10月にモントリオール(カナダ)で行われる世界体操競技選手権の代表2次選考会を兼ねた全日本選手権が東京体育館で行われた。

 最終日の9日には男女個人総合決勝が行われ、日本体操界で初のプロ転向後、初戦となった内村航平(28、リンガーハット)が6種目合計86.350点で個人総合10連覇を達成。8年半国内外の大会で守り続けている個人総合無敗記録も39に伸ばした。

 2位は田中佑典(コナミスポーツ)、3位は白井健三(日体大)が続いた。

■薄氷の10連覇

 これまで全日本選手権は9連覇を達成していたが、本人も「負けたほうが楽だったかな」とコメントしていた通り、10連覇は薄氷を踏む思いで達成した。

 立ちはだかったライバルは、ロンドン五輪とリオ五輪で共に戦った田中だけではなかった。今大会3位に入賞した「ひねり王子」という愛称でおなじみの白井の他に、谷川航、千葉健太、萱和磨(ともに順天堂大)といった96年生まれの「シライ世代」と呼ばれる若手の突き上げもあった。

 団体2位に終わったロンドン五輪以降、「オリンピックでの団体総合金メダルと個人総合2連覇」を目標に掲げ体操に打ち込んできた4年間。リオ五輪ではその両方の目標を達成した。

 10年間トップを守り続けてきた肉体は悲鳴をあげており、リオ五輪で目標を達成したことで燃え尽きた内村は休養を宣言した。10月には日体大卒業後の2011年以降6年半在籍したコナミスポーツクラブを退社。日本体操界で初となるプロ転向を果たした。

 それでも、心も体も一向に上向かないまま8日の予選を迎えた。

 リオ五輪以来8カ月ぶりの実戦となる全日本。予選では、平行棒を掴み損ねて落下するなどミスが相次ぎ、まさかの4位通過となった。

 決勝も白井や谷川ら若手に先行される展開。実際、最終種目の鉄棒を残した段階で、首位の白井、谷川の2人と0.05点差の3位だった。また、最終種目の鉄棒は田中が最も得意とする種目でもある。

 先に演技を行った田中は鉄棒で14.850点と高得点を叩き出し、後に演技を行う選手にプレッシャーをかけた。それでも内村は、最後の鉄棒もほぼノーミスの完璧な演技を行い14.450点。

 トップに並んでいた白井と谷川は鉄棒で少しミスがあり14.150点と13.800点に終わり、最終順位は3位と4位に下げた。これによって、内村の個人総合10連覇が決まった。

●今後の予定は

 今年の世界体操競技選手権では、五輪翌年ということもあり団体総合は実施されず、個人総合と種目別のみとなる。

 そのため、個人総合代表が2名、種目別代表として最大4名が選出される。

 個人総合代表については、今回の全日本選手権決勝の得点を持ち点として争われるNHK杯(5月)の個人総合上位2人が代表となる。今回優勝した内村は、NHK杯で2位以内に入れば代表に決まることとなる。

 種目別代表については、全日本種目別選手権(6月)の優勝者や同大会予選、NHK杯など、選考対象大会の各種目最高得点者を候補選手として強化合宿を実施。9月上旬実施予定の試技会での成績も踏まえて決定される。