2017年のスーパーGT開幕戦が4月8日〜9日に岡山国際サーキットで行なわれた。GT500クラスはレギュレーション変更に伴い、レクサス、日産、ホンダの3メーカーが新マシンを導入。その真の実力が明らかになる1戦ということで例年以上に注目が集まったが、結果的にはシーズン前の予想どおりレクサスLC500勢による独壇場の展開となった。


2017年の開幕戦はLC500が表彰台を独占した 8日に行なわれた公式予選では、途中から雨も降り出すなど突発的なアクシデントが続発。そんな波乱のなかでホンダ陣営の一角、ナンバー8のARTA NSX-GT(野尻智紀/小林崇志)がポールポジションを獲得した。しかし、いざ9日の決勝レースが始まると、8号車をはじめNSX-GTのマシンに次々とトラブルが発生する事態に。レース序盤のわずか6周で4台のNSX-GTマシンがストップした。

 実は前日の予選でMOTUL MUGEN NSX-GTも同じ症状でストップしており、ホンダの佐伯昌浩プロジェクトリーダーによると、原因はすべて同じ電気部品とのこと。2014年〜2016年まで参戦していたNSX CONCEPT-GTのころから使用してきた部品で、今まで一度も壊れたことはなかったが、今回はほぼ同じタイミングで壊れてしまったという。

 一方、シーズン前のテスト時から苦戦を強いられていた日産勢はどうだったか。公式予選では4台全車がトップ8圏内に入れずQ1で脱落。決勝でもレクサスのペースについていくことができなかった。結果、4台ともトップから大きく離されての下位フィニッシュで開幕戦を終えた。

 そんな苦戦するホンダと日産を尻目に、優勝争いを繰り広げたのは6台のレクサス勢だ。スーパーGTではレース結果に応じて、次戦以降に重りを積んで戦う「ウェイトハンデシステム」があるのだが、この開幕戦に関しては全車ウェイトなしでのガチンコ勝負。純粋に速さと強さを証明できるラウンドであるとともに、ここで好結果を残すことで「レクサス陣営のエースは我々だ」というアピールにもなる。

 GT500クラスは「3メーカー間の対決」という図式がある一方、特に開幕戦は「レクサス同士の戦い」という見方も注目される。そういう意味合いもあって、レクサス勢6台はライバルとして一歩も引かない好バトルを展開した。

 そのなかで特筆すべき走りを見せたのは、ナンバー37のKeePer TOM’S LC500の平川亮/ニック・キャシディだ。

 まず見せ場を作ったのは、スーパーGTで2年目となるキャシディ。スタート直後のバックストレートでトップにいたWAKO’S 4CR LC500(大嶋和也)のインに飛び込み首位へと浮上する。オーバーテイクの際にはタイヤをロックさせて、白煙が上がるほどの気迫を見せたキャシディ。「優勝するためにはここがチャンス」だと思っていたという。

「このコースはオーバーテイクをするのが非常に難しい。だから、少しでもチャンスがあればそこに飛び込んでいかないと勝機はなかった。だから仕掛けたよ」と、キャシディはその瞬間を振り返る。

 キャシディは、スタート直後でタイヤが温まっておらず、ライバルも本格的にペースを上げていく前に攻め込んでいった。結果的にこれが流れを呼び込むことになり、レースの主導権を握る。

 この走りについて、レース後半を担当した平川も「このオーバーテイクがハイライトだった」という。

「ポイントはやはりニック(・キャシディ)がスタート直後にうまくパッシングしてトップに立ったことです。それで、そのまま僕もトップでバトンを受けることになりました」とレースを振り返った。

 ただ、キャシディの快走で流れを掴んだ37号車だったが、そう簡単には勝たせてくれないのがスーパーGTである。同じマシンを使う手強いライバルが虎視眈々と逆転を狙ってきた。

 その一番手が、脇坂寿一監督率いるナンバー6のWAKO’S 4CR LC500だ。前半は少し後手の展開となったが、途中のピットインではチームが迅速な作業を見せる。37号車が44.1秒を費やしたのに対し、6号車は41.0秒でピットアウト。スタート直後に抜かれた37号車の前でコースに復帰したのだ。

 しかし、スーパーGTではタイヤウォーマーの使用が禁止されているため、ピットアウト直後はタイヤが適正温度に達しておらずペースを上げられない。彼らより1周前にピットを済ませていた37号車(平川)がすぐに追いつき、一歩も引かないバトルとなった。

 6号車のアンドレア・カルダレッリは100%のパフォーマンスが発揮できない難しい状況のなか、何度か37号車の追撃をしのぐ。しかし、最後はあきらめずにチャンスを探り続けた平川がトップを奪い返した。

 レース途中、ピットストップの関係でau TOM’S LC500に先行を許すも、平川はすぐに抜いてふたたびトップに。その後、KeePer TOM’S LC500はチェッカーまで走り切り、2015年最終戦以来の勝利を挙げるとともに、キャシディにとってはうれしいGT500初優勝となった。

 平川はレース後、「後半用に選んだタイヤがハードすぎてちょっと苦しいところがあり、6号車に迫られました。でも、大きなミスはなかったです。すばらしいクルマを用意してくれたレクサスと、それを仕上げてくれたチーム、いいタイヤを用意してくれたブリヂストン、全員で手に入れた優勝だったと思います」とコメント。その一方で、「本当の戦いはここから」と改めて気を引き締めた。

「開幕戦で優勝できて、一番いいスタートを切ることができました。LC500(レクサス勢)が調子いいので、今のうちにポイントを稼いでおきたいです。これまでは勝つこともあったけど、ポイントを獲りこぼすことも多かったので、今年こそニックと一緒にうまくポイントを獲りこぼさないように戦っていきたいです」(平川)

 次回の第2戦・富士(5月3日〜4日)では規定により40kgのウェイトハンデを背負うことになるが、これまでの平川の経験と冷静なレース運び、加えてキャシディが今回のレースで見せた勢いが次回以降も発揮されれば、岡山で1位から6位まで独占したレクサス陣営のなかでも有力な存在になっていくことは確実だろう。チャンピオン候補の一角として、ライバルからマークされることは間違いなさそうだ。

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