昭恵夫人の機密漏洩報道を訂正した『グッディ』はおかしい! 証言者の記憶違いではごまかせない矛盾と疑惑

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「誤報を鵜呑みにしたフェイクニュースだ」「デマを謝罪しろ!」「便所紙のリテラは訂正記事を書かないの?」

 この数日、SNSやメールでネトウヨやネトサポと思しき連中から本サイトに対して、こんな批判が大量に浴びせられている。自分たちがさんざんデマを拡散しながら、安倍政権批判についてはすべてデマだとがなりたてる連中のリテラシーのなさは毎度の事なので今さらまともに相手にする気もしないが、今回のケースは、安倍昭恵夫人と森友学園の癒着にまつわるもの。しかも、官邸と安倍応援団がこの間、噴出する夫人の疑惑をどうごまかしてきたか、そのやり口を解き明かす鍵にもなりそうなので、検証してみることにした。

 ネトウヨが「フェイクだ」「デマだ」と騒ぎ立てているのは、本サイトが『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)の6日の放送をとりあげた記事だ。この日の『グッディ』は「独自 森友学園 寄付金集めの実態 寄付した人物語った」と題し、籠池理事長の詐欺的な寄付集めのやり口を告発する特集を組んでいたのだが、その中で「籠池夫人が昭恵夫人から伊勢志摩サミット決定を公式発表前に知らされていた」ことを証言する人物が登場したのである。

 証言したのは大阪府在住の50代の男性で、2015年6月5日に塚本幼稚園を見学した後、午前10時30分頃、園長室で籠池氏と話していた。すると、その最中に籠池夫人が園長室に飛び込んできて、「昭恵さんから電話があって、賢島(伊勢志摩)でサミットをやることが決まった!」と話したのだという。このやりとりに、男性は「昭恵夫人と親交が深いんだな、信用できる」と思い、それが寄付の決め手になったと明かした。

 伊勢志摩でのサミット開催が正式発表されたのは、男性がこの夫人の言葉を聞いた7時間後の6月5日午後6時30分頃。安倍首相が昭恵夫人を伴い、ウクライナ訪問とドイツ・ミュンヘンサミット出席のため、政府専用機に搭乗する直前、羽田空港で会見を開き、発表された。政府内では当然、正式発表時間まで口外しないようにとの箝口令が敷かれ、開催地の三重県知事にも午後6時頃までは伝えられていなかった。しかし、これが事実なら、昭恵夫人はその7時間も前に、民間人である籠池夫人に伝えていたことになる。

 この話にスタジオはざわつき、司会の安藤優子が証言を紹介した大村レポーターに「それはみんなが知ってることですよね?」と確認を求めた。すると、大村レポーターは「いや、知る前です」と断言し、こう続けたのだ。

「(この日)夕方にですね、安倍昭恵さんと安倍総理の夫妻が、ヨーロッパに行くんです。そのヨーロッパに飛び立つ、政府専用機に乗る前に、安倍総理の口から『来年のサミットは、伊勢志摩になりました』と、夕方発表になります」
「この方がこれを聞いたのは、午前10時半なんです。だから発表の7時間前にこの情報を知ってたということ」

 これにはコメンテーターたちも驚きを隠さず、政治評論家の伊藤淳夫は「もしこれが事実としたら、国家機密の漏洩みたいなことですから、大変な問題なんですよね」と解説。司会の高橋克実にいたっては、「これ、韓国の(チェ・スンシル被告の疑惑)みたいになっちゃいますよね」とコメントした。

 これを受けて、本サイトでも放送内容と事実関係を確認。同日配信の記事でこのように報じたのだ。

〈開催地の知事でさえ正式発表わずか25分前の午後6時まで伝えられなかった重要な情報を、総理大臣自らが正式発表する7時間も前に、籠池夫妻に伝えていた──。これが事実であれば、昭恵夫人は国家機密を籠池夫人に漏洩していたことになる。〉
〈しかも、厳密に言えば、官邸が"私人"であると言い張る昭恵夫人が、こうした重要事項を安倍首相の家族だからといって事前に知らされているというのも、おかしいのではないか。〉

 ところが、問題はその後だった。昭恵夫人の国家機密漏洩を物語る証言を報じたはずの『グッディ』が翌日7日、きわめて不可解なかたちで訂正をしたのだ。番組放送中に三田友梨佳アナウンサーがいきなり「ここで訂正です」と切り出し、こんなコメントを読み上げた。

「昨日の放送で、安倍昭恵総理夫人が籠池諄子氏に、サミットの伊勢志摩での開催を一昨年6月5日の正式発表の前に伝えていたという男性の証言を紹介しました。しかし、今日になってこの男性から『記憶違いだった』という申し出がありました。番組で紹介したエピソードは一昨年6月9日、政府の正式発表の後のことでした。訂正いたします」

 ネトウヨたちはこれを受けて、「リテラはフェイクだ」「記事を撤回しろ」などと騒いでいるのだが、しかし、おかしいのは、明らかに『グッディ』の「訂正」のほうだろう。

『グッディ』によれば、この男性は、「昭恵さんから電話があって、賢島(伊勢志摩)でサミットをやることが決まった!」と籠池夫人が言ったことじたいを否定したわけではない。それが、正式発表前の15年6月5日10時30分のことではなく、6月9日の「記憶違い」だったというのだ。

 しかし、9日という日は伊勢志摩サミット決定発表から実に4日もたっている。当時、このサミットの開催地決定のニュースは、5日午後6時30分の正式発表後、すぐにテレビ・新聞各社が速報を打ち、連日、大々的に取り上げていた。もちろん7日付の新聞各社朝刊でも「来年、伊勢志摩サミット」(朝日)、「伊勢志摩サミット 来年開催」(産経)などと、1面で報道。テレビも朝から夜まで、伊勢志摩の特色や魅力などを特集していた。

 しかも、塚本幼稚園は毎年、泊まりがけで伊勢神宮に参拝する「宿泊研修」を行うと謳っており、伊勢志摩でのサミット開催にはとりわけ関心が高かったはずだ。籠池夫妻がその報道を知らなかったというのはありえない。いや、籠池夫妻だけでなく、5日から9日までの4日間の報道をあらためて検証してみたら、9日の時点でほとんどの国民は伊勢志摩でサミットをやることを知っていたと言っていい。

 そんな状況で、わざわざ籠池夫人が園長室に飛び込んできて「昭恵さんから電話があって、賢島(伊勢志摩)でサミットをやることが決まった」と報告をするなんてことが本当にありえるのか。

 そもそも、9日に、昭恵夫人が電話をかけること自体が考えづらい。というのも、昭恵夫人は現地時間8日夜(日本時間9日明け方)に政府専用機でミュンヘン国際空港を発ち、日本時間9日午後4時47分に羽田空港へ到着するまで、政府専用機内にいたからだ。まあ、衛星回線を使えば電話をかけられなくもないが、そんなことまでして、正式発表から4日もたったニュースを伝えるのだろうか。

 では、昭恵夫人から電話はなかったのに籠池夫人が寄付金集めのために「昭恵さんから電話があって〜」と偽ったという可能性はどうか。前述したように9日には、国民のほとんどが伊勢志摩でサミットが開かれること知っている。そんな中で、小芝居を打ったら逆に怪しまれるだろう。仮に籠池夫妻が"詐欺師"だったとしたら、なおさらそんなすぐばれるようことはやるはずがない。

 しかも、この男性はやりとりを聞いて「昭恵夫人と親交が深いんだな、これは信用できる」と、寄付を決めたと証言しているのだ。もし、9日にやりとりを目撃したのなら、そういう反応はありえないだろう。

 とにかく、このエピソードが9日だったとしたら、あらゆることのつじつまが合わなくなってくる。言い方を変えると、このエピソードじたいが、5日の発表前の出来事でないと成立しないのだ。ということは、やはり、「記憶違い」と修正された9日の日付のほうが事実でない可能性が高いと言えるだろう。

 しかも、『グッディ』は日時を確認もせずにこの証言を放送したわけではない。6日の放送では、冒頭に紹介したやりとりに続いて、MCの安藤優子が大村レポーターに「これ確認なんですが、大阪府の50代の男性の方がそういうふうなことを記憶されていると」と念を押し、大村レポーターが「はい、今日朝あらためて確認をしましたら、やはりご記憶は6月5日の午前10時半だったと」と答えていた。つまり、番組は放送前に少なくとも2回も男性に日付を確認し、男性もはっきりとそう答えていたのだ。

 にもかかわらず『グッディ』が一転、「記憶違い」の訂正を出したというのは、明らかに放送後、何かがあったということだろう。実際、三田アナのコメントにもあったように、放送翌日になって、男性の態度が急変。強い態度で申し入れがあったという。男性は「9日の記憶違い」の一点張りで、聞く耳をもたなかったため、『グッディ』側が折れたということらしい。

