先に行われた桜花賞。競馬ファンならご存知だろうが、8番人気の伏兵レーヌミノルが快勝。2着に3番人気リスグラシューが入線し、馬連で17,000円もの高配当が飛び出す大荒れの結果となった。

それもその筈で、単勝1.4倍の圧倒的人気に支持されたソウルスターリングがまさかの3着に敗退したのである。前売りでは一時、1.1倍にまでオッズが下がる程の人気ぶりで、ほとんどの競馬ファンから“この馬で1着は間違いない”と見られていたのだろう。これまでのレースは4戦4勝無敗の完璧な内容。その中身も1戦毎に強くなっていき、テン良し・中良し・終い良しと全てが超一級品のレベルで負ける要素が正直見当たらなかった。強いて不安なポイントを挙げるとするならば、週末の天気が下り坂で稍重以上の道悪になる事だけは決定的だった為、何か付け入る隙は無いかと多くの穴党がそこに着目する事となる。

同馬の血統を紐解くと、父がヨーロッパ史上No.1と呼ばれた怪物フランケル。2010年頃にイギリスで14戦14勝、G気10勝と言う見事なまでの成績を挙げた完全無欠の最強馬であり、その現役時代は稍重~重馬場を苦にしない圧勝の連続。そして、母のスタセリタもその前後にフランスでG気6勝した名牝だが、この馬も不良馬場は2戦2勝と折り紙付きの道悪巧者だった。つまり、ソウルスターリングは遺伝子的に2017年桜花賞へ出走するどの馬よりも不良馬場をこなせる前評判すらあった程で、実際そのフォームや馬体などからして多くの評論家はむしろ更に有利になるのでは??と予想したに違いない。

しかし、蓋を開けてみれば結果はご覧の通り。いつもの先行力が影を潜め、4コーナーでは必死に追い出すも前に全く進まない見るも無残な同馬の姿がそこにはあった。レース後、鞍上のルメール騎手は取材に対して『今日は馬場が違ったので馬が進まなかった。直線でも手前を何度も変えていたから』と敗戦の弁を語れば、管理する藤沢調教師は『悪い馬場は得意と思っていたんだけどね。走っている所を見るといつもの手応え抜群という感じでは無かったかな』と、前日降り続いた雨に負けた理由を委ねる発言を繰り返した。

逆に、1着のレーヌミノルはその恵みの雨で能力が最大化されたのが勝因だろう。父ダイワメジャー、母父タイキシャトルと、馬場が悪くなればなる程強くなった馬のDNAをそのまま競馬に活かしての快走劇だった。これも血統ファンからすれば容易に想像出来るシナリオだっただけに、ソウルスターリングとレーヌミノルの馬連を持っていた人はかなり多かったのではと推測される。しかし、そこへ追い込んで来たのがリスグラシュー。同馬の父ハーツクライは生涯の全19戦全てが良馬場という、何とも道悪の得手不得手が分かりにくい血統の馬が2着に入線する皮肉な決着となった。
この様に、競馬を楽しむ上で血統というファクターがレースの結果に大きく影響を与えているのは事実だが、決してそれだけで判断出来ない事も逆にハッキリとしている。決して新聞やネットに書き記されたデータを鵜呑みにする事無く、自分自身の嗅覚を便りに馬券という名の推理小説を思う存分楽しんで頂きたい。

やはり、血統=競馬に“絶対”は無いのである。

※写真は桜花賞とは関係ありません