photo by  thierry ehrmann via flickr(CC BY 2.0)

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「世界で一番貧しい大統領」として親しまれたスペイン・バスク人を先祖に持つウルグアイのホセ・ムヒカが大統領として執務中の2013年7月に下院そして12月に、上院で大麻の栽培と販売を合法化する法案が賛成多数で可決した。

 そして、いよいよ今年7月からまず16か所の薬局で大麻が販売されることになるのである。

 ムヒカが大麻の販売を容認する考えを持ったのは、彼がゲリラ活動に参加して逮捕され、途中2回の脱走を含め15年間刑務所生活を送っていた時であった。そこでは、3分の1の囚人は麻薬に関係した罪で収監されていたのを観察したのであった。麻薬組織のメンバーが麻薬密売人として社会に暴力をまき散らし麻薬を販売して治安の安全が脅かされるのを危惧していた。そこで、ムヒカが実験的な試みとして決めたのが、麻薬の栽培及び販売を合法化することにであった。

 その為の法案には3つの手段を設けた。一つは、一人当たり年間で最大480グラムに相当するだけの大麻の栽培を許可すること。二つ目には、クラブ組織としてだと99本の大麻草の栽培が許される。そして、三つ目としてこれまで実施が遅れていたのが薬局での大麻の販売である。

◆麻薬組織が薬局を脅す

 人口340万人のウルグアイには<1200店の薬局が存在している>という。その中で、大麻の販売に関心を表明した薬局は当初<50店だけだった>という。関心を示した薬局が少ない理由として次の三つを挙げている。<大麻を販売している薬局だとして世間で余り良い印象を与えない>。ウルグアイ薬局センターのホルヘ・スアレス会長が述べているように、<「薬局は治療する為であって、病気になる為ではない」>という考えに基づいているという考え方。更に、ウルグアイ薬局組合のゴンサロ・ミランダ会長のように<麻薬組織から脅迫された>という指摘からである。(参照:「Unir Revista」)

 こうした麻薬組織からの脅迫は、2015年3月に大統領に就任した医師出身のタバレ・バスケスが薬局での大麻の販売に余り乗り気ではない背景にも存在している。彼が大麻販売に乗り気でない理由として本人が挙げているのは<「ある薬局で大麻の販売が好調だった場合に、その薬局の地域を管轄している麻薬組織は自分たちのビジネスを奪ったとして、その薬局の主に、『今後も販売を続けるのであれば、店に火をけるか、事故が起きるようにしてやる』と脅すようになる可能性があるからだ」>と国営テレビのインタビューに答えているのだ。(参照:「Canamo」)

 ちなみに、バスケス大統領のこうした姿勢は、いまいち国民から支持されていないという結果に繋がっている。仮に前政権が決めた法案だとしても、それを貫徹させるべく、麻薬組織の脅威から薬局の安全を断固守るという決意に欠けるといった点が、国家指導者として優柔不断であると見られているのである。

 そして、彼は市民の立場に立っての政治が出来ないというふうにも見られている。

 この2点がムヒカ前大統領と比較した時に両者の政権に取り組む姿勢の違いである。ムヒカは15年間刑務所で人生を送っているという経験から、南アのマンデラと同じように、無欲で度胸が据わっているのであろう。そして、物事の本質を見抜くことに卓越していることが彼をして国家指導者として世界から認められる政治家となったのであろう。

 今のところ、大麻の販売が認可される薬局は全国で16店となっている。それに、15店が近く追加認可されることになっているという。価格は統一価格で1グラム当たり1.30ドル。販売の単位は5グラムと10グラム。18歳以上の大人一人当たり毎週10グラムが購入できる。そして、ひと月40グラムの購入が認められている。