21歳の時、宇宙旅行会社をつくりたいと自衛隊を辞め、起業家となったHotSprings株式会社 代表取締役 永井 宏樹氏。異色な経歴を持つ永井氏に光線銃開発の秘話や、光線銃の持つ可能性を聞いた。

―オリジナルの光線銃企画から、制作・生産まで行っているとのことですが、なぜ光線銃を開発しようと思ったのでしょうか?

HotSprings株式会社 永井 宏樹(以下、永井)
元自衛官というところで、まずは自分の身近な元自衛官という立場をつかって、自衛隊員を幸せにしようと装備品の開発を立ち上げたのが会社の始まりです。初めは装備品の開発を行っていたのですが、現役の自衛隊員から女性との出会いが欲しいとの要望があり、そこから自衛官向けの婚活パーティの企画をはじめました。そこで1つわかったことがあって、婚活パーティーにきてしゃべることができる隊員は無事ゴールインできるのですが、中には、国防の礎になって、国に人生を捧げますというような口下手な隊員が5割くらいいるんです。その人たちは、婚活パーティに来ても何も話さずに終わってしまうんです 笑これは何とかしなきゃいけないということで、当時、流行り始めていたサバイバルゲームをやる婚活パーティーを企画してみたんですね。結果、自衛隊員からは大好評だったのですが、女性から大不評をくらいまして(笑)。気合を入れてきた女性は、いきなり廃墟に連れてかれるは、汗で化粧は落ちるは、BB弾は痛いはで(笑)。そこで、ホテル会場などのきれいな場所でもできるようにするにはどうしたらいいかと考えていたところ、光線銃ならばどこでもできると気づいて、早速開発してみたんです。これが光線銃開発の秘話です。

―光線銃を開発する上で、特にこだわった点はありますか?

永井
もともと自衛隊にいたので、やはりこだわった部分は、飛距離ですね。コンバットレンジと同じくらいの飛距離があるものにしたいなと。普通のエアーガンだと飛距離はせいぜい50m程度なので。当時たまたま、光は数km先まで届くという論文をみつけて、スナイパーと同程度の飛距離200mくらいの光線銃があったら面白いんじゃないかということで、作ってみたらホントに届いてしまいました。

―光線銃の開発期間、開発費用ってどれくらいかかっているんでしょうか?

永井
開発には1年弱かかりましたね。試作機は10機以上作りました。開発費は…300万いや500万以上かかっているんじゃないでしょうか…。

―最近ですとVRやARでシューティングゲームを体験できる施設なども増えてきていますが、VRやARと比べたときの赤外線銃の強みってどんなところですか?

永井
高耐久性、高回転率なのが光線銃の強みだと考えています。VRだと機器の設置、説明、スタート、その他にも様々なオペレーションが必要になってくるので、だいたい一回転15分くらいかかるんじゃないでしょうか。その点、光線銃だとボタンの説明、ルール説明、プレイ時間で、だいたい5分くらいで1回転が終わります。また予算が少ない場合でも、あるものを使って、ちょっとした工夫をすれば、ある程度世界観が作れるというのも強みじゃないでしょうか。もちろん、没入感とかそういったものに関してはVRやARには勝てませんが(笑)。実際にモノを持ったり、そこで感じる匂いや、人の鬼気迫る緊迫感など、リアルに感じるものを大切にした世界観の演出、低予算で、どこまで人々をワクワクさせられるかということをコンセプトにしています。

―今まで、様々なイベントに出店してきたとのことですが、今後はどのように展開していく予定でしょうか?

永井
2017年は月1ペースで全国のアミューズメント施設へ出店していく予定です。また、アミューズメント施設への出店だけでなく、光線銃を媒介として、自衛隊式のチームビルディングの方法などを企業向けへの研修としてスタートさせています。サバイバルゲームを通して、自衛隊式のチームビルディングやPDCAを経験してもらうというコンセプトとなっています。今年から来年の二月にかけてはこういった活動を通して光線銃の面白さをみなさんに伝えて行く予定です。また、既に光線銃の第二世代機の開発が終わっていて、実用化に向けて動いています。第二世代機は、スマートフォンと連動していて、スマホゲームや家庭用ゲームで遊んだゲームのステータスを光線銃にダウンロードできるようになっています。今までの光線銃では、当たったのか当たらなかったのかなどがわからなかったのですが、すべてスマートフォンで処理するので、頭に命中したとか、腕に命中したとか自分のHPなどがわかるようになります。また、ジオロケーションを利用し、自分の位置情報を出して、たとえば公園とかを戦場にして、敵を倒したり、友達と戦ったりして、そこで得た経験値をそのまま普段遊んでいるゲームに反映することができる。今までゲームの世界だけで終わっていたものが、リアルの世界で、自分が主人公になって、友達とかと協力したりして楽しむことができるようになります。ゲームの世界だけで終わっていたものをリアルの世界に持ち込んで、遊びの流れをゲーム内だけで完結させずにリアルの世界へつなげる。このプラットフォームを2020年までに実現したいと考えています。

―最後に永井さんが考える赤外線銃の魅力とはなんですか?

永井
人種・性別・体格・年齢関係なく平等に遊べることですね。光線銃は射程距離をとれるので、年齢・性別・体格のハンデを気にせず、フラットに遊べる、みんなが平等なルールで遊べる、子供もお年寄りも一緒になって遊べるのが光線銃の魅力だと思っています。

―光線銃の秘話から、永井さんの描く次世代の遊びについて色々とお話をお聞かせいただきありがとうございました。野外でも室内でも楽しめる光線銃、今後の展開がとても楽しみです。