北朝鮮では11日、国会に相当する最高人民会議第13期5次会議が開催された。

韓国の聯合ニュースは、金正日総書記の時代に最高人民会議の代議員を勤めていた脱北者カンさんの話を元に、会議がどのように行われるかを生々しく伝えている。

代議員は会議の始まる15日前に身体検査を受けさせられる。その結果は、最高人民会議に提出され、幹部会議を経て参加を認めるか否かが決められる。心臓病、高血圧、肝炎、結核などの病気が見つかれば、代議員証返納通知書が手渡され、代議員の資格を剥奪される。

代議員は、4日前に平壌に到着する。そして、強心剤を飲まされ、精神安定剤の注射を打たれる。最高指導者を目の当たりにしてショックを受けて倒れるなどの突発状況を防止するための措置だという。また、一度議場に入れば、トイレに行くことは許されないので、水を飲む量を減らすなどの対策をしなければならない。

代議員は発表の内容より、金正日氏がいつ代議員証を掲げて(賛成を意味する)いつ下ろすかということに最も関心を寄せる。そして、議場に入る数時間前から代議員証を掲げて下ろす練習を繰り返す。

一方、黄海道(ファンヘド)の連合企業所の支配人で、12期最高人民会議(2009年〜2014年)の代議員となり、2011年に韓国にやって来た脱北者は、デイリーNKに最高人民会議の様子を次のように語った。

会議の15日前になると、会議に来ていくスーツ、シャツ、ネクタイ、靴、下着が無料で配給される。生地は錦繍山(クムスサン)議事堂経理部が入手し、労働党中央棟の洋服部が生産する。

平壌までの移動手段は鉄道だ。無料の切符が渡され、2人用の1等寝台車があてがわれる。代議員を務めるほどになると自家用車を持っている人も多く、車で行く人も多い。

会議の1日前に平壌に到着し、代議員登録をして座席表を受け取る。宿は羊角島(ヤンガクト)国際ホテルのツインルームで、知らない人と相部屋となる。ホテルでは自由時間もあるが、飲酒は自粛する。

会議が始まる1時間前に、ホテルに錦繍山議事堂経理部所属の送迎バスがやって来る。窓にはスモークフィルムが貼られており、カーテンを閉じた状態で移動する。

このバスは1980年代に在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)から贈られたもので、その数が100台だったため、「100台バス」と呼ばれている。最高指導者が参加する1号行事にだけ使用されている。

万寿台(マンスデ)議事堂に着くと、代議員証の検査を受けて、議場に入る。一般の行事の場合、スケジュールの告知と同時に万歳斉唱の練習をするが、最高人民会議の場合は、厳粛な雰囲気の中で黙ってじっと待つ。

午前9時。最高指導者が姿を現すと、代議員は全員が立ち上がり、大声で万歳を叫ぶ。最高指導者が「やめてよい」と手振りで示したら、席に着く。代議員は、じっと座っているだけで発言権はない。採決の際には、賛成の意思を示すため代議員証を素早く掲げなければならない。

正午になると、常任委員長が休会を宣言する。

金正恩氏が席を立ち、姿が見えなくなるまで万歳を叫び続ける。その後、バスに乗ってホテルに戻り、昼食を取る。

午後の会議は3時から5時までで、終了後には記念写真の撮影がある。翌日、翌々日は各地域や省庁ごとに討議が行われ、業務に関する具体的な指示を受ける。

すべてが終わると、万寿台芸術団の公演を見たり、革命烈士陵を参拝したり、妙香山(ミョヒャンサン)や金剛山(クムガンサン)を観光したりして4日間を過ごす。そして、カラーテレビ、冷蔵庫などの様々なお土産を持たされて、それぞれの地元に帰っていく。