ソチ五輪出場時の羽生結弦【写真:Getty Images】

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引退、結婚、出産…様々な現在地も、変わらぬ「羽生時代」をレポート

 フィギュアスケートの世界選手権(フィンランド・ヘルシンキ)のフリーで歴代世界最高得点を更新し、3年ぶりの優勝を飾った羽生結弦(ANA)。14年ソチ五輪の金メダリストが3年ぶりに世界王者に返り咲いたが、米メディアはソチ五輪で金メダルを獲得した選手たちの今を特集。他のゴールドメダリストが引退、結婚、出産など、分岐点を迎える中、当時19歳で栄冠を勝ち取った羽生の現在地を伝えている。

「彼らは今、どこで。ソチのフィギュアスケート王者たち」とのタイトルで特集したのは、米テレビ局「NBC」電子版だ。

 特集の筆頭で日本のエースが登場。3年前の衝撃をこう振り返っている。

「ユヅル・ハニュウはソチで歴史的な活躍で金メダルを獲得した。ショートプログラム(SP)で100点以上を獲得した史上初の男子スケーターとなり、男子フィギュアで日本人初の金メダリストとなり、約60年間で五輪最年少王者となった。羽生が母国に戻ると10万人近い人々がパレードに集結した」

 様々な歴史を塗り替えたソチ五輪での優勝から、仙台市で行われた凱旋パレードには多くのファンが殺到したことを紹介している。しかし、当時19歳の日本の若者が栄光に慢心しなかったことも、こう伝えている。

練習中の衝突事件、次々現れるライバル…それでも「羽生時代」は変わらず

「彼はリラックスしてオリンピックの勝利の余韻に浸ることはしなかった。数か月後には2014年世界選手権を戦い、金メダルを勝ち取ったのだ」

 2013-14年シーズンにグランプリ(GP)ファイナル、五輪、世界選手権を制覇。翌シーズンには11月のグランプリ中国大会の練習中に他の選手と衝突しながら戦い抜き、故障明けのGPファイナルでは2位のハビエル・フェルナンデス(スペイン)に34点以上をつける自己ベストの得点で優勝したことも伝えている。

 そして、フェルナンデスに続くライバルとして今季登場したネイサン・チェンを「世界を高得点の4回転ジャンプで震撼させたアメリカのティーネイジャー」と紹介した。

 しかし、羽生は4連覇を達成した16年のGPファイナルに続き、今季の世界選手権もチェンを下して優勝した。「チェンは手痛いミスで6位に落ち込む一方、羽生は2度目の世界選手権タイトルを手にした」と3年ぶりに世界王者に返り咲いたことを記述している。

 SP(15年12月GPファイナル)、フリー(17年世界選手権)、合計得点(15年12月GPファイナル)の世界記録を保持しているなど、ソチ五輪後も「羽生時代」が続いていることをレポート。その一方、羽生以外の五輪王者は様々な道を歩んでいる。

故障、結婚、出産、引退…そのほかの五輪王者たちの現在地は?

 女子シングルを制したアデリナ・ソトニコワはソチ五輪後、故障に苦しむなどで大会への参加はまばら。16年のロシア選手権で6位に終わった以降、公式戦に参加していない。20歳の美少女は現役引退したエフゲニー・プルシェンコがコーチを務めているとしている。

 アイスダンス金メダルのメリル・デイビスとチャーリー・ホワイト(米国)は2月22日にオリンピック連覇を目指さないことを表明したという。

 ペア金メダルのタチアナ・ボロソジャルとマキシム・トランコフは15年2月に婚約。ボロソジャルが妊娠したために、2人は16-17年シーズンの公式戦出場を回避することを発表。長女は2月に生まれたという。

 団体優勝のロシアはエースに君臨していたプルシェンコが今年4月引退したことを紹介している。

 ソチ五輪からわずか3年。フィギュア界も大きな変動を遂げているが、世界の中心に羽生がいることは変わっていない。平昌五輪で2大会連続の金メダルが期待される日本の22歳は、今後どんな歩みを見せてくれるだろうか。