「旅行禁止令」直前の3月、済州を出発するクルーズ船=(聯合ニュース)

写真拡大 (全3枚)

【済州聯合ニュース】米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の在韓米軍配備に反発する中国による韓国旅行制限で中国人観光客は引き潮のように去ったが、韓国の代表的な観光地の済州島は活気を失わずにいる。

 韓国人の団体観光客と修学旅行生が増え、東南アジアの観光客も増加しており、現地の業者は歓迎ムードだ。
 中国による韓国への団体旅行の禁止措置は、むしろ済州に投資した中国企業の足かせとなっている。中国企業は大きな損害を受け、その企業が雇用した中国人労働者の大部分が仕事を失った。
 
◇中国人客は昨年比90%急減 韓国人は増加
 今月に入ってから10日現在までに済州を訪れた中国人観光客は45万1827人で、昨年の65万5245人から26.6%減少した。
 韓国旅行商品の販売が全面中断された先月15日から現在までに済州を訪れた中国人観光客は2万5857人だった。1日当たりの平均観光客は994人で、それ以前の平均訪問客5756人に比べ5分の1以下に急減した。昨年の1日当たり平均訪問客の9871人と比べると10分の1程度だ。
 中国人観光客は減少したが、観光客全体は増加した。同期間に韓国人331万7651人、外国人55万8020人の計387万5671人が済州を訪れ、前年の377万4144人から2.7%増えた。外国人は前年比22.8%減少したが、韓国人が同8.7%増加したためだ。
 3月までの統計によると、韓国人のうち個人旅行客は21万1361人、パッケージ旅行客は7万1659人増えた。目的別には休養や観光、親戚を訪問する観光客が増加した。
 また、現在まで204校の生徒約4万8000人が修学旅行で済州を訪れたと集計された。昨年の199校、約4万7000人を上回っている。
 中国人観光客が減少した代わりに香港、シンガポール、マレーシアなど東南アジアと日本の観光客も少しずつ増加した。

◇免税店など大打撃 中国企業は悲鳴
 旅行禁止措置は中国人団体観光客が多く訪れる免税店など、一部の業種に大きな被害を与えている。
 中国人観光客を主な対象にマーケティングを行ってきたロッテ免税店と新羅免税店の売り上げは約40%下落した。これらの市内免税店は各種割引イベントを通じて在庫処分を進めているが、収益性はさらに悪化した。現在の売り上げも実際には「代購」と呼ばれる個人輸入代行業者に依存している。
 2015年7月に市内免税店の事業権を取得した済州観光公社(JTO)免税店の被害は、さらに深刻だ。JTO免税店は昨年2月にソフトオープンし、同年10月に正式オープンしたが、先月になってようやく売り場の整備を完了した。既存の市内免税店の牙城を崩し、ついに中国人団体観光客の呼び込みに成功した矢先に旅行禁止措置の直撃を受け、売り上げは60%程度落ちた。
 リトルチャイナと呼ばれ、中国人観光客でにぎわった済州市の宝健通りだけでなく、済州市の中央地下商店街、城山日出峰などの店舗の売り上げも急減した。賃貸料が高いこれらの地域では、閉店する店舗も出ている。
 旅行禁止措置は中国企業も泣かせている。済州島内の旅行会社326社中、23.9%に当たる78社が中国人が設立した会社だ。このうち済州を訪れる中国人観光客を独占的に誘致していた旅行会社は、社員40人とガイド500人を抱え、子会社や宿泊施設、市内免税店を運営していたが、現在は全て開店休業状態だ。
 この会社は、済州新羅ホテルのカジノを運営する企業の株式も買い入れたが、中国人観光客の減少で大きな損害を被ったと伝えられた。
 中国人が買収したり、賃貸して運営していた観光ホテルやホステル、コンドミニアムなども廃業したり、客室稼働率が急落したりした。中国人対象の飲食店のうち、中国人が経営する店舗も同様の状況だ。
 中国人観光客を狙って乱立した事後免税店のうち半分以上が中国系だ。高麗人参や健康補助食品、化粧品などを主に扱うこれらの免税店も大部分閉店したとされる。
 中国人の観光ガイドも生計に大きな打撃を受けた。済州島内で活動していた中国人観光ガイド800人のうち、60%程度が休業状態だ。
 資格を持たずに観光案内業を行い、問題になっていた無資格ガイド約1000人も観光地から消えた。中国人観光客を対象にした各種免税店やホテル、飲食店などに雇用されていた中国人も職を失っている。

◇韓国の観光業者に活気 市場多角化の機会に
 中国人観光客が消えたことで、韓国の旅行業界が活気を帯びている。中国人観光客で連日満席だったため、航空券の手配が難しかった韓国内の旅行会社は、国内旅行を販売しやすくなった。
 以前は韓国人の観光客が済州旅行をするためには2週間〜1カ月前には航空券を予約しなければならなかったが、現在は前日や当日にも予約可能だ。そのため、韓国内の個人旅行客や家族連れの旅行客が大幅に増加した。また今月から修学旅行シーズンが始まり、中国人観光客の抜けた穴を埋めている。
 済州島を行政区域に持つ済州特別自治道は沈滞した外国人観光市場の活性化のために今月1カ月間、宿泊施設や観光地、土産物店、ゴルフ場、飲食店など630の店舗で最大65%割り引くグランドセールを行い、内需活性化に全力を挙げている。
 同道はこの状況を観光市場の多角化の機会と捉え、外国からの修学旅行団の誘致や民間交流の支援、ビザの免除を活用した中国の個人旅行客の直接誘致に向けマーケティングを強化した。台湾と日本路線の新規就航に向けプロモーションなどの対策も推進する。
 中長期的には日本やアジア市場からのアクセス性向上、オンライン取引プラットフォームの構築、東南アジア諸国の観光通訳案内士養成などに乗り出している。
 加えて、このほどフィリピン航空のチャーター便を誘致した。フィリピン航空はチャーター便を今月から6月14日まで毎週水曜日と土曜日に計21往復運航し、約3000人のフィリピン人観光客が済州を訪れる予定だ。
 アジア最大の格安航空会社(LCC)エアアジアからはマレーシアと済州を結ぶ直行便就航の意向を受け、積極的に支援している。ロシアとベトナムへのマーケティングも強化している。
 同道観光協会の関係者は「主に免税店でショッピングする中国人団体観光客より、韓国内の観光客がたくさん訪れる方が地元の業者は助かる」とし、「この機会に国内の観光客と合わせて、さまざまな国家の観光客誘致に力を入れなければならない」と述べた。
ynhrm@yna.co.kr