磐田戦で鋭い仕掛けを見せた遠藤。「点を取って、チームに良い雰囲気を持ち込みたい」とさらなる活躍を誓う。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大 (全4枚)

[J1リーグ6節]横浜2-1磐田/4月8日/日産ス

 ひとりだけ、対応が違っていた。それが実に印象的だった。
 
 試合後のピッチ上での挨拶。磐田の選手たちが、横浜の選手たちと握手をするために移動してくる。それを迎えるなか、遠藤渓太だけは、相手の背番号10に対して、深々と頭を下げながら、両手を差し出していた。
 
「感謝の気持ちを込めて」と、遠藤は中村俊輔の手を握った。
 
「いろんなことを教わりました。去年の最初のほうは、自分は試合に出れていて、その時も、俊さんはピッチ内外でよく話しかけてくれて、だいぶ気持ちが楽になれたんです。練習が終わった後の自主トレにもたまに誘われたりして、それでチームに溶け込みやすかったし、やりやすかった。
 
 シュート練習を一緒にやっても、『お前、絶対にそっち打つよな』とか『そうすると思った』とか、全部見透かされていて……。本当に、教わったことは多いですね。俊さんが相手だったから、この試合には絶対に出たかった。ベンチから見ていても、やっぱり上手いなって思っていました」
 
 ホームでの磐田との一戦で、遠藤は負傷交代したマルティノスに代わり、83分に途中出場を果たす。限られたプレータイムのなか、背番号18は少なくとも二度、果敢なドリブル突破でスタンドを湧かせてみせる。
 
「自分に求められているのは、前への推進力だと思うし。ああいう時間帯でインターセプトして、前に行って時間を稼げたら、チームとしても楽になる。(相手が)バックパスすれば、全部自分がスプリントして、何度でも追い回すつもりでいました」
 
 この試合には、U-20日本代表の内山篤監督が視察に来ていたという。今年5月に開幕するU-20ワールドカップへの出場を目指す遠藤にとっては、チームメイトの負傷というアクシデントがあったとはいえ、自らの存在を示すチャンスでもあった。
 
「自分のチームで試合に出ないと、アピールにもなにもならない」
 
 世界の舞台はひとつの目標として、まずは横浜でどれだけ結果を残せるかが重要になる。「試合に出たら、100パーセントやるだけ。それを代表活動につなげたい」と遠藤本人は話す一方で、自身の成長が、クラブの飛躍につながるとも考えている。
 
「自分みたいな若い選手がゴールを決められたら、たぶん、もっともっとF・マリノスは良くなっていくと思う。点を取って、チームに良い雰囲気を持ち込みたい」

【横浜 2-1 磐田 PHOTO】横浜の新10番・齋藤の2アシストで磐田を撃破!
 最近は練習でも調子が良く、いつでも試合に出られる準備は整っている。「ゴールを決めて、結果を残したい。スタメンを取るために、もっともっとやらなければいけない」と飽くなき向上心を見せる19歳のアタッカーのブレイクは、きっと“大先輩”にとっても嬉しいに違いない。
 
 磐田戦の終盤、その鋭い仕掛けから相手のバイタルエリア付近でFKを得る。ドリブルからシュート態勢に入ったところを、阻止しようとした中村のプレーがファウルの判定となるが、振り切った遠藤の左足は、中村の右ふくらはぎを思い切りヒットしていた。
 
「あの後、『お前、蹴っただろ』と冗談っぽく言われて。僕が蹴りました、すみませんとしっかり謝っておきました(笑)」
 
 球際の激しい争いでお互いに倒れ込んだ後、先に起き上がりかけた遠藤が、すぐ横で痛がる中村の様子をチラッと横目で確認する姿が微笑ましい。
 
「去年より、成長した姿を見せないと。俊さんに、良くなったなと思わせられるような選手になっていきたい」
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)