「WORKSTYLING 汐留」は2017年4月6日に三井不動産がオープンした"多拠点型シェアオフィス"の1拠点です。「1店舗」ではなく「1拠点」という表現に少し違和感を感じるかもしれませんが、多拠点型シェアオフィスという新しい形のサービスコンセプトを踏まえると、この表現が適切です。

このサービスは「複数のシェアオフィスをどれでも自由に使えるようになる」という点が最大の特徴です。「今日は、どこに出社しよう。」というキャッチフレーズは、多拠点型シェアオフィスでできることを端的に言い表しています。

170407_workstyling_2.jpgWORKSTYLING 汐留のエントランス。コンシェルジュが常駐。以下、写真はすべて同拠点のもの。


大きな特徴として、法人向けサービスであるという点が挙げられます。個人では利用できませんが、法人向けということで施設は内装から設備まで非常にしっかりしています。


170407_workstyling_3.jpg囲炉裏をあしらったモダンなオープンスペース。


しかし、多拠点型オフィスというサービスの独自性は内装や設備にあるのではありません。

今回は汐留にあるWORKSTYLINGを取材しましたが、WORKSTYLINGは八重洲・渋谷・新宿・池袋・横浜など、首都圏10カ所に展開されており、契約した企業の社員はそのすべてを自由に使えるようになります。実態としては「WORKSTYLINGと契約した企業は、使えるオフィスが10増える」といったほうが近いでしょう。

170407_workstyling_4.jpg個室スペースもあり、PCや電源はもちろん完備。


ひとつひとつの拠点はそれぞれ違うデザインコンセプトを持ち、イノベーションを創出する場となるオープンタイプのシェアオフィスとなっているのも魅力的ではありますが、本質的に重要なのは各拠点の立地です。

拠点はいずれもビジネスの要衝である首都圏ターミナル駅付近にオープンしています。社用で外出する場合、WORKSTYLINGの近くにある他社オフィスやイベント会場、官庁に行く場合が多いでしょうから、10あるWORKSTYLINGの1つを選んで出社できるなら通勤時間や移動時間を圧縮できるでしょう。


170407_workstyling_5.jpg和風の会議室。


具体的には、次のような使い方が挙げられます。

一時出社:通勤ラッシュを避け、WORSTYLINGに一時的に出社。混雑が収まってから本社に出社する通勤時間の圧縮:外出の予定やプライベートの用事に合わせて、常に一番交通の便の良いオフィスを利用できる業務での利用:たとえば、「汐留でイベントを開くから、ポップやノボリ、プライズをWORKSTYLING 汐留に発送。設営時にそこから運ぶ」といった使い方もできる

WORKSTYLINGはそのコンセプト上、出社をなくすサービスではありません。むしろ、出社するのは前提であり、その中で企業が社員の働き方の自由度を上げるためのサービスであり、今の働き方と新しい働き方の橋渡しをする形になっています。

上記の利用例からも一目瞭然ですが、企業がWORKSTYLINGと契約し社員にその利用を認めるということは、働き方改革を実行段階に移す決意をしたということになるでしょう。事実、味の素、コクヨ、資生堂、富士ゼロックスといった企業がすでにWORKSTYLINGを利用して働き方改革を実践していくことを決めています。


170407_workstyling_6.jpgWORKSTYLING 汐留は新橋駅のすぐそばにあり、和風会議室の窓からはゆりかもめに向かうペデストリアンデッキが見える。


WORKSTYLINGには会議室やネット回線、電源といった誰にとっても必要な設備はもちろんのこと、勤怠管理システムや機密書類溶解槽も用意されており、企業が働き方改革を実行するにあたって課題となる労働管理やセキュリティをカバーしています。

実際に利用する人への配慮も十分で、入退館も会議室の利用申請も専用アプリを利用して、スマートフォン1つでできるようになっています。


170407_workstyling_7.jpgもともとあった飲食店をデザインを継承しながら改装したため、まるで会食などに使う個室の雰囲気。


まとめるなら、多拠点型シェアオフィスとは企業のオフィスを増やし、増えたオフィスから社員が働く場所を選べるようになるサービスということになります。社員は自分のスケジュールや都合に合わせてベストなオフィスを選び、業務の効率化やオンタイムからオフタイムへのシームレスな移行などに役立てることができるのです。

とはいえ、今までライフハッカー[日本版]で紹介してきた完全リモートワークと比べれば、「オフィスに出ること」を前提にしている以上、WORKSTYLINGが実現する社員の自由度は高くありません。


workstyling.jpg WORKSTYLINGは現在、首都圏に10拠点をオープンするとともに、首都圏郊外(立川)や地方大都市(名古屋、福岡、仙台、広島など)への展開を計画中。本記事では首都圏の企業の利用を想定して紹介したが、地方に本社を構える企業の首都圏進出の足場としてのニーズもすでにあるという。


働き方改革の現状を考えると、それは悪いことではありません。出社をなくさない多拠点型オフィスというサービスは、働き方改革を実行できずにいる企業にとっては極めて現実的な選択肢になるでしょう。

今、働き方改革は実行段階──すでにある先進的な事例や知見をどう普及させていくかというフェーズに入ったと考えられています。すでに完全リモートワークを実現した企業などでは、この段階で試行錯誤と議論を繰り返した上で、最適な制度を作り上げていっています。多くの企業に必要なのは「改革を実践してみること」なのです。

しかし、いきなり完全リモートワークを導入するのは難しいでしょうし、業態に合わないという会社もあるかもしれません。そんな中で、WORKSTYLINGは「オフィスが増える」というサービスであり、仮に本社のオフィスにいなくても、社員は別なオフィスには出社しているという形になります。会社は社員を管理できるのに、社員は自由になれてしまう。

多拠点型シェアオフィス「WORKSTYLING」は導入すれば働き方改革が始まってしまう法人サービスなのです。このサービスによって「今日は、どのオフィスに出社しようか。」と考えられる人が増えたとすれば、それは働き方改革の大きな前進につながるはずです。


WORKSTYLING

(神山拓生)