米海軍原子力空母カール・ビンソン、2011年撮影(Aaron Tam/AFP/Getty Images)

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 米国海軍当局は8日、原子力空母カール・ビンソンを中心とする艦隊はシンガポールから朝鮮半島に向けて出航したと発表した。これは挑発行為を繰り返す北朝鮮をけん制する目的とみられる。米トランプ大統領が示唆した北朝鮮への単独の軍事行動が現実味を帯びてきた。

 英BBC放送によると、打撃群には空母のほかに、誘導ミサイル駆逐艦2隻と誘導ミサイル巡洋艦1隻が含まれる。米海軍第3艦隊によると、打撃群は寄港先のシンガポールからオーストラリアに向かう途中で北上に計画変更した。

 米軍の動きについて、中国国内インターネット上では大きな話題となった。中国人ネットユーザーの間では、北への先制攻撃の可能性が高まったとみて、なかには48時間以内に米政府が攻撃を始めると賭けるユーザーすらいる。

 中国問題専門家2人がこのほど、大紀元の取材に応じ、トランプ政権が米中首脳会談の閉幕直後に空母打撃群を派遣したことと、今後北朝鮮問題をめぐる中国、米国の思惑を分析した。

中国民間シンクタンク責任者「習氏は米国による単独行動を黙認した」

 中国国内労働問題などを研究する民間シンクタンク、深セン現代社会観察研究所所長の劉開明(リュウ・カイメイ)博士は、米中首脳会談後の両国の北朝鮮問題に対して協調的な姿勢を示したと分析。

 「首脳会談の終了後、両国の当局が発表した内容を見ると、トランプ政権と習近平政権は共同で北の核問題を解決していく意欲があると見て取れる。習政権も、北に対して核実験をやめるようにと求める姿勢を示している」と話した。

 「ただ、中国当局はすでに北の暴走を阻止できなくなったのが現状だ。このため、習政権は米の単独行動を黙認した可能性が高い」と推測。「中国の黙認が後押しとなって、米の空母打撃群がオーストラリアへの寄港をやめて朝鮮半島に向かったのだ」と分析。

 博士は、48時間以内に米軍が直ちに北に対して攻撃する可能性は低いと指摘した。しかし米当局は、金正恩政権が依然として核実験に踏み切ろうとし、しかも中国が北朝鮮を説得できなくなったと判断すれば、「軍事攻撃はもう避けられなくなるだろう」と述べた。

 その場合、中国当局にとって、全面的な戦争ではなく、北の核能力を破壊するように特定の核施設を標的にする空爆作戦がより望ましいであろうと劉博士は示した。

中国評論家「米当局にとって北の核脅威は切実な問題だ」

 

 中国の独立系経済政治評論家の巩勝利(キョウ・ショウレイ)氏は、トランプ政権にとって北朝鮮の核・ミサイル問題は切実な解決しなければならない問題で、米軍の先制攻撃の可能性が高いとの見方を示した。

 「トランプ氏が何らかの行動を起こして北の核開発を阻止しなければ、今年もしくは来年にも、その核脅威は完全に形成されるだろう。なぜなら、数多く核実験を実施すればするほど、その核能力はどんどん向上し、核兵器の実戦配備というレベルまで達するからだ」と述べた。

 米中首脳会談の1日目、トランプ大統領がシリアのアサド政権に向けて空爆を実施した。巩氏はトランプ政権にとって、「シリア問題よりも北の核脅威の方を早急に解決した方がよい、でなければ今後、後顧の憂いが絶えない」との見解を示した。

 また、米軍のシリア空軍基地に対するミサイル攻撃を見ると、米軍は空爆の標的を正確に破壊することができると評価した巩氏は、米軍が同様な手法で「核実験設備を空爆で破壊すれば、北朝鮮はもう核実験ができなくなる」とした。

 「中国当局が反対しない限り、米当局は問題をより早く解決できるだろう。中国側が反対しないのであれば、当局は米軍の攻撃に賛同、あるいは黙認したと認識してもよい」と述べた。

(記者・駱亜、翻訳編集・張哲)