植物療法家が教える、豊かな香りのあるライフスタイルの創り方

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植物由来の香りがもたらす心とからだへの影響が着目され、ヘルスケア分野において期待がますます高まっています。それは変化の激しい時代の流れのなか、わたしたちの最も原始的な感覚である嗅覚が“心とからだの心地よさ”を本能的に求めているとも言えるのではないでしょうか。

今回は、ナチュラルライフを楽しむ植物療法家(※)であり、NPO法人日本メディカルハーブ協会認定ハーバルセラピストである筆者が、自然界の植物の香りを健やかな暮らしのために活用するアロマセラピーについてご紹介します。

※ 植物療法とは、植物の花、葉、根、実、種などを自然治癒力を高めるために暮らしに活用し、心身の健康を維持する方法。

何千万年もの進化を経て生み出された“エッセンシャルオイル”

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フレッシュな柑橘の香り、うっとりするような芳しい花の香り、大地を感じ深みのある樹木の香り。わたしたちは自然の香りに心が安らぎ、からだが緩んでいくのを感じます。けれども、植物はきっと人間のために香りを創り出しているのではないでしょう。その芳香は植物が自らのいのちを全うするための一つの術に過ぎません。種が落ちたその場所で生きる植物が、子孫繁栄や自己防御のために身に着けた知恵であると言われています。

植物の香りを抽出したものを“エッセンシャルオイル(精油)”と呼びます。“エッセンス(essence)=本質”という言葉が示すように、エッセンシャルオイルは何千万年もの進化の時を経て生み出された植物の生命力の賜物なのです。

心身の調和をもたらすアロマセラピー

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花、葉、果実、樹木、根など、植物の香りは個性豊か。ひとつの香りに寄り添ってみると、一瞬にして心の緊張が解かれ、感情や記憶が穏やかに揺り動かされます。

精神神経医学、心身医学の一分野である精神神経免疫学において明らかになっているように、心の安定は免疫系、自律神経系、内分泌系の働きに好影響を与え、心身の調和を導きます。だから人間の嗅覚を通して本能に真っすぐ届く植物の香りは、わたしたちの自然治癒力を高めるスイッチのようなものになるのです。

植物の香り(エッセンシャルオイル)は、心理作用のほかに生理作用、薬理作用、抗菌・抗ウイルス作用などさまざまな働きを持ちます。これらを相乗的に得ることによって心身の健やかさを保つ方法がアロマセラピーです。

自分の状態によって香りを選ぶ

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植物が生きてきたストーリーを想像すれば、香りの凝集物である1滴のエッセンシャルがどんなに貴重なものかお分かりいただけるでしょうか。

アロマディフューザーなどで部屋中に芳香を継続的に満たす使い方がよく知られています。しかし、まずは心とからだが求める香りと出会い、ほんの1滴をティッシュに垂らし感覚を研ぎ澄ませてみましょう。心地よい香りが繊細かつパワフルにわたしたちに響きわたってくるのを感じるはずです。

たとえばユーカリ(Eucaryptus radiata)の葉のスーっとからだに入り込んでくる鮮やかな香りは、深呼吸を自然と促してくれます。朝起きたら自分自身の呼吸のリズムを確かめ、太陽の光とともに新しいエネルギーを取り込んで。

静かな夜を過ごしたいときは、フランキンセンス(Boswellia carterii)。樹木のしっとりとした大らかな香りが、どんな自分をも温かく包み込んでくれるようです。さらにベルガモット(Citrus bergamia)やラベンダー(Lavandula officinalis)と組み合わせれば、心地よい眠りを期待できます。

セルフケアとして実践できるというのがアロマセラピーの利点のひとつです。ご家庭で、ご自身の手によって、日常的に心とからだのお手入れとして役立てることができます。

植物の香りに触れることは、内なる野性を目覚めさせ、心もからだも均衡のとれたナチュラルな状態を取り戻す機会になります。何よりもご自身の感覚を頼りに、心とからだが喜ぶ香りを見つけ、自分らしさを保つことのできるライフスタイルをつくってみてはいかがでしょうか。

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※ I’m friday , Amawasri Pakdara , nadtochiy / shutterstock

【筆者略歴】

秋山真理子

植物療法家。メディカルハーブ、アロマセラピー、フラワーエッセンスの普及と教育活動を行う。「心・からだ・魂の調和=真の健やかさ」を軸に、家庭のセルフケアの知恵を学ぶ自然療法スクールを主宰。