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■いたちごっこを繰り返してきたドーピング ドーピングとは、使用が禁止されている薬物を使用し、能力を高めるために行われる行為で、スポーツ界ではほとんどの競技で禁止されている。検査で使用が発覚すれば、初回で有期失格処分が課され、2回目になれば永久追放される可能性がある重大な違反行為だ。

 リオ五輪女子マラソン金メダリストのジェミマ・スムゴングが、抜き打ち検査で陽性判定を受けたのはつい先日のこと。その他にも、北京五輪(08年)やロンドン五輪(12年)のドーピング再検査でエカテリーナ・ポイストゴワやレスリング選手のメダルが剥奪されている。

 また、昨年末に世界アンチ・ドーピング機構(WADA)調査チームの弁護士リチャード・マクラーレン氏が発表した報告書によると、11年から15年にかけてロシアで組織ぐるみのドーピングが行われてきたこと、30種目以上1000人以上の選手が関与してきたことなどが明らかになったのは記憶に新しい。

 そもそも、ドーピング問題はアスリート側とWADAとのいたちごっこという側面もある。

 ここでは、ドーピングに手を染める理由から、これからの対策を考えていきたい。

■ドーピングが蔓延する理由は2つ 英紙の報道によると、ロンドンマラソンの元レースディレクターで、元男子1万メートル世界記録保持者のデヴィッド・ヘッドフォード氏は、「今でも一定数のアスリートは不正を行っている」という。

 違反行為が発覚すると長期の有期資格停止処分から、永久追放になる可能性さえある。また、出場予定のレースや試合があった場合、そこで得られたであろう賞金を失うことになる。

 そこまでして、どうしてドーピングを行うのだろうか。

 理由としては2つ考えられる。

 1.能力・素質で劣る選手が、トップ選手になりたいため 2.少しでも多くの賞金を稼ぎたいため

●トップになりたい、賞金を稼ぎたいがための不正 前述の英紙によれば、ケニアでは11年から16年にかけてケニア出身のアスリート40名が検査で陽性になっているという。

 少し古い話になるが、1986年から1988年にかけて、ベン・ジョンソン氏(カナダ)がドーピングで陽性。当時「驚異の記録」といわれた記録を抹消されたことを覚えている人も多いだろう。

 これらは、能力・素質で劣っている選手がトップになりたいという目的で行うドーピングの例だ。しかし、ドーピングが蔓延しているのはトップまであと少しの層だけではない。いわゆるスーパースターといわれるアスリートにも蔓延している。

 マラソンを例にとると、東京マラソンやベルリンマラソンなどといったワールドマラソンメジャーズでは、多額の賞金が出る。

 東京マラソンでは、順位賞金として1位には1100万円、世界記録が出ると3000万円が出る。外国の選手は賞金を生活の糧にしており、賞金を得るためにこうした大会に出場する。

 今回の検査で陽性判定が出たスムゴングは、五輪で金メダルを得ているスターだが、「少しでも大会で賞金を得たい」と思い、ドーピングを行った可能性も考えられるだろう。

■不正を防ぐ対策は? 不正を防ぐためには、やはり選手やコーチが自覚するしかない。

 よくありがちなのが、風邪をひいた際に市販の薬を服用して、そこに禁止薬物が含まれていたという例。これはケアレスミスともいえるが、こういったミスであれば普段から選手やコーチがその都度確認していれば防げるミスだ。

 実際、トップチームであればスポーツファーマシスト(薬剤師)がついているので、風邪をひいた際などは相談すれば「これを服用するといい」など教えてもらえるはずだ。

 また、ドーピングに関する報道を見て「ドーピングをすると厳罰になる」ということを知らせるのも、一種のショック療法としては効果的だろう。

 ドーピングはすぐに見つからないことも多く、検査する側も大変だが、やはりやり逃げを許すわけにはいかない。ドーピングに手を染めず能力向上に取り組んでいる選手のためにも、しっかりと啓蒙に励んでもらいたい。