何かの歯車のひとつが噛み合わない。その、ほんのわずかな誤差が、松山英樹のゴルフのすべてを狂わせている──。


3日目も、なかなかパットが決まらなかった松山英樹 マスターズ2日目を終えて、通算2オーバー。いよいよムービングサタデーの3日目、上位に食い込むチャンスはいくらでもあるし、今の松山の実力ならば、それは決して夢ではない。確固たる裏付けとともに、実績として残してきているからだ。

 でも、何かが違った。いつもの松山と、違った。

 オーガスタの攻略とゲームマネジメントは、すでに熟知しているはずなのに、思わぬところでボギー、さらにはダブルボギーを叩いてしまうのだ。

「状態がやっぱり……、なかなか上がってこないのが、そのまま(結果に)出てしまった」と松山。ひと言で突き詰めてしまえば、まさにそのとおりなのだ。

 3日目。2番、パー5でボギー。ありえないスタートである。

 本来ならば、ここでイーグルとまで欲張らなくとも、バーディーはとれる。ここでひとつ沈めておくと、波に乗れるはずなのに、いきなりボギーである。このボギーが、6番、7番ホールの連続ボギーを誘発してしまった。

 前半の9ホールを終えて、ひとつ沈めて「35」でプレーすると、後半のアーメンコーナー(11番〜13番)での、バーディー攻勢への序章になる、というのが過去のデータで示されている。それは、松山も十分に承知しているのに、そのレール、波に乗れないのだ。

 さらに、10番パー4でやっとバーディーを奪ったが、”ここから手直ししていこう”という踏ん張りが、この日はすべて裏目となってしまった。

 後半は、とりわけアイアンショットの切れ味は鋭かった。でも、それがスコアに反映されないもどかしさが、積もり、積もっていく。その点については、松山も落胆の表情で語った。

「そうですね、それが(スコアに生かされて)続けばいいんですけどね」

 そんな中にあっても、圧巻だったのは、15番パー5のイーグルだった。見事な第2打を放って、2.5mにピタリ。それを、きっちり沈めた。

 ここで、スタート時点のスコア、通算2オーバーにようやく戻した。

 再び、誰もが明るい希望を抱いた。まだ優勝争いに加わるチャンスはある。上位が伸び悩んでいるからだ。なんとか、あとふたつバーディーをもぎとって通算イーブンに戻せば……と。

 ところが、その後もチャンスにつけながら、カップをほんの少しだけ外れていく。

「これだけ入らなかったら、意味がないです」

 そう、松山は言葉を吐き捨てた。

 確かに、そのとおりだ。よく「スイッチが入る」と言うけれど、今回の松山のゴルフは、スイッチを入れるタイミングやチャンスを妨げられてしまう流れしかめぐってこないのだ。

 それこそ、たったひとつの歯車の狂いだと思う。パッティングだ。

 ほんの1ライン、いや、手のひらと指先にある脳(感覚)がわずかに噛み合わない。タラレバを言えば、数え切れないほどの惜しいパッティングばかりだった。

 その、わずかな歯車の狂いが、最後の18番ホールで顕著に露見した。まるでノックアウトパンチを食らったようだった。

 なんと、4パットのダブルボギーだ。

「最後で、(すべてを)かき消されましたね」と、松山は言った。

 残り1日、18ホール。松山はどんなゴルフを見せてくれるのだろうか。

 どこかで、この歯車を修正していかなければ、今後に尾を引いてしまいかねない。その歯止めのためにも、重要な最終日になると思う。


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