ターシャが教えてくれる自分の声を聞く大切さ。『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』監督&プロデューサーインタビュー

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いまでこそ、「スローライフ」という言葉が浸透しているものの、どれだけの人が本当の意味を理解しているのかは疑問が残るところ。そんななか、独自のライフスタイルで世界中を魅了し、"スローライフの母"ともいわれているのが、アメリカを代表する絵本作家のターシャ・テューダー。没後9年が経ついまなお、その存在は多くの人のなかで生き続けています。
Photo by Richard W. Brown
2015年には生誕100周年を記念した展覧会も開催されました。その集大成ともいえるのが4月15日より公開の話題作『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』。このドキュメンタリーでは、10年に渡って取材された貴重な映像をはじめ、彼女の素顔や秘めた思いに触れることができます。
そこで、長年ターシャ本人と向き合ってきた松谷光絵監督と鈴木ゆかりプロデューサーのおふたりに撮影秘話や見どころについて語ってもらいました。
私たちが選ばなかったもうひとつの豊かさがそこに
(c)2017 映画「ターシャ・テューダー」製作委員会
これまではテレビ番組として人気を博してきたが、映画化にあたってはさまざまな部分にこだわったと話す松谷監督。
松谷監督(以下松谷)「観客とターシャさんが実際に向き合ってお話をするような気持ちになってもらいたかったので、あえてナレーションは入れませんでした。ぜひ、あの美しい庭に立っているような感覚も大きなスクリーンで味わって欲しいですね」
過去の映像を見直すことで新たな発見もあり、「本当の監督はターシャさんだったのでは?」とも感じたそう。鈴木さんもまた、彼女の魅力を再認識する作業だったと振り返ります。
鈴木ゆかりプロデューサー(以下鈴木)「お化粧もしてないし、髪も染めてないし、爪にも土がつまっていたりするんですけど、キラキラした瞳の輝きが子どものときとまったく同じで、本当に美しい人だなと改めて思いました。やりたいことすべてをまっとうした"究極の憧れの女性"ですよね」
そんな自然体のターシャさんだからこそ、私たちを惹きつけてやまないが、取材を進めるなかでは印象的な出来事も数多くあったといい、影響を受けたことをそれぞれ教えてもらいました
ターシャの言葉は世代も性別も超えて届くもの
(c)2017 映画「ターシャ・テューダー」製作委員会
なかでも、監督はターシャさんとのお茶の時間を通じてさまざまなことを学んだのだとか。
松谷「私たちは、つい『仕事仕事!』ってなりがちですけど、仕事も人間性を豊かにしなければダメなんですよ。だから、お茶をゆっくり飲んでいろんなことを話すのも大事なこと」
そして、鈴木さんがターシャの姿から身に染みたのは、一日に一回は自分の手で何かを作ることの大切さ。
鈴木「いまの私たちは時間に追われた生活をしていますけど、ご飯を作ったり、花に水をあげたり、何でもいいからそういう時間を持とうと彼女を見ていて思いました」
自分を見捨てず、自分の王国の王様になっていい
最後に、この作品を通して監督が伝えたいメッセージとは?
松谷「ターシャさんからは、『自分がどうしたいのかあなたの声を聞ける人はあなた以外にはいない』とか、自分とちゃんと対話するようによく言われました。お孫さんの奥さんも彼女と出会って価値観が変わったみたいですが、『うまくいかないことやつらいことがあっても、後ろ向きなことを考えるのは一回やめて、それはゴミ箱に捨てちゃいましょう』と教わったそうです。だから、『どうせ私なんか』とか『時間がないから』というのをやめると、まだまだこれだけやれるんだっていうポジティブさが出てくるもの。自分を信じて夢に向かって進むというのは、いくつになってもどんな状況でもできるんだと感じて欲しいですね」
ターシャとのエピソードを伺った鈴木ゆかりプロデューサー(左)と松谷光絵監督(右)
静かな水のような優しさがありつつも、ひとつひとつの言葉が重みを持ってずしりと心に響くのは、ターシャさんの芯の強さと揺らぐことのない信念があるからこそ。そんな彼女と向き合えば、いまの自分の人生に欠けているものが何かをきっと教えてくれるはず。

「ターシャ・テューダー 静かな水の物語」 監督:松谷光絵企画・プロデュース:鈴木ゆかり2017年4月15日(土)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー 配給:KADOKAWA