電子タバコがカオス化している?受動喫煙だけじゃない、非喫煙者も喫煙者も困惑する問題とは

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ここ数年、喫煙の副流煙による受動喫煙が与える健康被害が問題になっており、禁煙エリアは拡大している。
こうした非喫煙者への健康に配慮して、日本国内においても急速に「電子タバコ」が普及している。

非喫煙者や、喫煙者であっても従来の紙巻きタバコ以外には興味がないという人にとって、この電子タバコの登場と、急速な拡大には、驚きと戸惑いがある。

さらに現在は、電子タバコ市場は、単に従来の紙巻きタバコとは異なる存在へと変化しつつあるのをご存じだろうか?

■そもそも電子タバコとは?
電子タバコとは、乾燥葉や液体を過熱して霧状化する装置で、利用者は発生した蒸気を吸入する。
従来の紙巻きタバコを英語でシガレット(cigarette)と呼んでいたのに対し、電子タバコは蒸気を吸入するという意味でヴェイプ(vape)と呼ばれているのは、こうした違いがあるからだ。

実は、電子タバコに使われているリキッドには、必ずしもニコチンが含まれている必要はない。
このことが、電子タバコの存在を、わかりにくくしている原因にもなっているのだ。

リキッドにニコチンを含む電子タバコを国内で販売、流通させるためには、厚生労働省による承認が必要になるため、かなり参入のハードルは高くなる。
現在、市場で出回っているフィリップモリスの「iQOS(アイコス)」や、JTの「Ploom TECH(プルーム・テック)」などは、実は「パイプたばこ」として財務省管轄で認可を得ている製品で、厳密には厚生労働省認可の電子タバコには該当しないのだ。

これらは、
・ニコチンを摂取できること
・財務省管轄での認可を得ていること
などから、電子タバコの仕組みを持っていながら、従来の紙巻きタバコに近い存在とも言えるだろう。

さらに混乱を招くのが、ニコチンを含まない電子タバコだ。

ニコチンを含まない電子タバコは、現時点で厚生労働省の認可を得る必要なく販売できるからだ。
そもそもニコチンを含まないものを「タバコ」と呼べるのか? という疑問もある。
しかし、それ以上に、見ただけでは、
・ニコチンを含む電子タバコ
・ニコチンを含まない電子タバコ
この区別ができないということだ。

電子タバコは、法的な整備や管理が確立するまえに、商品が登場し、市場がスタートしてしまったこともあり、既に「電子タバコ」そのものの定義が曖昧な状況になっているというのが実情だろう。

■ニコチンを含む製品とそうでない製品
「ニコチン(を含む)」というのは電子タバコを定義するうえで、ひとつの大きなキーワードだ。

というのも前述の通り、
国内では、「iQOS」や「Ploom TECH」は、ニコチンを含む電子タバコとして販売、利用されている。
一方で、ニコチンを含まない電子タバコ製品も急速に増えているためだ。

このニコチンやタールが含まれていない電子タバコは、「フレーバー」「タバコフレーバー」と呼ばれている。

ニコチンを含む電子タバコは、従来のタバコの置きかえ製品といってもよい。
しかし、ニコチンを含まないフレーバー製品は、従来のタバコとは、まったく異なる「禁煙グッズ」としての側面を持ち、注目を集める存在となっている。

このことが、電子タバコの状況を、さらにわかりにくくしている要因でもある。

・タバコの置きかえであるニコチンを含む電子タバコ
・タバコを止める禁煙グッズとしてのニコチンを含まない電子タバコ
この2つは、吸っているところを他者が見ても、その違いは、まったく分からないからだ。

■電子タバコが抱える問題
これまでの紙巻きタバコは、
・ニコチンやタールなどの有害な要素による喫煙者の健康被害
・受動喫煙による健康被害
・火事や出火などでの火元となる危険性
・タバコ特有のニオイによる不快感
など、非喫煙者や喫煙者ともに、問題点を明確に認識することができた。

しかし、電子タバコでは、上記のような問題点が、非常に不明瞭になっている。
例えば、ニオイによる不快感については、

ニコチンを含む電子タバコは、「iQOS」では、わずかに独特なニオイがあるものの、従来の紙巻タバコに比べれば、だれも不快と感じるほどではなく、かなり軽減されている。「Ploom TECH」はほぼ無臭だ。

一方、フレーバー製品は、ニコチンやタールなどの有害な要素は含まないが、さまざまな風味を楽しむために、逆にタバコとはまったく異なるニオイが強く出るものもある。

副流煙による影響では、
いずれの製品でも、蒸気を吸引するため、紙巻きタバコのような副流煙による受動喫煙も現時点では認められていない。

つまり、禁煙場所で吸引しても問題はないという判断ができる。
しかし、非喫煙者から見れば「タバコ(ニコチンの有無)なのかそうでないのか」の判断は難しい。

とくに非喫煙者は、過去の習慣から「人がクチから煙(のようなもの)を吐いている」という状況だけで不快感を覚える人も少なくないだろう。

現在、喫煙者も、その点は大きく意識している点のようで、たとえ、受動喫煙が認められていないとしても、喫煙所でないところで電子タバコを吸うことに抵抗を持つ人も多い。

しかし、喫煙所で受動喫煙による影響を改善した電子タバコを吸うのもおかしな話だ。
ましてや、ニコチンを含まないフレーバー製品ともなれば、電子タバコ利用者が受動喫煙の影響をうけてしまうので、なおさらだ。

筆者も実際に、電子タバコやフレーバー製品を利用してみて感じたのが、
「街中ではどこで吸えばいいのか」
これが、もっとも迷い、戸惑うところだった。

結果「喫煙所の近くで吸う」という、謎の行動に落ち着きざるを得なかった。

店舗などの対応をみても、戸惑いは顕著である。
・全席禁煙でありながら、電子タバコの利用は許可している
・全席禁煙なので、電子タバコの利用は許可しない
など、様々だ。
ただ、やはり非喫煙者からの反発の声から、現時点では圧倒的に電子タバコも喫煙とみなし、利用を許可しないケースのほうが多いようだ。

電子タバコは、従来の紙巻きタバコのおける問題点は、解消・軽減されている。
本来であれば電子タバコは、喫煙者・非喫煙者の両者にとってメリットとなる可能性があるが、
一方で、歴史の浅い電子タバコが「本当に危険性がないのか?」という問題については、まだ十分な検討が行われていないという面もある。

法整備や環境整備がくれれば、電子タバコをめぐる混乱は増えていくかも知れない。


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