躍進の一歩となるか(吉永泰之・社長)

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 ブランド名と社名を統一した先に、どんな未来図を描くのだろうか。4月1日、「富士重工業株式会社」が「株式会社SUBARU」に社名を変更した。「長年親しまれてきた社名を変え、SUBARUブランドを磨く狙い」(広報部)だというが、この決断の持つ意味は大きい。

 経営学者で岡山商科大学教授の長田貴仁氏によれば、社名変更には大きく2つのパターンがあるという。

「ひとつは、会社名よりもブランド名が浸透しているケースで、松下電器がパナソニックに変わったのはこの典型です。ブランド名は有名でも、特に株式市場では、社名で上場しているので海外の投資家をひきつけられない。社名とブランド名を使い分けたり併記したりする非効率をなくす狙いもあります。

 もうひとつは、時代の流れとともに、業務内容が社名にそぐわなくなるケースです。例えば、SONYは、『東京通信工業』が電気事業以外への進出を考えて社名を変更しました。富士フイルムも、世の中がデジカメ時代に以降していく状況を見て、『富士写真フイルム』から社名を変更した。現在行なっている胃カメラや医薬品といった事業は、フイルムの技術や販路を活かした事業で、社名変更は元の強みを活かしながら新事業を展開していく決意表明のようなものだったと考えられます」

 今回の「SUBARU」の場合、ふたつのパターンの複合型だという。SUBARUブランドは海外で広く認知され、アメリカや中東での評価も高い。さらに自動車の枠を超え、航空宇宙事業にも幅を広げているからだ。SUBARUの今後について、自動車業界に詳しい経済ジャーナリストの福田俊之氏はこう見る。

「SUBARUは4年連続で売上高・利益ともに過去最高を更新し、昨年は年間生産台数が初めて100万台を突破した。衝突被害軽減ブレーキ『アイサイト』の評価も非常に高い。ただし、まだまだトヨタや日産に比べると及ばない。今後も海外での販路拡張など、足腰を強化することが重要でしょう」

 今回の社名変更がトヨタやホンダなど、社名とブランド名が一致した大手各社を意識したものであることは間違いないだろう。ただし、逆にトヨタは「レクサス」、ホンダは「アキュラ」といった社名とは別のブランドを立ち上げ、成長のエンジンとしてきた。その意味で社名とブランド名を統一したSUBARUの次の目標は社名と違うブランドを立ち上げ、世間に認知させることになるのだろうか。

※週刊ポスト2017年4月21日号