米フロリダ州ホームステッドの高校の科学の授業風景(2017年3月10日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】油田労働者が多い米テキサス(Texas)州オデッサ(Odessa)の高校で科学を教えているアンジェラ・ガーリントン(Angela Garlington)さんは、授業の進め方をめぐり孤立無援だと感じている。進化、つまり地球上の生物が数十億年をかけていかに進化してきたのかを教える際、ガーリントンさんは地球上の生命は神が創ったものだとする聖書の天地創造説も併せて教えている。

「教育を受けた青少年として自分が何を信じるか選ぶ権利がある、と生徒たちには言っている」と40代後半のガーリントンさんは言う。「論争を呼ぶ問題について、同僚たちも両論を教えているのかどうかは分からない。でも自分はそうしてきたし、これからもたぶんそうするだろう」

 今年2月、ガーリントンさんのような教師を法的に保護することになる法案がテキサス州議会に提出され、現在審議されている。「物議を醸すおそれがある」科学の見解を議論の余地のある説として紹介する裁量権を教師に与える内容だ。

 今年に入ってこうした法案が提出されているのは全米で8州。テキサス以外では、サウスダコタ(South Dakota)、オクラホマ(Oklahoma)、アイオワ(Iowa)、アラバマ(Alabama)、インディアナ(Indiana)、フロリダ(Florida)、アーカンソー(Arkansas)もこの動きに続いている。この法案は、学校で科学をどう教えるべきか、授業で宗教的信念を考慮すべきかどうかという米国で盛んな論争における新たな火種だ

 世論調査会社ギャラップ(Gallup)の2014年の調査では、「約1万年前に神が人類を今と同じ姿で創造した」と信じる米国人は42%に上った。この割合は30年前に調査が開始されて以来ほとんど変動していない。

 同じ調査では、31%が人類は神の導きによって未発達な生命体から進化したと信じていると回答。進化の過程に神は一切関係ないと思うという回答は19%だった。

■天地創造説を教える是非めぐり各地で裁判に

 こうした法案に対し、憲法で定められている政教分離による制約を迂回(うかい)する試みだとの非難が上がっている。米国の学校で天地創造説を教えることの是非は、何十年も前から多くの裁判で争われてきた。

 今回のテキサス州の法案は、科学の授業の中で宗教論を教えることを教師に義務付けるのではなく、選択肢として提示することで、訴訟沙汰になる可能性を防ごうとするものだ。しかしこうした法案の成否は、これまでのところ五分五分だ。

 ルイジアナ(Louisiana)州では同様の法案が2008年に成立し、テネシー(Tennessee)州も2012年にそれに続いた。しかし今年に入り、保守傾向の強いサウスダコタ州とアイオワ州では成立には至らなかった。

■科学の授業では「科学」を教えるべき

 反対派は、創造説を教える選択肢を教師に与えるこうした法律は教室内で混乱を招きかねず、学校運営を縛るものだと非難する。

 米国立科学教育センター(National Center for Science Education)のグレン・ブランチ(Glenn Branch)副所長は、「教師に天地創造説を教えることを認めれば、創造説を教えるのは憲法違反だと主張する保護者から訴訟を起こされるリスクが生じ、創造説を教えようとする教師を止めたら止めたで、今度はその教師から訴えられる可能性がある」と指摘する。

 サウスダコタ州の州議会では同様の法案が数週間のうちに廃案に追い込まれた。その一端を担ったのが、抗議の手紙を送るという反対運動を率いた全米科学教師協会(NSTA)のデービッド・エバンス(David Evans)事務局長だ。「私たちは、科学の授業で科学を教えることを強く推奨するし、それ以外のことを科学の授業で教えることには強く反対する」とエバンス氏は述べている。
【翻訳編集】AFPBB News