欧州では「当てるもの」だが日本では機能部品ではなくデザイン性を重視

バンパーの単語の意味として「吸収するバー」といったところ。自動車用語にありがちな和製英語かと思いきや、じつはキチンとした英語で海外でも通じる。機能的には意味のとおりで、「ぶつかったときの衝撃を吸収」である。

ただし、吸収するというのは日本ではすでに昔のことだろう。というよりも、当初からクルマというのは家の次に高価な存在で、大切にされてきた歴史から考えると、日本においては一度も衝撃を吸収するためのバーとして存在したことはないかもしれない。だから、ちょっとでもぶつかれば歪みを修理したり、塗装を補修したりするのだろう。

とくに最近ではデザインの一部に完全に組み込まれているといっていい。バンパーというボディパネルとして存在してはいるが、どこからどこまでがパンパーかはわからないクルマは多い。こうなると、本来の衝撃を吸収するという機能はないといっていいかもしれない。もちろん実際に衝突すれば一番最初に当たってはくれるが、機能として別途保護する力はほとんどない。

ちなみに1980年前後のアメリカでは衝撃を吸収するための機能を備えることが法律で決められていたこともあった。5マイルバンパーと呼ばれるもので、フェアレディZやポルシェが付けているのを見たことがあるかもしれない。

出っ歯みたいで非常に格好悪いが、5マイルのスピード(8km/h)でぶつかっても損傷がないこととする、ということからこの名前がある。

また、ヨーロッパではバンパーの扱いが今でも異なる。実際に見てビックリした人もいるだろうが、フランスやイタリアといったラテン諸国では、縦列駐車のスペースを空けるために、当たり前のようにバンパーで前後のクルマを押している。逆に押されたほうも出るときはまた押し返したりする。

衝撃吸収という機能とは異なって、押すためのアタッチメント的なものではあるが、バンパー独自の機能としてキチンと存在しているのは確かだ。もちろん当てられたらといってやられたほうも怒らないし、スリキズやバンパーの歪みも直すことはない。

現地の人も「そのためにあるんだから、直す必要はなし」ということになる。まさに質実で、機能重視。過剰なまでに大切にする日本とは違う価値観ではある。