浦和レッズDF遠藤航

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 所属クラブではCBでのプレーが続き、A代表に招集されればボランチでのプレーが求められる。浦和レッズDF遠藤航は、2つの役割をこなす現状を、「あまり良い状況ではないかもしれない」と捉えている。昨年まで、公の場で口にすることのなかった心情を吐露するようになった背景には、1年後にロシアで行われる世界大会への強い思いがあった。

ボランチで得た手応え

自分の良さを出しても「やれる」

――日本代表3月シリーズでは今野泰幸選手と大迫勇也選手の離脱があり、追加招集されましたが、3月28日のタイ戦での出場はありませんでした。

「もちろん出場したかったし、ボランチで出場する可能性はあったかもしれませんが、練習をこなしていても今回は出られる気配がなかった。ボランチの位置では(酒井)高徳くんがずっとプレーしていて、僕はSBをやっていたので、そういう意味でまだ(バヒド・ハリルホジッチ)監督の信頼を得ていないと感じます。僕は浦和でずっと3バックの真ん中をやっているし、高徳くんは所属クラブでボランチをやっているので、優先順位的に高徳くんを最初にチョイスするのは理解できます」

――日本代表の取材エリアで「ボランチをやりたい」と話していました。昨年は「与えられたポジションで」と強調していましたが、どのような心境の変化があったのでしょうか。

「去年は『ボランチで』とは、そんなに言っていなかったかもしれません。もちろん、浦和では3バックの中央で起用されているし、そこで試合に出れば全力を尽くすのは当然のことです。ただ、来年ロシアでプレーすることを本当に真剣に考えると、A代表で勝負するのはボランチのポジションになります。今回A代表に行ってハリルホジッチ監督から『ボランチで出場してほしい』と言われたし、『CBとしては身長が足りない』という感じの話もされました。そう言われたらCBでは勝負できないし、どうしようもないですよね(笑)。でも、そんなにネガティブに悩んでいる感じではありませんよ」

――ハリルホジッチ監督が率いる日本代表ではボランチで勝負するしかないと。ただ、将来的に代表監督が代わったとき、新しい監督がボランチで起用するとは…。

「それは分かりませんよね。ボランチ以外のポジションで勝負できるようになったり、状況も変わると思います。でも、ロシアだけのことを考えると、クラブでCB、A代表ではボランチでプレーするという今の状況は、自分とって、あまり良い状況ではないかもしれないと思っています。あと、一時期A代表に入れなかったときに『ボランチで出続けないと呼ばれないかもしれない』と改めて考えることもあったし、浦和でもボランチとして経験を積めばもっともっと成長できる感覚があるので、新たなチャレンジという意味でも意識的にこの話をするようになった部分はあります」

――浦和のペトロヴィッチ監督とボランチの話は?

「ミシャ監督とも『ボランチをやってみたい』という話をして、監督も僕を『使ってみる』という話を何度かしてくれています。今はチーム事情もあるし、なかなか現実的にはなりませんが、試合の途中からボランチに入ることもあるし、僕のことを理解してくれていると思う。自分がそこで勝負したいことも知っているので、どこかでチャンスがあれば使おうと考えてくれているかもしれない。ただ、あくまで最後に判断するのはミシャ監督なので、僕は与えられたポジションで全力を尽くすだけです」

――昨年まで活動していた五輪代表でも、ボランチとして起用されていました。

「五輪代表のときは、ボランチとしての自分の限界がちょっと来たかなという感じがありました。やっぱり、自分はずっとボランチとして成長してきたわけではないし、プロになってからもシーズンを通して出ているわけではない。五輪代表では2、3年ボランチでプレーさせてもらいましたが、実質の活動期間を考えると半年くらいの経験です。まだまだ経験が浅く、ボランチでプレーしたときの波があるし、良いときは良いけど、悪いときは悪いみたいな感覚だった。その感覚も自分のボランチとしての物差しでの判断だから、ずっとボランチでプレーしている選手とは違う感覚かもしれません。だから、A代表でスタメンを取ることを考えると、チームでシーズンを通してプレーし続けないと厳しいだろうし、プレーし続けることで安定感も出てくると思っています」

――ボランチでプレーを続けなければ見えてこない課題もあると思います。

「CBだったら、ボールの位置や相手のポジション、体の向きを見て、自分のポジションを考えたり、試合中に同じようなシチュエーションを経験している分、そのポジションが早く取れたり、ここで行くべきか、行かないべきかの判断がすぐにできたりしますが、ボランチではそういう部分も探りながらだったし、そこは経験を積まないと身に付いていかないと感じています」

――昨季はルヴァン杯準決勝第2戦のFC東京戦で、浦和では初めてボランチで先発出場しました。チームメイトからの評価も良く、浦和でもボランチでやれる手応えになったのでは?

「昨季は、浦和のボランチでプレーできる自信がなかったというのもあります。(柏木)陽介さんの後ろでプレーしているので、浦和のボランチはボールを動かすポジションで、特に攻撃面での運動量や攻撃センスが求められるポジションであると、自分の感覚的に感じていました。それで自分が入るイメージがあまりできなかったけど、それこそルヴァン杯のFC東京戦のようにプレーできたことで一つの自信になったし、自分の良さを出しても『やれる』という手応えがあったからこそ、『ボランチでやりたい』という気持ちが強くなったのかもしれません」

――自分の持ち味を発揮すれば、組み立てに貢献できるという感触を得られたと。

「FC東京戦では、ディフェンスラインとFWのちょうど間に自分がいて、味方をサポートしながら、しっかりとポジションを取れました。その距離感を変えずにボールを動かせたと思うし、やることはシンプルになりますが、それが味方にとっては効果的なパスになったり、プレーになったので、自分の良さを出しやすかった感覚があります」

――海外の選手などで、理想的な選手がいれば教えて下さい。

「今のボランチは、そんなに目立たないというか、少し前みたいに足元の技術に特化しているだけでは生き残っていけなくて、どちらかと言うとしっかりとした守備ができて、プラス攻撃に関わって行けるボランチが求められていると思います。そういう意味ではチェルシーの(エンゴロ・)カンテやバイエルンの(アルトゥーロ・)ビダルのように、運動量があって、どこにでも顔を出して、球際も強くて、攻撃にも関わって行ける選手が自分には合っていると思うし、そこを長所にしていけると感じています」

――日本代表の3月シリーズでは同年代の久保裕也選手が、わずか2試合で一気に存在感を高めましたが、ボランチから後ろの選手では数字という結果が見えづらいため、いきなり印象付けるのは難しい部分もあると思います。

「でも自分が生き残れるチャンスは間違いなくあるし、可能性ももちろんあると思っているので、辛抱強くやるしかありません。だから、いつ出番がきてもいいように万全の準備をしておきたいし、いつかはボランチで出られる試合が来るときをイメージしながら、自分を磨いていくしかない。体脂肪が多いと言われているので、それを減らす努力をするし、筋肉量を増やしたいと思っているので、そういう部分を自分でレベルアップさせていきます」

――最後に新しいデザインとなったスパイク「ティエンポ」の印象を教えて下さい。

「DFは基本的なプレッシャーがあるポジションではないですが、一つ一つのプレーでのボールの置き所だったり、ボールタッチだったりにこだわりを持って行わなければいけないポジションだと思っています。自分はボールタッチを大事にしているのでティエンポは自分にとってあっているスパイクだと思います。履いていて馴染むカンガルーレザーも好きですね」

(取材・文 折戸岳彦)