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1970年代からサプライ チェーン マネジメント(SCM)やロジスティクスで活用するなど、音楽業界におけるICT活用は、他業界に先駆けて進められてきました。これまで「物流」を主目的に活用されてきたICTですが、近年はその活用目的に変化が訪れています。音楽作品の量が膨大となり、またユーザーと音楽のかかわり自体が変化する中で、いかにユーザーの作品選びを支援する「情報」を提供するかが、ICTに求められるようになってきたのです。こうした中、「ITで音楽・映像ビジネスをサポート」することを目的に事業を展開するのが、株式会社ジャパンミュージックデータ(以下、jmd)です。

同社は、「音楽商品とユーザーの結びつけ」という重大な役割を担っています。その事業の根幹を担うのは、音楽商品の 1 つひとつに関する収録曲、ジャケット写真、試聴音源といった情報を集約した「音楽・映像データベース」です。同社ではこれまで、このDBシステムを含む約50台の物理サーバーをオンプレミスで構築。パートナー企業とともに運用を行ってきました。しかし、今後も変化していくであろう音楽業界に追従していくには、従来のIT基盤とパートナーに依存した運用体制では、コストとアジリティの面で課題がありました。

そこで同社では、IT基盤と運用体制を見直すべく、パブリッククラウドの活用を検討。高いセキュリティレベルと豊富なPaaSの存在を評価し、Microsoft Azure上で新たなIT基盤を構築することを決定しました。この取り組みでは、IaaSに加えPaaSも積極的に利用したことで、従来環境と比べて約30%のコスト削減と、自社IT部門だけで業務を完結できる体制の整備を実現。これまでOracle Databaseを利用してきた音楽・映像データベースについても、PaaSであるAzure SQL Databaseへ移行しています。

プロファイル

一般社団法人日本レコード協会加盟レコード会社の賛同、協力を得て、音楽商品の販売促進に寄与する事を事業目的として2000年6月に設立された、株式会社ジャパンミュージックデータ外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きます。音楽や映像に関するあらゆる「情報」をビジネスの財産に、各社が発売、販売する商品カタログデータ「eCATS」、および試聴音源、ジャケット写真などのプロモーション素材を、レコード店や EC サイトへ提供。作品とユーザーの結びつけを支援しています。

○導入の背景とねらい
音楽業界の変化に対応可能なアジリティ獲得へ向け、IT基盤と運用体制の見直しを検討

世の中には数多くの音楽商品が存在します。現在、jmdで扱っている音楽商品の数は44万タイトル、480万トラックにも上り、廃盤となった商品を含むとこの数はさらに多くなります。加えて、毎年15,000もの新タイトルも登場するわけですから、ユーザーが「自身の嗜好に合った作品を探しだす」のには、相当の労力がかかっているといえるでしょう。こうした中、作家、ミュージシャンとメーカーの権利を守りながら、作品とユーザーの結びつけを支援しているのがjmdです。

「ITで音楽・映像ビジネスをサポート」を社是に掲げ、事業を展開するjmd。同社では、収録曲やジャケット写真、試聴音源といった情報を集約した「音楽・映像データベース(以下、メインDB)」を顧客へ提供することで、音楽商品の販売を支援しています。

jmd 代表取締役社長 渡邊 博一氏は、音楽業界におけるICT活用の目的が、近年変化してきていると説明します。

「これまでレコード ショップは『目当ての作品がありそれを購入する場』として主に機能していました。しかし近年、『嗜好に合った作品探しを行う場』としての利用傾向が強まっています。こうした『接点』ともいえる場は、リアルの店舗だけでなくインターネットなどへも拡大しており、ユーザーと音楽のかかわり自体が大きく変化しているといえるでしょう。1970年代からSCMやロジスティクスで活用するなど、音楽業界では他業界と比べて早くからICTを活用してきました。そこでは主に物流の最適化を目的とし利用されてきましたが、先の変化に伴い、このICT活用の目的も近年変化しています。『物流』だけでなく、いかに作品選びを支援する『情報』を提供するかが求められるようになったのです」(渡邊氏)。

