<「私の大統領就任式の参加者は史上最大だった」に始まり最近の「ヒトラーでさえ化学兵器を使わなかった」まで、平気で嘘を振りまくトランプとそのスタッフに対抗するため、アメリカのテレビ局が嘘つくそばからテロップで真実を流し始めた>

偽ニュースやオルタナティブ・ファクト(もう1つの事実)があふれて何が本当かわからない世の中で、テレビ画面の下に流れるテロップが重要な役割を果たし始めている。ドナルド・トランプが大統領のアメリカで、テロップが嘘を暴いてくれるようになったのだ。

テロップを流すのは、テレビ局のスタジオでニュース画面をフォローする技術系スタッフやプロデュサーのアシスタント。政治家やスタッフが嘘をついたり事実を歪曲したりすれば、彼らがリアルタイムで誤りを正す。

たとえば11日にホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官が、シリアのアサド政権が民間人を標的に化学兵器を使用したとされる問題に関連して、「ヒトラーでさえ化学兵器を使わなかった」と発言して世界を驚愕させたとき。米MSNBCのスタッフはすぐにテロップで「ヒトラーはガス室で何百万人も殺害した」と流した。ホワイトハウス報道官の発言と同時に「こいつはほら吹き」という字幕を入れるようなものだ。

「ヒトラーでさえ化学兵器は使わなかった」というスパイサーの言葉の後ろに(ヒトラーはガス室で数百万人を殺した)と訂正がある

スパイサーの大失言はその発言を一刀両断するテロップが写った画面の画像とともに瞬く間にインターネットで拡散し、世界中の人権活動家や団体は今度こそ彼をクビにすべきだと怒り狂った。

テロップが大活躍するトランプ政権

各テレビ局は市民が偽情報を事実と受けとめないようにするため、トランプ政権が発信する偽ニュースをテロップで訂正し始めた。例えば、これまでテロ事件を十分報じてこなかったとホワイトハウスから名指しで批判されたCNNは、実際には「多くのテロを取り上げてきた」と反論のテロップを流した。

トランプ大統領就任以前からその発言を訂正するおびただしい数のテロップを流してきたCNNは、トランプから毛嫌いされている。

2017年の今、テロップによるファクトチェックは視聴者が騙されないようにするために不可欠な存在だろう。

テレビでしゃべる政治家は、もっと慎重に言葉を選らんだほうがいいかもしれない。下手なことを言うと、誤りを指摘するテロップが顔の真下に出てしまうのだから。

クリス・リオッタ