北朝鮮では、国家的な行事や祝日に住民に対して特別配給が行われる。今月15日の太陽節(金日成主席の生誕記念日)にも「何かもらえるのでは?」と人々の間で期待が高まりつつある。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

今年の太陽節は生誕105周年で、北朝鮮で重要視される整週年(5年単位で区切った年)となる上に、金正恩氏が朝鮮労働党委員長の座についてから初めて祝う太陽節になるため、非常に大きな意味を持つ。

ちなみに、正恩氏が最高指導者となった直後の太陽節(2012年)は生誕100周年だったが、金正日総書記が死去して間もなかったため、大きな祝い事はできなかった。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、現地では忠誠の歌の集い、接見者(最高指導者と会った経験を持つ選ばれた人)との集い、運動会など、太陽節を祝う様々な行事が行われている。

しかし、人々の関心はそんな行事よりも、特別配給の中身に向いている。

特別配給の中身を巡ってはかねてから様々な噂が飛び交っていた。「食用油、豚肉、キャンディなどの食料品がもらえる」という漠然としたものから、「ネゴヒャンブランドのスニーカーやダウンジャケットがもらえると幹部から聞いた」という具体性を持った噂に至るまで、様々なものがある。

大きな期待には、それなりの根拠がある。当局が、住民に対して1軒あたり酒瓶5本、ビール瓶3本、現金3000北朝鮮ウォン(約39円)の供出を求めているのだ。つまり、供出した瓶に何かいいものを入れて返してもらえるのではないかということだ。さらに、ある工場に「太陽節」と書かれた紙袋を作るようにとの注文が入ったとの話が、大きな期待を下支えしている。

しかし、特別配給を巡っては、頻繁に「期待の暴走」が起きている上に、品物も厳しく品定めされることもあり、当局にとってかなりの負担になっているものと思われる。

昨年5月の朝鮮労働党第7回大会に際しては、「全国民に、45インチの高級液晶テレビなどの高級家電が配られる」という荒唐無稽な噂が立ってしまった。配給しなければ強い不満が出ることが必至であるため、当局は党大会の参加者に液晶テレビを配ったが、対象外となった一般庶民からは強い不満の声があがってしまった。

配ったら配ったで、中身にケチがつき、正恩氏のありがたみが伝わるどころか、むしろ逆効果となることもある。2015年の太陽節に子どもたちに配られたお菓子は、評判が散々で、市場で売り払う人が続出。当局が「元帥様(金正恩氏)からのありがたい贈り物を売り払うのは政治犯罪」だとして捜査に乗り出す騒ぎとなった。

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毎回一悶着ある特別配給だが、なくすわけにもいかない。指導者の徳治により国が成り立っているという北朝鮮の大前提を崩すことになりかねないからだ。