった」

という事実を、ユーザーもサービス提供側も、共通の認識として意識するようになることだ。

情報を受け取る側が、しっかり情報源(ファクトチェック元も含めて)を意識することができれば、それが最大の「フェイク」情報を抑止するメリットかもしれない。

ファクトチェックは、Google検索と世界中のニュースで利用可能になりました



大内孝子