映画『NO』で知られるパブロ・ラライン監督

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 ナタリー・ポートマンがジョン・F・ケネディ元大統領の夫人を演じたことで話題の映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』について、パブロ・ラライン監督が2016年10月15日(現地時間)にザ・ペニンシュラニューヨークで行われたインタビューで語った。

 本作は1963年に暗殺されたジョン・F・ケネディ元米大統領の暗殺から葬儀までの4日間を、彼の妻ジャクリーン・ケネディ(ナタリー)の視点で捉えた秀作。妻の心情やホワイトハウスでの対応を、後に行われた記者とのインタビューと交錯させて描く。映画『NO』で一躍注目されたチリ出身のラライン監督が、メガホンを取った。

 これまで描かれてきたジャクリーンと、異なったアプローチをしたかったというラライン監督は「大統領暗殺という悲劇を味わった瞬間から、ジャクリーンの繊細で特別な感情や、彼女がアメリカ全体を背負いながら物事(葬儀など)を進めていく過程を描きたかった。あまり知られていない彼女の繊細さと神秘性を伝えることが、僕にとって、ある意味挑戦だった」と振り返った。

 大統領暗殺後のジャクリーンの変化について「葬儀までの4日間、彼女は日々変わっていく。当初は、ジョン・F・ケネディの伝説を守るための行動であったが、次第に彼女は(世間から)憧れの女性像になっていく。そんな彼女が変化していく過程が、僕にはとても美しく思えた」と語った。劇中でジャクリーンは、ファーストレディとして国民の前で行動し、妻として夫が過去の人として扱われることに憤りを感じていく。そうした姿や子供達と向き合う様子が、観客の目に焼き付く。

 映画は大統領暗殺後を描いているが、なぜ大統領暗殺シーンを含めたのか。「あの暗殺事件を捉えたのは、エイブラハム・ザプルーダーが撮影したザプルーダー・フィルムだが、実際に人々がその映像を観ることができたのは、10年以上たったテレビ番組(1975年に放映されたABC深夜番組『Good Night America』)だった。これまで、あの暗殺シーンを再現してきた映画やテレビ番組は、必ずあのザプルーダー・フィルムを参考にしてきた。だが、この映画はジャクリーンを描いているため、あえてジョン・F・ケネディの側にいた彼女の観点から描いてみた。それに、彼女の記憶から決して消し去ることのできないあの悲劇を(劇中に)含めないのは、理にかなっていないと思ったんだ」。(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosoki)