大宮アルディージャが連敗地獄から抜け出せない。

 4月8日に行なわれたJ1第6節。開幕戦から5連敗で最下位に沈む大宮は、首位を走るヴィッセル神戸に0-2で敗れた。開幕以来続く両者の好不調がそのまま色濃く表れた結果、大宮は泥沼の6連敗となった。

 昨季セカンドステージ最終節からの通算では7連敗。クラブワースト記録の8連敗に”王手”がかかってしまっている。


開幕6連敗を喫した大宮アルディージャ「私自身、責任を感じている。申し訳ないのひと言」

 大宮の渋谷洋樹監督は試合後、落胆の色をにじませながら、そう口にした。

 大宮は、2014年シーズンのJ1で16位に終わり、J2降格の憂き目を見た。だが、そのとき――いわば、大宮にとってJ1での過去最悪のシーズン――でさえ、4連敗が最長。同じシーズンで10試合連続未勝利という事態にも陥っているが、その間の成績が4連敗を含む6敗4分けだったことを考えれば、6連敗という数字が、いかに深刻なものであるかの想像がつく。

 6敗目を喫した神戸との試合でも、大宮の元気のなさは明らかだった。

 ボール支配率は互角。だが、パスをつなぐ時間の多くを敵陣で過ごす神戸に対し、大宮は自陣でのパス回しに使う時間が長かった。相手ゴール方向への推進力という点で、現在のチーム状況を表すかのように、両者の間には大きな差があったのだ。

 それでも、自陣の低い位置ながらもコンパクトな守備ブロックを形成し、確実に相手の攻撃を潰していたのなら、まだいい。だが、実際の大宮のディフェンスはあまりにも緩かった。驚くほど簡単にバイタルエリアへパスを通されてしまい、そこからワンツーやDFラインの裏へのスルーパスなど、やられ放題。まるで練習でのミニゲームのごとく、面白いようにゴール前でパスをつながれたのでは、失点するのも時間の問題だった。

 試合序盤こそ、最後の最後でゴール前に人数をかけて、どうにかクロスやシュートを防いではいたが、それだけで90分間持ちこたえるのは無理がある。

 挙句、せっかくのマイボールを、超がつくほどのイージーなパスミスから相手に渡して先制点を献上してしまっては、勝負にならない(DF奥井諒が、自陣で神戸のFW渡邉千真へパスしてしまい、渡邉のクロスをMF中坂勇哉に決められた)。

 また、パスミス自体も大きな問題ではあったが、守備の人数は十分にそろっており、渡邉のクロスを防ぐことは十分可能だったはず。ボールを失ったあとの対応もまた、あまりに緩く、軽かったと言わざるをえない。

 渋谷監督は、「選手個人はよくがんばっているが、チームとして攻守で一体になるところが足りない」と選手をかばったが、その言葉に素直にうなずくのは難しい。

 攻撃にしても、自陣からパスをつないで組み立てようとする意図はうかがえたものの、実際は無為な横パスばかりが目立った。チーム全体の動きが止まった状態で、”バレバレ”の縦パスを入れようとするケースも多く、「(縦パスが)足もとに入ってきたときを狙ってインターセプトできた。(大宮に攻撃を)自由にやらせなかったのではないかと思う」(神戸のDF岩波拓也)となるのも仕方のないことだった。

 これまでの6試合で、大宮のシュート総数はJ1最少タイの39本。1試合平均わずか6.5本という少なさのうえ、試合ごとのシュート数が開幕戦から順に、9、8、8、6、4、4と漸減しているのも気になる。得点になるかどうかの前に、攻撃が完結するところまで至らなくなってきていることを数字が示している。

 攻撃がうまくいかず、縦パスを奪われてはカウンターを受けることが多くなるため、DFラインは押し上げることができない。結果的に中盤を大きく空けることになるため、セカンドボールが拾えない。

 ロングボールやカウンターから、わずかながらチャンスも作ってはいるのだが、いずれも単発に終わり、厚みのある連続攻撃につなげられない理由は、そこにある。渋谷監督も「セカンドボールを拾えなかったことが敗因」と話しているとおりだ。大宮は明らかに悪循環に陥っている。

 連敗が続く状況では、あらゆる意味でテコ入れも必要だろう。もちろん指揮官も手をこまねいて見ているわけではない。神戸戦では、FWドラガン・ムルジャをジョーカーで起用する大胆な策に打って出ている。

 最近の2試合を振り返り、「今までは(先発出場の)ムルジャが(DFラインの)裏に走って、”チャンスは作るが、点は入らず”という形が多かった」と渋谷監督。そこで、神戸戦では「後半のほうがスペースが生まれるので、ムルジャを後半に点を取りにいくためのカードにした」。

 こと攻撃に関しては大黒柱と言っていいエースを、スーパーサブとして使う苦肉の策も、しかし、功を奏すことはなかった。6試合でわずか1点しか取れないのでは、勝ち点3はおろか、勝ち点1さえも程遠い。

 あまりにもミスが目立つ攻撃に、スタンドからは怒気を含んだ嘆息ばかりが漏れた。サポーターがわずかに沸くのは、大宮ユース出身の19歳、MF黒川淳史がボールを持ったときだけというのでは、あまりに寂しすぎる。

 渋谷監督は「次の敗戦は大きなダメージになる」と危機感をあらわにし、「本気になってこの状況を打破するために、我々現場(のスタッフ、選手)が次のゲームへの準備をしなければいけない」と、悲壮な覚悟を口にした。

 と同時に、長年携わってきたクラブの危機的状況に「いろんなことを考えないといけない」と、自らの辞任も選択肢にあることすらにおわせる。

 一昨季はJ2で優勝を果たし、昨季はJ1昇格1年目にして5位へ躍進した大宮。かつてはJ1での残留争いが恒例だったクラブも、上位を争える存在へと着実に変貌を遂げているかに見えた。

 だが、今季は再び一転、上位争いどころか、早くもJ2降格危機の最前線に立たされている。

 これ以上連敗が続けば、選手は自信を失って疑心暗鬼になり、さらなる悪循環に陥りかねない。早く最高の良薬、すなわち勝利がほしいところだが、試合内容から察するに、はたして今の大宮に、効果的な打開策はあるのだろうか。

 上位進出を目論み、新たなシーズンに意気揚々と臨んだはずの大宮を待っていたのは、予期せぬほどに深い深い落とし穴だった。

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