中国は米中首脳会談の成果を大きく強調したが、共同記者会見もないという異常事態。会談直前の北朝鮮のミサイル発射と会談中の米国によるシリア攻撃により顔に泥を塗られながら、習近平が笑顔を保った訳とは?

顔に泥を塗られながら、笑顔を保った習近平

米中首脳会談の開催を目前にした北朝鮮は、4月5日、またもやミサイルを発射した。

トランプ氏が大統領選中に「ハンバーガーでも食べながら金正恩(キム・ジョンウン)と話をしてもいい」という主旨のことを言ったものだから、北朝鮮はトランプ氏が大統領に当選した昨年の11月8日から今年2月12日まで、ミサイル発射を控えていた。ひょっとしたらアメリカの次期大統領が自分と会ってくれるかもしれないと期待していたからだろう。 

北朝鮮には「アメリカに振り向いてほしい」という強い願望がある。金正恩のあまりのならず者ぶりに今では見えなくなっているが(そして感覚的に受け入れにくいが)、1953年に休戦協定で終わった朝鮮戦争を停戦協定(平和条約締結)に持って行ってほしいというのが、もともとの始まりではあった。53年7月に南北軍事境界線の板門店で休戦協定に署名したのは北朝鮮とアメリカだ。だからアメリカに振り向いてほしい。停戦になれば、在韓米軍の必然性が消える。「ならず者国家」は、たしかに今ではもうそれだけではなくなっている。核保有国として認めろという姿勢を崩していない。

しかしアメリカ政治に詳しい早稲田大学の中林美恵子氏によれば、アメリカ政界(の一部)では「いっそのこと北朝鮮とは平和条約を結んだ方がいいのではないか」という声が、いま出始めているとのこと。

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だが、その声はまだ小さいのだろう。

2月12日に北朝鮮がミサイル発射の抑制を破ったのは、2月3日に米韓の間でTHAADの年内配備で意見が一致したからであり、2月10日に開催された日米首脳会談で北朝鮮に対して核・ミサイル開発の放棄を要求することを意思表明したからだろう。この時点で、「トランプは自分とハンバーガーを食べることはない」と判断したにちがいない。

だから安倍首相が訪米してトランプ大統領と首脳会談を行った最終段階でミサイル発射を再開している。

となれば、4月5日の北朝鮮によるミサイル発射は、米中首脳会談を牽制するために行なったものと考えるのが普通だろう。

遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)