攻守両面でアグレッシブさを貫いた神戸弘陵。昨季を越える「6位以内」が目標に定める。写真:森田将義

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 傍から見れば、単なる勝点1かもしれない。しかし、神戸弘陵がプレミアリーグWESTの開幕戦で東福岡から奪った勝点1は、チームの確かな成長が伺える大きなモノだった。
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 前半の狙いは明確だった。
 
「開幕なので相手の出方を見ながら、慎重に試合に入ろうと考えていた。相手の特徴は分かっていたので、そこをしっかり対処するため、ブロックを作ってサイドを崩させないようにして、カウンターを狙っていた」
 
 谷純一監督がそう振り返ったように、目ざすのは徹底した守備からワンチャンスを掴むスタイル。この策が見事にハマり、前半は守勢に回る時間が続きながらも、速攻から東福岡と同じ2度の決定機を演出した。
 
 しかし、試合前に谷監督が「チャンスは共にあると思うので、決定力の差が勝負を分けると思う」と予想していた通り、11分にDF権勝星の左クロスから放ったDF田中滉大のヘディングがクロスバーに阻まれた神戸弘陵に対し、東福岡は21分に訪れた決定機をMF福田湧矢が冷静に決めて先制に成功し、前半を折り返した。
 
 後半の立ち上がりもペースは変わらず東福岡。62分、MF木橋朋暉に直接FKでリードを広げられたが、神戸弘陵は積極的に交代カードを切って反撃を開始。69分にFW住田翔の追撃弾で勢いに乗ると、残り25分を切ってからはテンポの速いパス回しで主導権を握った。すると74分,MF高野裕維のFKを田中が頭で合わせて同点に追いつき、さらにFW立岩玄輝を投入して勢いを加速させたが……。勝ち越し弾は奪えず、2対2でタイムアップを迎えた。
 
 昨年度の東福岡との対戦成績は2引き分け。前期の対戦は、ブロックを敷いて“守るだけの状態”で掴んだスコアレスドローだったが、後期の対戦は防戦一方ではなく、カウンターから見せ場を作っての、1対1だった。
 
 そしてこの日は、昨年の戦いに加えて、神戸弘陵らしい選手の距離間に拘った小気味良いポゼッションサッカーも披露。「本当にしたたか。前半はロングボールに徹して、後半は足下で繋ぐという狙いが見えたし、ブロックが堅かった」と敵将の森重潤也監督も称える戦いぶりだったが、谷監督は「もう一点獲りたかったのが正直なところ」と悔やんだ。
「(東福岡の)シュートの強さやシュートレンジの広さはさすがだった」
 
 谷監督がそう口にしたように、個の能力で見れば、まだ大きな差があるかもしれない。ただ、東福岡は19年ぶりの出場となった2年前のインターハイの2回戦で、1-8の大敗を喫した相手だ。試合前から“東福岡”というブランドに名前負けし、怖気づいていた当時の姿はもうない。この日も引き分けに持ち込めたことを喜ぶ選手はおらず、感情を露にし、ドローという結果を悔やむ選手のほうが目についた。
 
 MF竹村史明もそのひとりで、「最初から勝ちに拘っていたので、引き分けたのは悔しい。昨年初めて対戦した際はなにもできなかったけど、対戦するうちに東福岡だからと言って、ビビることはなくなった。そこはプレミアで戦ううちに成長した部分だと思う」と胸を張った。
 
 チームが毎年掲げるテーマは「昨年越え」。今年は、昨年の7位を上回る6位以上でシーズンを終えるのがノルマだ。
 
「短い期間ではありますが、選手もスタッフもチーム全体も成長している」(谷監督)
 
 その手応えをより確かなモノとするため、神戸弘陵は成長速度を緩めることなく、前進を続ける。
 
取材・文:森田将義(フリーライター)