映画『メッセージ』“映像化不可能”と言われた原作を映画化実現に導いたものとは?

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 突如現れた巨大飛行体のメッセージを解読する言語学者の決断と、そのメッセージに込められた意味に全世界が感動した『メッセージ』の製作の裏側で、ある一本のDVDが役立っていたことが分かった。

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 本作は、優れたSF作品に贈られる文学賞【ネビュラ賞】を初め、名だたる文学賞を数多く受賞している米作家テッド・チャンの短編小説『あなたの人生の物語』を基にしている。世間から“絶対に映像化不可能”と言われていた作品だが、それを映画化へと導いたのは、本作のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の手腕と彼が手掛けた作品『灼熱の魂』のDVDだったことが明らかになった。

 原作者のテッド・チャンは「製作陣が映画化の件で初めて連絡をくれたとき、彼らがどういう作品を思い描いているのかが僕に分かるよう、ドゥニが監督した『灼熱の魂』のDVDを送ってくれたんだ。このDVDのおかげで、彼らの話を真摯に受け止めることができた。いわゆるハリウッド流のSF映画のDVDを送ってこられていたら、僕は多分無視していただろうね」とドゥニ監督の描く独特の世界に惚れ込み、本作の映画化を許可したと話している。『灼熱の魂』(2010)は、レバノン内戦下で起こる一人の女性とその子供たちの悲劇を描き、【第83回アカデミー賞】外国語映画賞にノミネートされた作品で、ドゥニの名を世界中に知らしめた作品でもある。

 さらに、このDVDのやりとりがあった時点では、ドゥニ監督が本作を手掛けることは決まっておらず、「実際にドゥニが監督に決まったのは、それから数年後だったけど、最初から監督はドゥニだと考えていたんだよ」と、ドゥニ監督のいないところで、既に原作者のハートを掴んでいたようだ。ある意味、原作者からの“逆指名”があったドゥニ監督は「正直に言えば、あの短編小説で描かれる幾層もの視点と時空が行き来する世界を、どう扱えばいいのか分からなかった。それでも、強く美しい知性をもったストーリーが心の底に響いたんだ。テッドの素晴らしい短編小説のおかげで、死や自然、命の謎との考えを取り戻すことができたよ」と、監督オファーに不安があったものの、困難を承知の上で映画化したい魅力があったことを語っている。『ブレードランナー 2049』の監督にも大抜擢されているドゥニ監督が手掛けた独創的な映像美と世界観を、ぜひ劇場のスクリーンで観てはどうだろう?

◎『メッセージ』予告編
https://youtu.be/1GMGMzHRE4Q

◎公開情報
『メッセージ』
2017年5月19日(金)より、全国公開
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作:テッド・チャン(『あなたの人生の物語』ハヤカワ文庫刊)
出演:エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカーほか
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント