救命の有無も意思をはっきりと示す時代に

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救急医療に従事する専門家の学会である日本臨床救急医学会は2017年4月7日、119番通報によって出動した救急隊が、現場で傷病者が「心肺蘇生等」を希望しないことを伝えられた場合の対応の指針と提言を発表した。

同学会は、傷病者のかかりつけ医による指示書がある場合は、心肺蘇生を実施しないこともあり得るとしている。

救急隊員も現場で悩んでいた

救急隊員を対象にした調査では、295名中47名が、傷病者本人が書面によって心肺蘇生などを希望しないことがあったと回答している。実際の現場では対応に苦慮する例も多く報告されていた。

具体的に「心肺蘇生等」の処置とは、胸骨圧迫や人工呼吸、AEDを用いた電気ショックや薬剤投与、気管挿管などをさす。

指針では、基本的な対応として、救急現場に到着した救急隊は「心肺蘇生等を希望しない」とする医師の指示書などが提示されたとしても、まずは蘇生を開始するよう提案。蘇生を継続しつつ、救急隊は傷病者のかかりつけ医に直接連絡して心肺停止の状況について報告し、指示書の内容と蘇生の中止の是非について確認する。

この際、中止の具体的指示をかかりつけ医等から直接確認できれば、救急隊は家族や関係者に医師から指示があったことを伝え蘇生を中止するが、明確な指示がなければ蘇生を継続し医療機関に搬送するとしている。ただし、医師の心肺蘇生等の中止の指示は死亡診断を意味するものではなく、診断が下るまでは命ある身体として扱うべきであるとも同学会は提案した。

ただし、実際にこの提言で運用するためには、救急医療現場の体勢構築などが不可欠となるため、直ちに実施されるわけではないという。