Q:兄が前立腺がんになったので、自分もなるのではないかと心配です。前立腺がんの予防のために、できるだけセックスをしたほうがよいと聞きました。本当でしょうか。最近はセックスに縁遠くなっています。(42歳・自営業)

 A:前立腺がんは今後、増えると見られています。その理由は高齢人口の増加で、前立腺がんの約90%は60歳以上です。原因として、高齢に伴う男性ホルモンの影響や動物性脂肪の摂り過ぎが指摘されています。
 ご質問に関し、米国の権威ある医学誌『JAMA』に、射精の回数と前立腺がん発症リスクの関係についての論文が報告されています。
 それによると、20〜29歳の人では、「月21回以上の射精群は月4〜7回の射精群よりも有意に前立腺がんの発症リスクが低かった」とのこと。
 同様に、40〜49歳の人たちにおいても、「月21回以上の射精群は月4〜7回の射精群よりも有意に前立腺がんの発症リスクが低かった」と報告されています。
 一般的には、射精回数が多い人は、セックスの回数が多いでしょうし、精力旺盛で、よく食べ、よく飲む豪快な人が多いように思われます。

●聖人君主で妻と仲よく
 ですから、射精回数が多いと、BMI(肥満率)が高い、性病の既往が多い、アルコールやカロリー摂取量が多いなど、前立腺がん以外の原因で死亡するリスクが高くなることが懸念されます。
 ところが、この論文では、月13回以上の射精では前立腺がん以外の死亡リスクが1.8%上昇するものの、前立腺がんリスクは3.8%低下すると報告しています。
 射精の回数が多いと前立腺がんのリスクが減る理由については、男性ホルモンに影響するからではないでしょうか。精力旺盛でセックスの回数が多い人より、聖人君子のほうが前立腺がんにはなりやすいのですから、人生は面白いものです。
 とはいえ、嫁さんと仲よくしているのが、前立腺がんの予防と長寿の秘訣でしょう。セックス以外は聖人君主でいたほうがよいかもしれません。
 ご質問の方はまだ42歳と若いので、ぜひ嫁さんとの性生活を取り戻してください。

牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を実践。小山病院(大阪市東住吉区)院長。