背中を痛めたローズを励ますガルシア(撮影:上山敬太)

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<マスターズ 最終日◇9日◇オーガスタ・ナショナルGC(7,435ヤード・パー72)>
アーノルド・パーマー(米国)への追悼と、盟友ジャック・ニクラス(米国)、ゲーリー・プレーヤー(南ア)の涙で始まった81回目の「マスターズ」。最後は遅れてきた神童に訪れた歓喜と、スポーツマンシップにあふれる名勝負の残したさわやかな空気の中で幕を閉じた。
美人のフィアンセと抱き合うセルヒオ・ガルシア
サンデーアフタヌーンのアーメンコーナー13番を抜けた時、2ストロークリードしていたのはジャスティン・ローズ。しかし、続く14番でセルヒオ・ガルシアがバーディを奪って差は1ストロークに縮まった。勝負の終盤戦。逃げるローズに異変が生じたのはその時だった。
15番パー5でティショットを打った瞬間、ローズはサングラスの奥の顔をしかめて一瞬その場から動けなくなる。昨年から持病となっている背中痛の影響で、今季は1週おきのスケジューリングにするなど試合数をセーブしてきたが、見た目以上にアップダウンのあるオーガスタナショナルGCでローズの体は悲鳴をあげていた。「ズキズキする痛みが途中から出ていた。特にフォロースルーの最後で体が伸びたときに、突っ張る感じがする。椎間板の違和感だ」。
その時、誰よりもローズを気にかけたのが、優勝を争うガルシアだった。動けないローズの背中に手を添えて、励ますように声をかける。それに応じたローズも口元に少しの笑みを浮かべて西日が照らすフェアウェイに歩き出した。ガルシアはその15番で会心のイーグル。ローズもバーディで並ぶ。16番に移動する時、今度は追いつかれたローズが先にホールアウトしていたガルシアの背中をポンと叩いて好プレーを称えるように笑いかけた。
終盤のしびれる争いになっても、互いが互いの好プレーにサムアップする光景はパトロン達の心を打った。最後はわずかのところで勝者と敗者に分かれたが、ローズを励まし続けたガルシアはもちろん、グッドルーザーとなったローズも称えられてしかるべき振る舞いだった。敗れはしてもローズはすがすがしく言った。「もちろん負けたことは心に残る。でも、負けるとしたらセルヒオだった。彼は勝つにふさわしい選手だ――」
【最終結果】
優勝:セルヒオ・ガルシア(-9)
2位:ジャスティン・ローズ(-9)
3位:チャール・シュワーツェル(-6)
4位T:マット・クーチャー(-5)
4位T:トーマス・ピータース(-5)
6位:ポール・ケーシー(-4)
7位T:ケビン・チャペル(-3)
7位T:ローリー・マキロイ(-3)
9位T:アダム・スコット(-2)
9位T:ライアン・ムーア(-2)
11位T:リッキー・ファウラー(-1)
11位T:松山英樹(-1)
11位T:ジョーダン・スピース(-1)他
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マスターズの最終結果
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