残業できないシングルファーザーは会社に評価されない!? 年収も半減に

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働き盛りの30〜40代。賃金カーブも右肩上がりの時期に伸び悩み、年収300万円に甘んじてしまう“稼げない病”に罹る人が増えているという。マジメに働いているにもかかわらず、なぜ低年収に陥ってしまうのか。貧困とは違うニュープア層の実態に迫る!

●筒井淳一郎さん(仮名・37歳)の場合
年収340万円/独身 子供1人
大学卒業後、イベント会社に就職。コンサートや新商品のプロモーションなど数々のイベントを手掛けていたが、離婚後に育児専念を理由に内勤の総務部へと異動した

◆離婚した妻が親権を放棄。育児を優先させるため年収半減の部署に異動!

 “働きたくても働けない”要因の一つとなる育児。育児を理由に「出世の道が絶たれてしまった」と嘆くのは、イベント会社勤務でシングルファーザーの筒井淳一郎さんだ。

「2年前、妻の不倫が原因で離婚しました。彼女は当時3歳の子供の親権を放棄。両親を頼ろうにもウチは病気がちの父親しかおらず、子供を育てられるのは私しかいなかった。当時、課長に相当するマネジャー昇進が内定していたんですが、残業時間が増えるのは目に見えていたので、辞退せざるを得ませんでしたね」

 上司からは辞退を思いとどまるように何度も説得された。しかし「仕事を取れば子供と離れて暮らすことになる」と息子との生活を選択。社内では花形部署のイベント制作部を離れ、内勤のみで残業もほんどない総務部に異動した。

「イベント制作部は残業も休日出勤も多かったですが、ウチの会社は超過勤務分をちゃんと払ってくれる会社でした。ただ、逆をいえば、残業しなければ評価されない会社。ボーナス査定もそれまでのトップ級の評価から新人OL並みの評価に下がり、異動初年度の年収はおよそ半額の320万円。それから2年たって多少は増えましたが、それでも年収は340万円です」

 収入を犠牲にしたものの、子供と過ごす時間は十分確保できたが、既婚時の貯金500万円は元妻が男に貢いで使い切ってしまい、財産分与と相殺で戻らずじまい。貯金は離婚後に貯めた80万円しかなく、子供を育てるには心もとない。

「今の収入では子供の小学校は公立の一択。出費を少しでも抑えようと家賃5万5000円の1DKアパートに引っ越しました。物価の高い東京で暮らす大変さを身に染みて感じています。子供を夜まで託児所に預けて働けば収入を増やすこともできますが、それをするにはまだ早いと思うんです。せめて小学校3年くらいになればイベント制作部に復帰なんてことも考えていますが……」

 しかし、かつての同僚や部下が「社内的にあの人は過去の人」と話していたとの噂を耳にし、元の部署に居場所がない。会社的にも「育児優先」が理解されない風潮なのも感じているという。

「育児優先では転職のタイミングも完全に逃しそうですが、やはり子供を犠牲にはできない。少なくとも再婚すれば育児を相手に任せられ、問題が一気に解消されるのですが、肝心の相手がいない。まあ、年収アップや育児を任せる相手欲しさに再婚を考えている時点でダメなんでしょうけど」

 愛する我が子と過ごす貴重な時間は手に入れた。だが「幸せ」と呼ぶには、やはり年収300万円台では足りないようだ。

― [死ぬまで年収300万円]の病巣 ―