「シムズ理論」が成功しても庶民だけが損をする理由

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『週刊ダイヤモンド』4月15日号の第一特集は「思わず誰かに話したくなる 速習!日本経済」です。今、働き方改革の進展、シムズ理論の台頭、AIの劇的進化──と、日本経済は大転換のさなかにあります。特集では日本経済のさまざまな疑問に対し、例え話を盛り込みながら解説します。思わず話したくなる速習講座のスタートです。

増税せずに債務減「シムズ理論」とは?

 財政拡大を正当化するシムズ理論が話題だ。この理屈が分かれば上司にも一目置かれるはず。しかし、よくよく聞くと、政府には都合がいいが、庶民は犠牲を強いられる理論のようだ。

 たとえば、借金をしたいだけして、楽に返すことができる。そんなうまい話があれば誰でも飛び付くだろう。

 通常は、そんな話は存在しないのだが、今の政府の中にはうまい話が存在すると思っている人もいるようだ。今話題のシムズ理論である。増税せずにインフレで財政赤字を小さくし、債務残高を減らせるという夢のような理論だ。

 元となる「物価水準の財政理論(FTPL)」の提唱者である米プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授は、2011年にノーベル経済学賞を受賞している。

 シムズ理論に基づいて、財政再建のメカニズムを説明してみよう。

 まず、政府が物価上昇率の目標達成(日本では2%)までは増税しないと宣言する。その上で減税を行い、公共事業などを増やして財政を拡大する。

 所得が増えた国民や企業が、消費や投資を増やす。ここで肝心なことは、増税をしないという政府の宣言を国民や企業が「信じる」ことである。将来、増税するのであれば、増税時に備えて貯蓄をしようとするから、消費や投資を増やそうとはしない。

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