Only_Kim / PIXTA(ピクスタ)

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 人にはそれぞれモチベーションの上がりやすい領域がある。私はそれをモチベーションファクターと称しており、「目標達成」「自律裁量」「地位権限」「他者協調」「安定保障」「公私調和」に区分している。前三者を牽引型(通称:狩猟型)、後三者を調和型(通称:農耕型)に分類している。
(参照:『相手を惹きつける話法ができる人はここが違う! 相手の「モチベーションエリア」を見極めるべし』、『企業が衰退する要因は「やる気の源泉が画一的」な企業体質にあり!?』)

 モチベーションファクターは千差万別だ。顧客の多様なモチベーションファクターに合わせて、自社のチームメンバーのモチベーションファクターを変える必要に直面することがある。採用や異動による方法で実現できなければ、既存メンバーのモチベーションファクターを変える必要が出てくる。既存メンバーのモチベーションファクターの中で、変えやすいのが、「他者協調」と「自律裁量」だ。
(参照:『チーム内の軋轢は「やる気の源泉」のギャップを解消すれば解決する!』)

 私はモチベーションファクターを変える取り組みはカルチャーチェンジのための最も有効な方法だということを経験的に実感している。今日行われているカルチャーチェンジプログラムは、メンバー全員であったり、キーとなるメンバーであったりする違いはあっても、対象とするメンバーに対して一律にアプローチする方法がほとんどだ。私は、一律にアプローチすることこそが、カルチャーチェンジが遅々として進まない要因であると考えている。

◆変えやすいモチベーションファクターの人から変える

 私が実践している、カルチャーチェンジは、モチベーションファクターを変えやすい人から変えるということだ。全員を一律に変えようとするから、変わらないのだ。キーメンバーを選んでも、さまざまモチベーションファクターを有するキーメンバー全員を一律に変えようとするから変わらないのだ。

 既存メンバーのモチベーションファクターの変更は、「他者協調」と「自律裁量」との間で実現しやすい。次に実現しやすいのは、「他者協調」の人と、その「他者協調」の人が持つ次に高いモチベーションファクターへの変更だ。その次が、「自律裁量」の人と、その「自律裁量」の人が持つ次に高いモチベーションファクターへの変更だ。だとすれば、これらの、変わりやすいモチベーションファクターへ変えるということをやっていけばよい。

 ある人の最も高いモチベーションファクターが「他者協調」で、次に高いファクターが「目標達成」だとしよう。だとすれば、その人のモチベーションファクターを「他者協調」から「目標達成」に変えるということだ。最も高いファクターが「自律裁量」で、次に高いファクターが「安定保障」だとしよう。だとすれば、その人のモチベーションファクターを「自律裁量」から「安定保障」に変えるということだ。

 事善の策は、「他者協調」か「自律裁量」かによらず、どのモチベーションファクターが最も高かったとしても、次に高いモチベーションファクターへ変えるということだ。そして、チーム全体でアロケーションして、他チームへ異動させたり、他チームから異動させたり、採用による補充も含めて、実現したいモチベーションファクターの構成にしていく。

⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=136029

◆変えたいモチベーションファクターの人と仕事をする

 では、肝心の、モチベーションファクターを変える方法は何か。経験的に最も確度が高かった方法は、変えたいモチベーションファクターの人と共同で仕事をすることだ。自チームの人でも他チームの人でもよい。チームを横断するプロジェクトでもよいし、小規模な作業チームでもよい。私はモチベーションファクターを判定するカード演習を開発し、必要に応じて実施しているが、早ければ1週間、時間を要する場合でも1か月で変わる。

 次に確度が高い方法は、変えたいモチベーションファクターの人をメンターにアサインすることだ。メンターとは、直属の上司とは別に、上下関係ではなくて、取り組みの状況を共有したりしながら、示唆や助言をする役割を担う。メンターとしての役割を発揮する中で、お互いに感化し合い、モチベーションファクターの移植が行われるケースが多い。

 もし、その人のモチベーションファクターを変えることに、少し時間をかけてもよい状況であれば、変えたいモチベーションファクターの人々ばかりのチームに、放り込むことだ。モチベーションファクターは、職位の差よりも、業種毎、企業毎の差が大きく、業種毎、企業毎に大きな特徴を持っていることが、その方法が効果を出すことの証左である。

※「モチベーションファクターを見極めるスキル」は、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月。ビジネス書ランキング:2016年12月丸善名古屋本店1位、紀伊國屋書店大手町ビル店1位、丸善丸の内本店3位、2017年1月八重洲ブックセンター4位)で、セルフトレーニングできます。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第32回】

<文/山口博 photo by AlexanderStein via pixabay(CC0 PublicDomain)>

【山口 博(やまぐち・ひろし)】株式会社リブ・コンサルティング 組織開発コンサルティング事業部長。さまざまな企業の人材育成・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。