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2種類ある マツダのアクティブドライビングディスプレイ

新型マツダCX-5では、中上位グレードに、フロントガラス照射式のドライビングディスプレイを採用している。

一般的にヘッドアップ・ディスプレイというと、写真右のコンバイナー投影タイプを思い浮かべるが、新型CX-5のものはフロントガラス(=ウインドウ・スクリーン)に映しだすので、WSタイプと呼ばれている。

2つの違いは、単に虚像の表示場所が変わるだけだと思っていたが、それはとんだ思い違いであった……。

WSタイプとコンバイナー型の違い

WSタイプの最大のメリットは、伝えたいインフォメーションを、これまでより上方に、そして遠方に投影できることだ。新型CX-5の場合、ドライバーの中心視野を邪魔しない位置、つまり下側の周辺視野に「車速」や「道路標識の情報」が表示される。これが実にいい。

一方で、多くのヘッドアップ・ディスプレイが情報を投影するコンバイナーというのは、ドライバーにとって明らかに「別の思考の枠」である。インパネに設置された例の透明の枠まで視線を落とし、そこに焦点を合わせる作業を伴うからだ。

その点、フロントガラス投影式のWSタイプは、黒目を動かさずとも情報をキャッチできる。

コンバイナー型にもメリットはある

コンバイナー型のメリットは、他モデルへ展開しやすいことだ。そもそもフロントウインドウは複雑な曲率を持っており、投影には向いていない。歪みのない虚像投影を実現するために、マツダはWSタイプ用に表示補正機能の追加や、ユニット内部に自由曲面の凹面ミラーを採用するなどコストをかけている。

また、WSタイプは虚像が二重になってしまうことが、これまで問題点になっていた。その原因は、ウインドウシールド自体に2つの界面が存在するからである。これについても、2つの界面の中間膜を「くさび型」にして、反射角を最適化することで克服した。

こうした作り込みによってCX-5のフロントガラスに映し出される虚像は、高精度で鮮やかで、運転中でも情報をキャッチしやすい。(写真はペダル踏み間違えを想定したAT誤発進抑制の表示)

日本人の悪いクセ 解決しそうです

訓読みも音読みもある漢字の文化圏に育ったわれわれ日本人は、文字を見るとつい読もうとしてしまい、視線と意識をそこに向けてしまう。

しかし、記号、数字、マークといったものでも、見せ方や色合い、配置の仕方次第で、読まずとも伝えるべき情報を感じさせることができる。そして、これがドライブ中には物を言う。

オルガンペダルの採用、視界を広げるコクピット・レイアウト、正しいドライビング・ポジションが取れるプラットフォーム作りなど、人間中心のモノ作り・安全思想が近年のマツダの付加価値になっている。

WSタイプのアクティブ・ドライビング・ディスプレイは、これに「正しい視線」という価値をくわえた格好になり、このメーカーの先進装備がまたひとつ上のステップに進んだと感じられた。