敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ仕事術「HOW I WORK」シリーズ。今回はオンラインで世界中の学生に多様な分野にわたり大学レベルの授業を無償で提供するedXのCEOを務めるアナント・アガワル(Anant Agarwal)さんの仕事術です。

インターネットの長所の1つに万民が自主的に学ぶ機会を得られる無料オンラインコースの実現であることに議論の余地は無いでしょう。ハーバード大学とMIT(マサチューセッツ工科大学)が共同設立したedXは、そうしたプラットフォームの1つで、無料でオープン・ソースのコースを提供することにより、世界中の人々がそれが無ければ手が届かなかったはずの教育を受けられるようにしています。そのedXの舵取りをしているのがアナント・アガワルさんです。彼はMITの電子工学の教授でもあります。

多くの人々がハーバード大学からUCLAバークレー校に至るまで幅広くアメリカの大学の講義を受講できるのみならず、海外の学校の講義まで受講できるMOOC(大規模公開オンライン講座)を長い間擁護してきた彼は、複数の会社の共同設立者でもあり、edXを指揮しながら世界を旅し続けています。しかし、聞くところによれば、彼の好きな仕事場は、高級感のあるオフィスではなくて、ごく普通のファミレスのようです。そんな彼の仕事術をご紹介しましょう。

居住地:マサセッチュー州ケンブリッジ
現在の職業:eDxのCEO、マサチューセッツ工科大学教授
仕事の仕方を一言で言うと:ひたすらに
現在の携帯端末:私の場合、携帯しているものの中で一番お世話になるのはボールペンですが、iPhone 7とiPadミニで補完しています。
現在のPC:サムスン900X Windows notebook

── 「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは?


私はかなり頻繁に旅をします(むしろ常にしていると言うべきでしょうか)。世界に100以上のedXのパートナーがいるので、ある週はマイアミにいたと思うと、翌週はムンバイにいることも珍しくありません。ですから、世界のどこにいようとも連絡を取れるようにしておくために、iPhoneをインターネットに接続できるホットスポットへの依存度は高いです。あとは、Gmailアプリ、Google Drive、リモートのデスクトップでしょうか。でも旅行中は必ずしも仕事だけしているわけではありません。懐中電灯と拡大鏡が無いとやっていけません。外食するときはメニューの文字を拡大するのにどちらも必要だからです。Slingboxアプリも愛用しています。旅行中にアメフトのぺイトリオッツの試合を見るのに使っています。


── 仕事場はどんな感じですか?


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マサチューセッツ州ケンブリッジのケンダル・スクエアにあるedX本部の私のオフィスの以外で一番重要なオフィスは私と家族が住む町から近いナティックにあるFrescafeというファミレスです。週末には、私一人で、ラップトップを持ち込み、何杯もカフェインレスのコーヒーを飲みながら、少なくとも日に2時間はそこで過ごしています。そこで重い朝食を取るのがこの20年間欠かせない習慣になっています。2000年代初期にそこで電子工学に関する本を書いて以来、無くてはならない場所になりました。私はファミレスでよく会う人たちや給仕スタッフとよく言葉を交わしています。私のラップトップに貼ってあるedXのステッカーが会話のきっかけになったことが何度もあり、edXで勉強中の人が偶然そのファミレスに仕事や食事をしに来て、話を聞かせてくれるのを嬉しく思っています。困難な提案を試行したり長い録音をチェックするモチベーションとしては、実際にedXで学習している人たちから元気の出る話を聞くのが一番です。


── お気に入りの時間節約術やライフハックは何ですか?


これは即答できます。それは、先延ばしすることです。仕事に関しては、私のライフハックは「先延ばしできることは先延ばしする」です。時間管理の方法として完璧でないとわかってはいるのですが、私には有効な方法です。同僚たちをイラつかせているかもしれません。やらないですませられる仕事だとわかることもありますが、たいていは手が付けられないほどたくさんの締切に追われる状態に陥るので、私は優先順位をつけて超効率的になり1つ1つの仕事に対して、最小限の時間で、最大限の配慮とエネルギーを注ぐようにしなければなりません。自戒を込めて締めくくるとしたら、唯一私がもっとうまくできるようになりたいことがあるとしたら、それは時間管理です。


── 愛用しているToDoリストマネージャーは何ですか?


