テック系IPOへの関心再燃か、クラウドID管理Oktaの調達額は208億円

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テック系企業のIPO(新規上場)市場には今年、活気が戻ってきているようだ。2014〜15年に上場を果たしたものの、その後は1年半近くにわたって資金調達に悩んできた企業の投資家たちにとっては特にうれしい話だ。

サンフランシスコに拠点を置くエンタープライズ系テクノロジー企業のOkta(オクタ)は4月7日、ハイテク株が中心のナスダック市場に上場した。IPO市場に活気が戻ることは、企業各社に自社のクラウドベースのソフトウェアを売り込みたいオクタのような企業にとっては、売上高の増加につながることでもある。

2009年創業のオクタが手掛けるのは、企業向けのID管理サービス。企業のコンピュータシステムへのアクセスについて、適切な人に適切なレベルのアクセスが与えられていることを確実にするものだ。同社の最大の投資家はベンチャー・キャピタルのセコイア・キャピタル。次いで株式の17%を保有するアンドレッセン・ホロウィッツとなっている。

ID管理サービスは今後、市場としての大幅な成長が見込まれている。オクタは自社のサービスについて、「顧客企業が人とテクノロジーを安全に、いつでもどこでも、どのデバイスによってでもつなぐことを可能にする、そのカテゴリーを明確に定義するプラットフォーム」だと説明する。

投資関連情報を提供するインベスターズ・ビジネス・デイリーによれば、ID管理サービスは、180億ドル(約2兆円)規模の市場になることが見込まれるという。ただ、オクタは現在のところ、急速に成長しつつも多額の資金を失うパターンから抜け出せていない。今年1月末までの通年の決算で、売上高は87%増の1億6030万ドルとなったものの、純損失は8350万ドルに上った。

それでも、投資家らは同社の現状に満足しているだろう。上場によって1億8700万ドルを調達した。当初は売り出し価格を1株当たり13ドル〜15ドルとしていたが、上場時には同17ドルに設定。株価は初日の取引で38%上昇し、終値は23.50ドルとなった。

競合も上場目指す

オクタのライバル、テキサス州オースティンに本社を置くセイルポイント(SailPoint)の最高経営責任者(CEO)であるマーク・マケインは先月、出席したイベントでIPOに関する複雑な思いを語った。

同様に今年または2018年中の上場を目指すマケインCEOは、「当社の売上高は、2015年には1億ドルだったが、2016年には1億3000万ドルに増加。利益も出ている。従業員は1000人近く、対応可能な市場は、オクタの180億ドル規模を上回る」と話す。

市場調査会社のガートナー・グループによれば、セイルポイントのビジネスは「ID情報のガバナンス(統治)と管理」だ。2015年1月に公表した報告書では、同社が完璧なビジョンと実行能力をもってID統治・管理業界を率いていくとの見通しを示すとともに、同社をIBM、オラクルと同じ、業界の「リーダー」に分類した。

そのセイルポイントがIPOによってどのような成果を得られるかは、オクタの今後に左右されることになる。オクタがID管理ビジネスでより多くの企業の関心を得てニーズを生み出すことができれば、それはセイルポイントにとっての利益にもなるだろう。

一方、オクタが向こう数か月の間に自社の利益確保の可能性について投資家を納得させることができなければ、同社の株価は下落する。そうなればそれもまた、すでに利益を出しているセイルポイントにとっては、好機が残されることを意味するのだ。特に、同社が利益を伴う成長を維持できていればなおさらのことだ。