Doctors Me(ドクターズミー)- 国内初の乳児ボツリヌス症死亡例 ハチミツ以外にも乳児が注意すべき食べ物

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2017年4月7日(金)東京都で生後6カ月の男の子が2017年2月に亡くなった原因が、離乳食のハチミツによる乳児ボツリヌス症であることがわかりました。(参考)

統計がある1986年以降、乳児ボツリヌス症の死亡例は日本で初とのことですが、いったいどのような病気なのでしょうか。

今回は乳児ボツリヌスの概要、ハチミツが危険な理由、治療や予防対策などを医師に解説をしていただきました。

乳児ボツリヌス症とは


ボツリヌス菌(正式名称:Clostridium botulinum)や産生する毒素を口から取り込むことで、筋肉の動きが鈍くなり、様々な症状を引き起こす状態です。

ボツリヌス菌は土の中の酸素が乏しい環境を好む細菌で、芽胞というサナギのような状態で潜んでおり、産生する毒素は筋肉を麻痺させる効果があり、呼吸のために必要な筋肉を麻痺させると死に至ることがあります。

主に野菜やハチミツ、精製度の低い黒糖などの糖類、ソーセージなどの加工食品、井戸水などに入っているとされ、乳幼児突然死症候群と考えられている症例の一部は乳児ボツリヌス症なのではないかと考えられています。

1歳未満の乳児にハチミツを与える危険性


ハチミツは生ものであり、蜂の巣から採取したあと特に加熱殺菌されずに販売されていますので、ボツリヌス菌の芽胞が含まれている可能性があります。

乳児は腸内でボツリヌス菌を殺菌する能力が未発達で、大人であれば腸に辿り着く前に殺菌されるはずの菌が腸に届いてしまうと考えられています。

乳児ボツリヌス症の症状


初期症状


最初の症状として、消化管の筋肉の働きが落ちることによる便秘が3日以上続きます。

重症時の症状


・全身の脱力が起こる
・首が座らなくなる
・母乳やミルクをうまく飲めなくなる
・泣き声が小さくなる
・顔が無表情になる
・まぶたが落ちて目が開けられない
・汗が出ない
・呼吸ができなくなる
など

上記症状の後に、死に至ることがあります。通常嘔吐や発熱などは見られません。

乳児ボツリヌス症の検査、治療


検査


血液や便からボツリヌス毒素を検出しますが、非常にまれな病気であり、頻繁に検査をするわけではありません。

また、結果が出るのに時間がかかりますので、原因と考えられる食品から同じタイプの毒素が検出されると診断が確実になります。

他にも、筋肉の電気活動を検査する筋電図検査を行います。

治療


状態に応じて、ボツリヌス毒素に対する抗血清や、抗菌薬の治療が行われることがあります。

その他にもある乳幼児に注意が必要な食べ物

誤嚥しやすい食べ物



赤ちゃんは食べ物を飲み込む機能が未発達なため、食べ物によっては喉に詰まらせて窒息状態になったり、間違って食べ物が気道に入ってしまう誤嚥を引き起こす危険性があります。

以下の食べ物を与える際には、食べる前に細かく切るようにしましょう。

■ 注意すべき食べ物
・おもち
・固まりの肉

■ 野菜、果物
・豆類
・ナッツ類
・種入りの梅干し
・切っていないシイタケ
・ミニトマト
・ぶどう
・サクランボ

■ お菓子
・こんにゃくゼリー
・飴玉
・グミキャンディ
など

特にピーナッツなどナッツ類は脂肪を含んでおり、肺に吸いこむと肺炎を引き起こすことがあります。

アレルギーになりやすい食べ物



赤ちゃんは食べ物をきちんと消化されないことから、食物アレルギーを引き起こす可能性があります。

初めて食べた食べ物で、湿疹が出ていないかなどに注意を払うことが大切です。

■ アレルギー食品として表示が義務付け、推奨されている食品
・牛乳、卵、小麦、そば、大豆

■ ナッツ類
・落花生、カシューナッツ、くるみなど

■ 魚介類
・えび、かに、あわび、いか、いくら、さけ、さばなど

■ 果物類
・りんご、オレンジ、もも、キウイフルーツ、バナナなど

■ 肉類
・牛肉、鶏肉、豚肉など

■ その他
・まつたけ、やまいも、ゼラチン、ごま

上記の他、マンゴーなどトロピカルフルーツもアレルギーを引き起こしやすいと言えます。

与えてはいけないということはなく、むしろ避けすぎるとかえって免疫系が過剰に反応してしまうとも言われています。

初めて与える際には一匙だけにとどめ、アレルギー反応が出た場合にもすぐ受診できる平日午前中に与えるようにしましょう。

生の魚介類



鮮度の悪い生魚にはヒスタミン産生菌がいる可能性が高く、蕁麻疹を引き起こす危険性があります。

また、刺身、生の貝などは食中毒の原因となりやすいので、加熱する必要があります。

カフェイン、糖分の多いもの



カフェインなどの刺激物や、デザートなどで糖分が多いものを食べると寝つきが悪くなる場合があります。

油っこいもの



乳幼児の下痢の原因になります。

乳児ボツリヌス症にならないための予防対策


ハチミツを与えない


ハチミツは生ものであることを理解し、国産・海外産など産地によらず共通し、そのまま1歳未満の赤ちゃんに与えないようにします。

なお、ケーキ、カステラ、焼き菓子、煮物などにハチミツが含まれている場合は、加熱されていれば大丈夫です。

また、赤ちゃんがたまたま置いてあったハチミツを一回舐めてしまった程度では、乳児ボツリヌス症を発症する確率は非常に低いため、あわてず様子を見ることが必要です。

ハチミツ以外にも精製度の低い黒糖などにはボツリヌス菌が含まれている可能性があるのではないかとされていますが、各食品の出荷前にボツリヌス菌や毒素の有無を検査しているわけではなく、ハチミツ以外が安全なのかについてははっきりしません。

調理時の注意


ボツリヌス菌と芽胞は熱に強く、120℃で4分間の加熱が必要とされ、真空パック詰めの食品はあらかじめ120℃で4分間加熱するよう指示されています。

しかしボツリヌス菌毒素は熱に弱く、100℃で1〜2分程度の加熱で毒性を失うとされていますので、食品は十分加熱する必要があります。

保存時の注意


酸素が少ない環境を好むボツリヌス菌は真空パック内でも増殖するので、真空パックでも「要冷蔵」と書いてあるものは冷蔵保存する必要があります。

なお、1984年には真空パックの辛子蓮根によるボツリヌス菌中毒が発生しています。

《参照》
・東京都福祉保健局

乳児ボツリヌス症を発症した場合の応急処置


乳児ボツリヌス症の初発症状は便秘ですが、便秘は乳児ボツリヌス症に特有の症状ではなく、乳児ボツリヌス症かどうかの判断は医師でも困難です。

何の兆候もなくいきなり呼吸が停止するようなことは考えにくいため、便秘に加え、元気がない、筋力が落ちた、ミルクが飲めないなどの症状が重なった場合に病院を受診されることになると考えられます。

最後に医師から一言


乳児ボツリヌス症は1976年にアメリカで初めて報告され、国内ではハチミツ、野菜スープ、井戸水による発症が報告されていましたが、2017年に初めて国内で死亡例が報告されました。

非常にまれな病気であり、ハチミツをそのまま与えることをしなければ過剰に心配する必要はありませんが、知識を持つことは重要と思われます。

(監修:Doctors Me 医師)