今や、CDはミリオン、写真集も大ヒット、バラエティでも出演が目立ち始め、飛ぶ鳥を落とす勢いの乃木坂46だが、そんな彼女たちを精神的にも、そして人気的にも支えてきたのが、『公式お兄ちゃん』を自認するバナナマンの存在だ。

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 乃木坂はAKBの公式ライバルとして、華々しくデビューしたと思われがちだが、いわゆる姉妹グループであるNMBやHKTと比較したときに、デビュー時のセールスは優っているわけではない。乃木坂のデビュー曲、『ぐるぐるカーテン』は、21万5000枚弱、NMB48の『絶滅黒髪少女』は26万枚強、HKTの『スキスキスキップ』は30万枚弱と、むしろ苦戦をしている。

 知名度に関しても、初期は生駒里奈が孤軍奮闘している形で、白石麻衣や西野七瀬といった人気メンバーも、山本彩や渡辺美優紀、島崎遥香や横山由依に遅れをとっていた。

 ただ、乃木坂にとって幸運だったのは、デビュー前から用意された冠番組のMCがバナナマンだったことだ。この番組『乃木坂ってどこ?』が始まったのは2011年10月。2012年にバナナマンが番組出演回数でトップになるほどブレイクする、まさに直前のことだった。

 このころのバナナマンといえば、ライブの面白さが口コミで広がり、実力は誰もが認めていたものの、まだスケジュールには余裕があったという絶妙のタイミングで、これが1年後であったら、この番組のMCのオファーを受けていたかどうか疑わしい。また、多くの芸人(おぎやはぎ、有吉弘行、劇団ひとりら)が、AKBと絡んでいたのに、ぽっかりと接点がなかったのも奇跡的だった。

 多くのアイドルファンは、アイドルが好きで、応援するグループを決めていくものだが、乃木坂の場合、バナナマンのファンだった者が、その流れで乃木坂に来たという人が、異常に多い。この流れが、乃木坂をAKBの姉妹グループとか、公式ライバルといった存在から、独自のファン層を掴んで、あくまでも別グループになっていったという下地になっている。

 というのも、AKBは、多くの芸人と番組を持ったが、ファンから支持されたのは、『有吉AKB共和国』の有吉弘行ぐらいなもので、『NOGIBINGO』のバッドボーイズ、『週刊AKB』でのスピードワゴンや我が家、さらにロンブーの田村淳やイジリー岡田には、かなり激しいバッシングが浴びせられ、その芸人のファンたちが、AKBとの共演を忌避する流れさえ生まれていた。

 しかしながら、乃木坂は公式お兄さんのバナナマン、NOGIBINGOのイジリー岡田、ドラマやPVで共演した手塚とおるや津田寛治、ファンを公言し、番組にも出演した武井壮、ラジオで共演したオリエンタルラジオやアルコ&ピースらを、次々に身内にしてしまい、応援するという不思議な伝統を作り上げた。

 ちなみに妹分の欅坂46も、番組MCの土田晃之が公式お父さんを自称するのを歓迎し、ドラマで共演した嶋田久作を評価するなど、共演者にとっては嬉しい空気を作り上げている。

 それまでは、嫉妬なのか、礼儀知らずなのか、共演者を敵視し、ファンを公言するタレントに暴言をぶつけることも多かったアイドルのイメージを、モモクロ、乃木坂が覆したのは、実に意義深いことだと思われる。今後、新しく出てくるアイドルグループの冠番組のMCとの関係にも注目してみたいと思う。