専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第100回

 例えば、あなたが晴れて名門コースのメンバーになったとしましょう。

 そうすると、かねてから思いを寄せていた女優の井川遥のような”ゴルフとハイボールが似合う”大人の女性をそこに連れていって、彼女に倶楽部自慢をしたいと思うわけです。でも案外、それはダメなんです。

 ゴルフの倶楽部というのは、社会的にオープンで、オフィシャルな場所です。だから、いきなり見ず知らずの若い美人さんを連れていったら、もうキャディーさんの間で大騒ぎ。ゴルフどころではありません。

 そもそもゴルフの倶楽部は、家族会員や家族競技などがあって、実にアットホームな場所なんです。そこはみなさんわかっていて、自宅に奥さん以外の彼女を連れてこないのと同じルールにしているんですね。

 どうしても彼女を自分のコースに連れていきたい人は、愛人用コースのメンバーになって、宿付きでしっぽりやるとか。そこまでの甲斐性があって、初めて成立するのが”不倫ゴルフ”なのです。

 というわけで、遊び人のオヤジは、自分の倶楽部以外のところで奔放に遊びます。そのほうが面倒くさくなくて、精神衛生上好ましいのです。

 さて、ゴルフの”オヤジ遊び”と言えば、代表的なのはツアーです。プロもツアーをするなら、アマチュアもツアーをします。

 ただ、アマチュアの”オヤジ・ツアー”はもうエグくて、ここでは詳細を綴れません。おおよそ、昼はおとなしくゴルフをして、夜はネオンきらめく繁華街で大暴れ、という構図ですね。それは、ここ30年くらい変わっていません。夜、ハメを外すための口実、それがゴルフのようです。

 そういうオヤジたちは、若いシロウト娘のゴルフへの勧誘もマメにやって、決して怠ることはありません。SNSでサークルなどを作って、そこで若者を集めて結構楽しんでいるようですよ。

 ただし、SNSによる人集めは、オヤジ自らがやると見苦しさが際立って、みなさん引いてしまいます。そこで、前途有望な若者を見つけ、その人にサークルの運営や幹事をさせて、自分は陰の世話人となっています。実際のところは、名門コースの予約とか、料金の値引き交渉、あるいは取引先からくすねた景品を集めて提供するなど、陰、日向に咲く存在として、大いに活躍しているんですけどね。

 そんなですから、若者の幹事と結託して、コンペの組み合わせなどは思うがまま。気になる女性がいたら、同伴メンバーに加えるのは、お約束です。オヤジは、キャバクラで同伴に慣れていますから、エスコートもお手のものです。

 ここで、オヤジ復権の狼煙(のろし)を上げるべく、ありがたい言葉が登場します。

「オヤジは芝目5割増し」の法則です。

 これは、ゴルフ場で出会ったオヤジは、落ち着きのあるプレーと、紳士的な振る舞いによって”5割アップ”素敵に見える、というものです。

 昔から、旅行中に出会った異性はロケーションがいいのでよく見えるからと「旅目5割増し」とか、カラフルなスキーウェアを着た女性がみんな”原田知世(※)”に見えるからと「ゲレンデ5割増し」とか、言ったものです。そうした法則と一緒ですね。
※バブル時代に大ヒットした映画『私をスキーに連れてって』のヒロイン。

 まあ、そんなわけで、若者の幹事とオヤジ、そしてイキのいい女性2人を交えてのラウンドとなったら、発展途上の若者とオヤジとは、見事なコンストラストをなして「芝目5割増し」効果が炸裂するのです。

 若者がマン振りしてボールを林の中に入れているのに対して、オヤジは軽く振ってフェアウェー。その後も、グリーン周りであくせくする若者を尻目に、2打目をグリーン手前に落として、そこから寄せワンのパー。いやぁ〜、実に渋いですねぇ〜。

 これには、若い女性もオヤジを見直し始めます。さらに、グリーン上でのライン読みでも的確なアドバイスをしてあげれば、”素敵なオジサマ”という印象を植えつけることに成功するでしょう。

 一方、オヤジのほうも「ミニスカ女子10割増し」の法則にやられっ放しです。タイトなミニスカで目の前を歩き回られ、ムチムチの太ももが脳裏から離れず、ノックアウト寸前です。無意識に「ボミちゃ〜ん♪」なんて、口走っていますから。

 そんなこんなで、若者を交えたラウンドは、オヤジにとっては「とても楽しく過ごせました!」という1日となります。

 片や、叩いてばかりの若者幹事は、オヤジにイイトコを取られているように見えますが、アフターゴルフ以降は、往々にして若者のほうが有利になります。というのも、オヤジはゴルフをすると、夜7時以降、すぐに眠くなってパワーが半減してしまうからです。

 若者は、アフターゴルフのためにエネルギーを蓄えておいたフシもあって、オヤジが居眠りしている隙に、女の子にちょっかいを出すんですね。かくして”19番ホール”の攻防は、オヤジは睡魔と闘いながら、元気な若者とデッドヒートを展開していくのです。

 最終的に申せば、これは所詮ゴルフサークルでのお遊びですから、何回もチャンスは到来します。そういう意味では、男性陣はさほどガッツクことはありません。

 逆に万が一、”19番ホール”でチップインバーディーを奪ったりしたら、むしろそれからが大変です。次回以降、毎回同じ女性をエスコートすることになって、新たな出会いは激減します。当然、別の女性をエスコートしたりすれば、揉めるのは必至ですし……。

 サークル活動では、そこら辺の兼ね合いをうまく計算して続けていくことが大切ですね。



若者とオヤジが仲良く楽しむのはなかなか難しいものですが...... 何はともあれ、若者は幹事をやっている手前、プレーフィーの割引は当たり前。会費をうまく浮かせられれば、結構な小遣い稼ぎにもなります。つまり、ゴルフサークルの幹事である若者と、スポンサー的オヤジは、”アリとアリマキ(アブラムシ)”の関係。相互に補完しつつ、芝の上でのお遊びを満喫しているのです。

 30代と50代のグループがいきなり出合うと、互いにけん制し合って仲良しになることはほとんどありません。けど、”若さとパワー”、そして”社会的地位と老獪さ”を認め合えば、素晴らしいチームになることも。漫画『ドラゴンボール』にもあるでしょ、永遠のライバルである悟空とベジータとの合体技”フュージョン”は未曾有のパワーになると。

 まあ、個人的には若い娘と”フュージョン”したいなぁ〜と思う今日この頃ですが……って、結局はそこですか!?

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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