音楽や映像作品の商品情報はレコード会社ごとでフォーマットが異なります。異なるフォーマットのままでは、ユーザーへ向けた「作品探しを支援する情報」の提供に支障をきたす恐れがあります。jmdは、この情報の一元管理を担うことで音楽業界をさらに発展させることを目指し、2000年に設立。各メーカーが所持する膨大な量の商品情報は、電子データ交換(EDI: Electronic Data Interchange)を通じてjmdに入稿されます。jmdはそれをDB化し、そうして整備された商品情報を、卸業や小売店、インターネット事業者、放送局などさまざまな顧客へ提供。こうして、あらゆるチャネルから音楽作品の情報提供がなされ、ユーザーの作品探しが支援されているのです。

jmd IT部 ゼネラル・マネージャー 石崎 隆氏は、こうした事業を展開するうえで、情報の正確性を最優先にメインDBを整備していると語ります。

「メインDBは当社事業の根幹ですが、その運用においては『正確な情報であること』を第一に心がけています。その理由は、メインDB内の情報がユーザーの作品選びを左右するため、何よりもその正確性を優先すべきだと考えるからです。メーカーから入稿される商品情報は、1つの作品だけでも、トラック名や歌詞、再生時間、細かなメタデータなど数十もの項目に分かれています。こうした情報を正確にDB化するにはどうしても手作業が必要です。また、顧客ごとの要件に合わせた形式でデータの提供を行わねばならないため、DBにかかわる業務は自動化できません。逆に言えば、工数がかかる作業をていねいに遂行することで担保した『高い正確性を持った商品情報』こそが、当社が持つ最大の事業価値だといえます」(石崎氏)。

jmdではこれまで、メインDBにOracle Databaseを利用し、DBにかかわる業務の多くは.NETで開発したアプリケーションを使用していました。そのため、オンプレミス環境で稼動する物理サーバーの約9割は、Windows Serverで構築。パートナー企業へ委託する形で、同環境の運用を行ってきました。

しかし、今後も変化していくであろう音楽業界に追従していくには、従来のIT基盤ではコストとアジリティの面で課題があったと、jmd IT部 担当マネージャー 鈴木 正樹氏は語ります。

「メインDBのデータ量は増加の一途をたどっています。そのたびにCPUやメモリを調達し、定期開発せねばならず、ランニングコストは増える一方でした。また、オンプレミス環境では、システムに実装できることが物理リソースの範囲内に制限されます。そのため、今後新たなユーザーニーズが生まれたとして、そこへの対応を進めるのにIT基盤側がボトルネックになる可能性があったのです。こうしたコストとアジリティの課題は、事業を継続するうえで解消すべき事項でした」(鈴木 正樹氏)。

また、パートナー企業への依存度が高い場合、そうでない場合と比べると、どうしても1つひとつの案件対応に要するコストは増加します。また、システム内にブラックボックス化した領域が生まれるリスクもそこには存在します。今後も音楽とユーザーとのかかわりは、随時変化していくことが予想されました。そこへjmdとして追従していくためには、これまでのIT基盤を見直すとともに、同社のIT部門だけで業務が完結できる体制の整備が不可欠だったのです。

こうした背景から、jmdではメインDBを含む全IT基盤について、パブリッククラウドへ移行することを検討します。jmd IT部 チーフ 藤田 和明氏は、パブリッククラウドに着目した理由について、次のように説明します。

「これまでパートナー企業に依頼してきた運用業務をすべて当社で吸収する必要があります。これを従来と同等の人的リソースのままで実現するには、パブリッククラウドを活用する以外に方法はないと考えました。パブリッククラウドであれば、インフラ管理の業務負荷が最小化できます。また、ハードウェアの調達が不要になることで、コストとアジリティ面にあった課題の解消も期待できました」(藤田氏)。

○システム概要と導入の経緯、構築
PaaSの豊富さと、Oracle DatabaseからAzure SQL Databaseへの高い移植性を評価し、Azureの採用を決定

jmdは2014年の夏より、IT基盤の見直しについて検討を開始。この取り組みにおいては、まずjmdの要件を満たすクラウド サービスの調査から作業が進められました。多くの権利情報をメインDBに格納するため、データセンターには相応のセキュリティ レベルが求められます。また、そこへの接続には専用線を利用する必要もありました。

同社では、これらの要件を満たし、加えて既存環境で主に利用していたWindows Server との高い親和性を持つとして、マイクロソフトが提供するAzureに注目。他のサービスも比較検討した結果、Azureを筆頭候補とし、移行の有効性に関する検証作業を進めることを決定します。