ポケットにぐちゃぐちゃにして放り込んだ紙切れです。ハイテクではありませんが、この上なくポータブルで、電池切れも発生せず、飛行機の中でも使えます。しかも、その紙切れに書き込まれた作業は、ちゃんとやり遂げられることになるんです。


── 携帯電話やPC以外で、「これがないと生きていけない」というガジェットはありますか?


電話会議中やミーティング中は、アナログの置き時計を良く見えるところに置かないとダメです。私は会話中にどんどん話を深めていくのを好む傾向があるので時間の経過がわからなくなってしまいます。腕時計はつけない主義ですし、会議中は気が散らないように携帯電話、ラップトップ、その他のデバイスは一切近くに置かないようにしているため、普段時間を知る手立てとしているものが無い状態になります。それでアナログの置き時計があれば、携帯電話やラップトップを開かなくても、どれだけの時間を使ったかがわかるので、時間管理ができています。


── 日常のことで「これはほかの人よりうまい」ということは何ですか?


ケララ・フィッシュ・カレーを作ることです。私のは絶品ですよ! それから、学校時代はスタンダップ・コメディ(独り漫才)をしていました。楽しい人間でいることといろいろなことにユーモアを見つけられることは良いリーダーになる必須条件です。リーダーの決定に不満な人たちの反感もユーモアで和らげることができるからです。


── 仕事中は何を聞いていますか?


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運転中と電話をかけていないときはトークラジオを聞いています。しかし、大学時代にインド工科大学マドラス校のものすごく騒々しい寮に慣れたので、実質的にはどこででも仕事ができます。今でも背景の騒音を一切シャットアウトして仕事をすることができます。あるときは、カナダ航空のフライトに乗り損ねてしまったこともあります。搭乗ゲートの反対側でラップトップのキーを叩くのに夢中になって、航空会社から自分の名前が何度も呼ばれていたことに気づけなかったからです。それ以来、携帯電話のアラームをセットすることにしています。


── 今、何を読んでいますか?お勧めの本はありますか?


多分、何かJohn Grisham氏が書いたものです。


── どのように充電していますか? 仕事のことを忘れたいときはどうしますか?


ワークアウトをして適度な疲労感を感じたいと思ってはいるのですが、本気でエクササイズを始めなければいけないです。ファミレスで重い朝食を食べたりピザを食べに行くのはいつも楽しくてたまりません。映画に逃避したいときはNetflixを見ています。


── 睡眠習慣はどのような感じですか? 夜型ですか、朝型ですか?


どこでもすぐ眠れるタチです。立ったままでも眠れます。ウソじゃないですよ。1日6時間から7時間の睡眠を取るように心がけています。

間違いなく夜型で、夜遅くまで仕事をするのが好きです。早朝は大の苦手です。一晩中起きていて朝5時にミーティングする方が、朝5時に起きるよりずっといいですね。


── 今日あなたがされたのと同じ質問をしてみたい相手はいますか?


BattushigさんやAmol BhaveさんのようなedXの学生です。彼らは実に刺激的で、私は彼らの業績にいつも感心しています。どちらもそれぞれモンゴルとインドで高校生をしながらedXのMIT電子回路コースを受講して、高得点で合格しました。その後、彼らはMITに入学して今は4年生に在学中です。若くして、計り知れない野心と才能を見せる彼らが将来どうなるか興味津々です。


── これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください


今までもらったベストなアドバイスは「常に好奇心の趣くままに行動せよ」です。私のキャリアを通して常に好奇心が重要な役割を果たしてきました。信じられないかもしれませんが、それは私がまだ10代の頃、家族ぐるみの付き合いをしている友人の養鶏場を訪ねたときに始まりました。そのとき以来、私は養鶏に興味を持ち、自分の小さな養鶏場を始めました。その養鶏場は成功の日の目を見ました。私が卵を近所の人たちに売ったり、レストランにまとまった数の卵を卸したりして手を広げたからです。私は早くしてB2C(一般消費者対象ビジネス) とB2B(企業間取引)を発見したと言えるでしょう。好奇心のおかげで私は自分の小さな養鶏場をスタートさせ発展させましたが、その好奇心に従って、その後はハイテクのスタートアップをいくつか立ち上げることになりました。私は仕事をするときは、自分の知的好奇心に従うことの重要性を常に意識しています。


Andy Orin(原文/訳:春野ユリ)