東芝、赤字5325億 「継続企業の前提に疑義」解消には巨額の資金が (c) 123rf

写真拡大

 東芝は11日、2016年第3四半期の連結決算(米国会計基準)を発表した。監査法人の承認無しという異例の発表だったが、5,325億の最終赤字の公表と共に、「継続企業の前提に関する注記」が記載された。事業継続を脅かす重大な3つの問題が示され、いずれも解決のためには巨額の資金を必要とする。鴻海が東芝メモリの買収に提示しているという3兆円はあまりにも魅力的だ。

 継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)とは、企業は将来に渡り事業を継続していくものであるという考え方だ。この前提に疑義が生じる状況が発生した場合には、決算に「継続企業の前提に関する注記」をすることが義務付けられている。

 今回の決算発表で示された注記には重大な3つの問題が示されている。1つ目は、借入金の返済についての問題だ。ウェスチングハウスの問題に端を発して2016年12月28日に東芝の格付けが引き下げられた。その結果、2016年12月31日現在の借入金等合計約1兆3,889億円のうち、約2,835億円に「期限の利益を喪失」する可能性が発生した。

 「期限の利益を喪失」すると、分割して返済をする借入金を一括で返済しなければならない。借入先は今年の3月31日までは一括返済を求めないとしていたが、今後については返済を迫られる可能性がないとはいえない。2,835億円の一括返済を迫られた場合、連鎖的にほかの借入金等も同様のことが起こる可能性がある。

 2つ目の問題は、ウェスチングハウスについて発生する可能性のある損失だ。最終的にどれだけの金額の損失が発生するか不透明である。決算内容の中では、追加で損失として計上されうる金額は6,200億円規模であり、その場合2017年の通期純損益は1兆100億の赤字としている。

 最後の問題は、特定建設業の許可更新の問題だ。東芝が事業を行う上で必要な許可であるが、一定の財産的基礎を満たさないと判断された場合は更新ができない。現許可の有効期は2017年12月だ。

 これらの問題の解消のため、東芝は資産の見直し・売却を進めている。今年に入ってからは傘下の企業や保有株式の売却を行っているが、いずれも数百億円程度だ。並行して、関係企業の権利行使によって、東芝が傘下企業の株式を買い取らなければならない事態も発生し、数百億の支払いも発生している。

 現状打破につながるのは、分社化した東芝メモリの売却だ。11日にウォールストリートジャーナルが報じたところによると、鴻海は最大3兆円を提示しているという。これに次ぐ入札額は2兆円超と圧倒的な金額差だが、日本の技術が中国に流出することを懸念する向きもある。しかし兆単位の損失が想定されうる東芝が、2017年12月までに資金を作るには、選択の余地は余りにも少ない。

 東芝の決算説明会によると、2016年度通期の決算発表は5月中に行われる予定だ。