石崎氏は、検証作業の基盤にAzureを採用した理由として、同サービスがPaaSを豊富に備えていた点を挙げます。

「Azureは専用線に『ExpressRoute』を備えており、東西に分かれたデータセンターで冗長化も図ることができます。セキュリティや信頼性の水準にはまったく懸念を抱きませんでした。何よりも期待したことは、『Azure Web Apps』や『Azure Active Directory』をはじめとする豊富なPaaSの存在です。たとえクラウドといえど、IaaSの場合、どうしてもインフラの構築と運用に相応の工数を要します。稼動するシステムの多くがPaaS化できれば、構築、運用の工数は最適化でき、IT部門の業務をシンプルにできるでしょう。今回の取り組みで目指したのは、『今後の音楽業界の変化にも耐えられる体制』の整備です。当然ながら、そこには定常運用を滞りなく遂行するだけでなく、新たなシステムや機能を実装する『攻めのIT』も実践していくことが求められます。これらのリソースを担保する意味でも、PaaSの存在は非常に大きかったといえるでしょう」(石崎氏)。

続けて、jmd IT部 鈴木 勝男氏は、同社の事業の根幹となるメインDBについても、PaaSへの移行を検討したと語ります。

「これまでOracle Databaseを利用してきたメインDBについても、IaaSで運用するのではなくPaaSの『SQL Database』へ移行することを計画しました。メインDBは事業の根幹であるがゆえに、その運用においては相当の工数とコストを要します。これが PaaS化できれば、大きなコストメリットを生み出すことができ、それを攻めのITへ割り当てられると考えたのです。根幹となるシステムですので、当然ながら移行の検討とその判断は、慎重を期する必要があります。当社のみでその可否を検討すべきではないと考え、オンプレミス環境からクラウド環境への構築、移行実績を豊富に持ち、データベース マイグレーション評価サービスを提供する株式会社システムコンサルタント (以下、システムコンサルタント) への相談を行いました」(鈴木 勝男氏)。

システムコンサルタントは、データベースを主に企業のシステム構築を支援する企業です。同社はGold Cloud Platformをはじめとした数多くのマイクロソフトコンピテンシーを取得しており、Microsoft Azureコンサルティング パートナーの国内第1号に認定されています。jmdは 2014年10月、システムコンサルタントへ、移行検証サービス「Oracle マイグレーションアセスメントサービス(以下、OMA)」を依頼。Oracle Databaseで構築したシステムをSQL Databaseへ移行した場合の移植性やコスト、工数、そして総合的な観点からの有効性について、検証を実施しました。

実際にこの作業を実施した、システムコンサルタント オープンシステム統括部 永野 浩史氏と本澤 佑樹氏は、OMAにおいて非常に高い有効性が示されたと語ります。

「OMAでは、性能やコストなど8つの項目からデータベースを分析し、各項目でレポートを提供します。さらに、移行方法とその難易度(移行コスト)、移行後のコスト削減効果についても具体的な数値で評価結果をお伝えし、それらを踏まえた『総合的評価指数』をもって、移行の有効性を提示します。近年はjmd様のように、PaaSへの移行を目的に当サービスを利用されるお客さまが増えています」(永野 氏)。

「今回のアセスメントでは、総合的評価指数が『A+』と、非常に高い有効性が示されました。概ねの項目で有効性が実証された形となりますが、何よりも注目すべきなのは、データの変換率についてほぼ100%に近い数値が算出された点です。変換率の高さはすなわち移植性を示します。事業の根幹となるデータの正確性は維持したまま、早期に有効な環境への移行ができるという結果だったのです」(本澤氏)。

○導入の効果
約30%のコスト削減に加え、人的リソースの変更なくパートナー依存体制からの脱却を実現

OMAの高い評価結果を受け、jmdでは2014年12月、これまで同社のデータセンターで稼動していたシステムについて、全面的にAzureへ移行することを決定。2015年1月より、EOL(End of Life)を迎えたシステムから順次移行作業を進め、2016年末にはメインDBを含む当初計画した全システムについて、Azureへの移行を完了しています。

今回、一部のシステムはオンプレミスに残す必要があったため完全なクラウド移行にはならなかったものの、Azureを採用し新たなIT基盤を構築したことが、従来環境と比較し大きなコストメリットを生み出していると、渡邊氏は語ります。