「テレビ局はこうなると弱いですからね。上層部の判断で訂正を出さざるを得なくなったんでしょう。謝罪を一切しなかったというのがせめてもの抵抗だったのかもしれません」(フジテレビ関係者)

 いったいこの男性に何があったのか。実は、昭恵夫人の疑惑については、他のケースでも同じようなことが起きている。たとえば、そのひとつが例のNGOへの8000万円口利き疑惑の件だ。

 この問題の発端は、2月11日、京都大学で「もったいないの理念に基づいた変わりゆく未来社会の創造に向けて」なるシンポジウムが開催され、その際、京大名誉教授でもある日本国際民間協力会の理事が自分たちの事業への補助金支出の働きかけをした際のエピソードとして、こんな話を開陳していたことだった。

「外務省の役人はなかなか理解してくれなくてですね、えいやっ、とばかりに、理事長と私は安倍夫人のところに行きました。安倍夫人に、首相官邸に行きまして。そしたら、安倍夫人が会ってくれて、話を聞いてくれました。あの人、すごいですね。その晩に首相からすぐに連絡が入りまして、ぐぐっと回って今年予算がつきました。8000万円もらいました。今年、2つの村に入ります。あのご夫婦のホットライン、すごいですね」



 ようするにまったく相手にされなかった案件が、昭恵夫人に陳情した途端、直接、安倍首相から電話がかかってきて、すぐに8000万円もの予算がついたというのだ。この講演の動画がYouTubeにアップされていたことから、ネットで大きな話題になり「週刊新潮」(新潮社)やテレビで報じられると、日本国際民間協力会は、理事が去年12月、昭恵夫人に首相公邸で面会したのは事実としながらも、あっせんを依頼したことはなく、外務省から8000万円の援助を受けたこともないと訂正した。 その言い訳は「理事が事実と理想を混同して話してしまった」というものだったが、そんなことを信じる者はいないだろう。

 とにかく、昭恵夫人にまつわる疑惑は万事、こんな調子なのである。当事者や当事者に近いところから口利きの証言が次々出ているのに、急に証言がひっくり返って追及が止んでしまう。報道前に証言者が告白をとりやめて、報道そのものがなくなったケースもいくつかあるという。

「安倍首相や昭恵夫人のお友達は、これまで何をやってもマスコミが一切追及しませんでしたから、お友達への口利きや情報漏洩がやりたい放題で、みんな脇が甘くなっている。たとえば、安倍首相のお友達の八木秀次氏が天皇の"おことば"のビデオメッセージの内容を官邸関係者から事前に知らされていたことをポロリと漏らしましたが、首相周辺にはそういうことが問題だという意識がまったくなくなっているんです。ところが、森友疑惑を機に一気にそういう構造が問題になって、疑惑が次々噴き出てきた。だから、官邸関係者はいま大慌てで火消しに回っていますよ。昭恵夫人の交友関係を洗いなおしたり、関係者のところに『余計なことはしゃべらないでくれ』とお願いにいったり、必死ですね」(政治評論家)

 もしかしたら、『グッディ』で証言した男性にも官邸の手が回ったということのなのだろうか。実際、今日の国会でこの疑惑を追及された菅義偉官房長官はまさに自信満々の態度で「4月7日の同じ番組内において4月6日の放送の内容を全面的に訂正をしたという事実がある」「サミットの発表についてはまさにギリギリまで私のもとで総理と連携し秘密保持に務めておりましたので、そうしたことはあり得ない」と突き放していた。

 それにしても、だらしないのは、『グッディ』の対応だ。上述のように、今回のケースは5日の話を9日の記憶違いだとしてしまったら、まったく話のつじつまが合わなくなるのに、とにかく面倒を避けたいと、上っ面の訂正を出してコトを終わらせてしまったのだ。メディアがこうした態度を続けていたら、森友問題は単なる視聴率稼ぎの一時的なお祭り騒ぎで終わってしまうだろう。

 いや、すでに状況はそうなりつつある。昭恵夫人には、先日も新たに塚本幼稚園の名誉校長に就任する前日に、大阪府私学審議会の会長と面会していた事実など、まだ次々に疑惑は浮上している。だが、マスコミ報道は、昭恵夫人に公の場でまったく説明させないまま、強引に幕引きムードをつくりだそうとしている官邸に引きずられ、どんどん小さくなっている。本当にこんな政治の私物化を見逃していいのか。メディア関係者はいま一度、自分たちの役割を再認識してほしい。
(編集部)