「こんなにいいシーズンスタートになるとは思ってもいなかった。プレシーズンからずっと上位タイムを記録できていたけれども、開幕から2連勝できて本当にうれしい。モチベーションがあがるし、バイクの戦闘力をもっと向上させたい」

 第2戦・アルゼンチンGPで優勝を遂げたマーベリック・ビニャーレス(モビスター・ヤマハ MotoGP)は、開幕2連勝の喜びを落ち着いた口調で述べた。


1990年のレイニー以来27年ぶりの快挙を達成したビニャーレス ヤマハの同一選手が開幕2連勝を達成するのは、1990年のウェイン・レイニー(日本GP@鈴鹿→アメリカGP@ラグナ・セカ)以来。チーム移籍直後の2連勝という意味では、1999年のケニー・ロバーツJr.(モデナスKR→スズキ)以来の出来事になる。

 前回の開幕戦の際にも述べたことだが、ヤマハへの移籍初年度、しかも22歳という若さにもかかわらず、ビニャーレスのレース展開は、勝ち方を知り尽くしたベテラン選手の隙のない勝負運びという雰囲気すら漂う。もちろん今回は、序盤にレースを大きくリードしたマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がフロントから転倒して4周目に姿を消すという出来事もあったものの、だからといってビニャーレスの勝利に「棚ぼた」感があるわけではない。

「スタートは悪くなかった。前を追い抜いていって、カル(・クラッチロー/LCRホンダ)に追いついたけど、ブレーキングが強い選手なのでオーバーテイクが難しかった。カルを抜いた後はマルクを捕まえようと思い、全力で追い上げた。その後は自分のペースをこころがけた」

 このコメントからも、勝つべくして勝ったビニャーレスの周到で万全な戦いぶりがうかがえる。

「オーバーテイクしたあとも、しばらく後ろに張りつかれていた」とビニャーレスが振り返るクラッチローは3位でフィニッシュしているが、「マーベリックについて行こうと思えば行けたけれども、ダッシュボードに警告灯が表示されたのでペースを落とさなければならなかった」と述べている。

 この言葉に加え、マルケスの転倒や、その後にダニ・ペドロサも転倒してホンダファクトリーが2台ともリザルトを残せなかったという事実は、結果論とはいえ今のホンダ陣営の状況を象徴しているような印象もある。

 一方のヤマハは、ビニャーレスの優勝に加えてチームメイトのベテラン選手、バレンティーノ・ロッシが世界選手権350戦目で2位表彰台を獲得。また、サテライトチームのモンスター・ヤマハ Tech3で今季からMotoGPクラスに参戦するヨハン・ザルコとジョナス・フォルガーの2名もそれぞれ5位と6位に入っている。

「5位はマルケスやペドロサがクラッシュした結果だと思うけど、それでも14番グリッドスタートで厳しい展開だったところからうまく乗り切ることができたし、フィーリングもよかった」(ザルコ)

「6位で終われるとは思わなかったし、他の選手が転んだ結果とはいえ、いいペースで走ることができた。ラスト2周でアタックしようと考えた戦略がうまくいった。今日はヨハンのほうが僕よりも少し速かったけど、次回は彼に勝ちたい」(フォルガー)

 ともに好結果で終わっているだけに、レースを振り返る彼らの言葉の端々からも充足感のようなものがひしひしと伝わってきた。

 次回の第3戦・アメリカズGPの舞台、サーキット・オブ・ジ・アメリカズはマルケスが大得意とするコースだ。2013年から昨年まで、毎回ポールポジションを獲得して優勝を飾るという「完全試合」を4年連続で成し遂げている。

 だが、一方のビニャーレスにとっても、このコースは相性がいい。Moto3クラスからMoto2へ昇格した2014年には、ステップアップ2戦目にもかかわらず後続を大きく引き離して優勝し、ずば抜けた才能を満天下に知らしめた会場だ。

 この第3戦で両雄が見せる戦い方とその内容次第で、「ビニャーレスvs.マルケス」「ヤマハvs.ホンダ」の今季の趨勢(すうせい)がかなりの程度、占えるかもしれない。

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