「ハイブリッドクラウドではあるものの、データセンターのラック数は6本ほど減らすことができ、ほとんどのシステムがAzure上で稼動しています。今回実施したIT基盤の刷新は、結果的に約30%のコスト削減をもたらしました。また、スケーラビリティを持った基盤が獲得できたことで、ユーザーニーズの変化に対し即座にシステム側が対応できるようになりました。Azureの採用は、当社の社是である『ITで音楽・映像ビジネスをサポート』を今後も実践していくうえで、有効な判断だったと考えています」(渡邊氏)。

Azureの採用は、こうしたコストメリットだけでなく、パートナーからの脱却という面でも大きな効果を生み出しています。鈴木 正樹氏と藤田氏は、IT基盤へPaaSを積極的に採用したことで、自社IT部門だけで業務を完結できる体制が整備できたと、笑顔で語ります。

「メインDBのミッションクリティカル性や、基盤全体で扱う情報の規模を考えた場合、当社IT部門が有する人的リソースは、決して多いとはいえません。この人員のままでパートナーへの依存度が高かった従来の運用体制から脱却し、情報を正確かつ安定して提供するには、PaaSの活用が不可欠だったといえます。Webアプリケーション、DBなど、Azure上のIT基盤では多くのPaaSを利用していますが、その豊富さだけでなく、各サービスのクオリティの高さも、Azureの大きな強みだと思います」(鈴木 正樹氏)。

「オンプレミスやIaaSではインフラのメンテナンスやバックアップ作業などが欠かせません。PaaSの場合はそれらを事業者側に任すことができ、業務の多くが自動化できます。また、マイクロソフトが持つグローバル レベルの高度なセキュリティは、Azure上のIT基盤においてもそのまま享受できるため、セキュリティへの設備投資が少なくて済む点もポイントですね。現在、認証基盤などはまだIaaSで構築していますが、今後このあたりについてもPaaS化を進めることを計画しています。これにより定常運用の負荷はより削減されるため、攻めのITへリソースが割り当てられるようになると期待しています」(藤田氏)。

○今後の展望
マイクロソフトのプラットフォームをメインとした環境整備を進めていく

基幹となるIT基盤をAzure上で刷新したことにより、コスト削減、アジリティ獲得といった大きな効果を生み出したjmd。同社では今後、情報系システムにおいても、Azureが備えるPaaSの導入や、マイクロソフトが提供するOffice 365の利用を検討していると、石崎氏は語ります。

「音楽業界はめまぐるしく変化しています。当社のビジネスも、これまで以上にスピードを高めていかねばなりません。そこでは、今回の取り組みで実現した、アジリティをもったIT基盤の構築だけでなく、従業員の業務パフォーマンスを最大化するためのしくみも整備しなければなりません。それを実現すべく、現在、Azureの仮想デスクトップ サービス(DaaS)とOffice 365の導入を検討しています」(石崎氏)。

Azureに加えてOffice 365も導入する場合、jmd内で稼動するシステムのほとんどが、マイクロソフト製品で占められる形となります。これは、サポート窓口の統合化といったメリットがある一方で、単一ベンダーへの依存度も高くなるため、相応のリスクも存在します。

こうした背景から、渡邊氏は「今後はマイクロソフトのプラットフォームをメインとした環境整備を構想しています。正式にこれを進める場合、当社にとってマイクロソフトは、『オンリー ワン』の存在となるでしょう。メインDBの移行を控えた 2016年末のことですが、データ移行時にAzureの稼動が一瞬でも停止しては大きな事故となるため、念押しとして相談したことがありました。その際、マイクロソフトからは迅速にサポートいただきました。今後もこうしたオンリーワンの存在として、マイクロソフトには密なサポートを継続いただきたいですね」と期待します。

ユーザーと音楽とのかかわりは今後も変化が予想されます。しかし、jmdが提供する「作品探しを支援する情報」は、ユーザーにとって有益であり続けるでしょう。高い正確性をもったjmdの情報発信は、マイクロソフトの支援のもと、今後も継続され続けます。

ユーザー コメント
「ハイブリッドクラウドではあるものの、データセンターのラック数は6本ほど減らすことができ、ほとんどのシステムがAzure上で稼動しています。今回実施した IT 基盤の刷新は、結果的に約30%のコスト削減をもたらしました。また、スケーラビリティを持った基盤が獲得できたことで、ユーザーニーズの変化に対し即座にシステム側が対応できるようになりました。Azureの採用は、当社の社是である『ITで音楽・映像ビジネスをサポート』を今後も実践していくうえで、有効な判断だったと考えています」

株式会社ジャパンミュージックデータ
代表取締役社長
渡邊 博一氏

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