71年連れ添った老夫婦、別の場所にいながら4分差で旅立つ(出典:http://www.mirror.co.uk)

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長年連れ添った夫婦には説明できないほどの強い絆が存在するようだ。それは死を分かつ瞬間まで、物理的な距離など関係なく存在していることを実感させられるようなニュースがこのほど英紙『Mirror』など複数メディアで伝えられた。

英レスターシャー州のある老夫婦が、わずか4分差でこの世を去った。2人はそれぞれ5kmほど離れた先で息を引き取ったのだが、71年間連れ添った夫婦にとって最期まで息の合った旅立ちとなった。

ウィルフ・ラッセルさん(93歳)は18歳の時に、16歳だったヴェラさん(91歳)と知り合った。2人はウィルフさんが英国空軍に所属して第2次世界大戦中に北アフリカとイタリアに赴く前に婚約し、帰還後に結婚した。

その後、ウィルフさんはウエスト・ミッドランズでエンジニアとして働きながらヴェラさんとの間に3人のピーターさん、コリンさん、ギャリーさんという子供を授かった。残念ながらギャリーさんは神経疾患の難病とされる“多発性硬化症”で30代にして他界してしまったが、5人の孫と7人のひ孫、さらに2人の玄孫に恵まれ、10年前には息子ピーターさん家族が暮らす同州オードビーへ引っ越し幸せな余生を送っていた。

しかし1年前からウィルフさんは認知症を患い、介護施設への入所を余儀なくされた。

ウィルフさんのもとを訪れていたヴェラさんだったがある日、妻の顔を認識できなくなった夫にショックを受けて臥せることが多くなったという。

ピーターさんの娘であるステファニー・ウェルチさんが3月26日に祖母ヴェラさんが入院した病院を訪れたところ、ヴェラさんは目を開けて「ウィルフはどこ?」と聞いてきた。そしてヴェラさんは「私たち、お似合いの2人でしょ」と口にしたそうだが、それがステファニーさんが聞いたヴェラさんの最後の言葉となってしまった。

3月29日のこと、ウィルフさんはウィグストンにあるマグナ老人介護施設で午前6時50分に息を引き取った。そして4分後、夫の旅立ちを待っていたかのようにヴェラさんはウィルフさんがいた施設から4.8km離れたレスター・ロイヤル・インファーマリーで亡くなった。

ヴェラさんは、ウィルフさんが息を引き取ったことを知らずにいたそうだが、わずか4分差で2人が申し合わせたように旅立ったことは驚かずにはいられない。ステファニーさんは生前の祖父母を振り返りこのように語っている。

「祖父と祖母は多くの共通の趣味を持ち、祖父が施設に入所するまでは一夜たりとも離れたことがなかったほどです。家庭的で、物を大切にして古くなったり壊れた物でも新しく買い替えるよりも何か月もかけて修理してまた使うというような夫婦でした。祖父はいつも祖母の尻に敷かれていたのですが、結局はそれが夫婦を長続きさせる秘訣だったのかも知れません。」

この世には、科学では決して証明できない不思議な出来事が存在する。互いに別の場所にいながらも、たった4分差で夫婦仲良く連れ添って旅立ったウィルフさんとヴェラさんにも、きっとそうした力が働いたのではないだろうか。

出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)