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 カスタマージャーニーの本質は「変化を生み出す仕組み」であり、そのためには「2本のカスタマージャーニー」で考えることが基本だと知っていましたか?「作ってみたが、使えない」という意見も多いカスタマージャーニー。もしカスタマージャーニーという言葉を聞いたことがあり、茫洋と「消費者の行動や感情変化を描いたアノ絵でしょ」と思われていたら、本連載を読んでみて下さい。カスタマージャーニーの本質に近付けます。

■「モノ」を「価値」に変換する

 マーケティング業界にいるとパーチェス(購買)ファネルや行動モデル、ブランド体験、O2Oなど「企業から見た消費者行動の枠組み」が大義となりがちですが、デジタルの体験もリアルの体験も含め、実際は「生活」という大きな枠の中で起こっています。そして消費者にとって一番大事なのも生活です。

 生活上でメリットが得られなければ、消費者には当然価値を感じてもらえません。価値にならなければ、購買にも至りません。従って企業がマーケティングを考える上では、「どうモノやサービス、ブランドを生活上の価値に変換するか」が重要になります。

 カスタマージャーニーは、「生活の中で製品やサービスの役割が認識され、選択され、使われ、生活上の価値となる」一連の動線、つまりモノが生活上の価値になるコト=体験を表現します。もちろん、この動線は企業側が設定したゴールに向かって直線的に進むわけではありません。途中で止まることもあれば脱落することも、競合へスイッチするジャーニーもあります。そうすると、企業にとっては「モノやサービス、ブランドが生活上の価値になるように、いかにカスタマージャーニーを管理するか」が課題となります。

■カスタマージャーニーは、「変化」を狙って生み出すツール

 カスタマージャーニーを軸にしたマーケティングの利点は何かを一言でいえば、「変化に特化したマーケティング」であり、他の手法と何が違うのかといえば、カスタマージャーニーは「変化を設計管理するツール」であるという点です。

 カスタマージャーニーは、"ブランドが実現すべきカスタマージャーニー"を「ゴール」 として、

 ・現状のジャーニーのどこにどんな問題があるのか「診断」

 ・何が原因でその問題が発生しているのか「分析」

 ・どんな変化が必要なのか、どうしたらその変化が起こせるのか「施策」

 ・その変化を起こすと、ビジネスにどんな利益があるのか「根拠」

 という「変化のストーリー」を立案するのに効果的なツールです。

 ここでいう変化とは「体験と結果の変化」を指します。試してもらう、クロスセルを増やす、ブランドに好意を持ってもらう、このようなゴール設定は「結果の変化だけ」に言及しています。

 カスタマージャーニーを軸としたマーケティングでは、カスタマージャーニー上の特定の箇所に連鎖的な変化を起こし、消費者の生活の中にブランドが実現したい一連の体験を発生させることで、ジャーニーを変化させると同時に結果も変化させることを狙います。つまり、結果の変化に加え、それに必要なプロセスの変化も最初からセットでゴール設定を行うわけです。

村山 幹朗[著]