撮影当時のエピソードを明かした妻夫木聡

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 俳優の妻夫木聡が8日、熊本県で開催中の「くまもと復興映画祭 Powered by 菊池映画祭」で行われた特集上映「俳優・妻夫木聡」に来場、熊本の観客の熱烈な歓迎を受けた。

 現在、地震で甚大な被害を受けた熊本城の復旧・復興のための寄付金を送った人を「復興城主」として任命する制度が熊本市で行われているが、会場にやって来るなり、「復興城主の妻夫木です」とあいさつした妻夫木に、会場は大盛り上がり。妻夫木自身は福岡県の出身だが、かつて航空会社に勤めていたという妻夫木の父の勤務地が熊本空港だったという縁もあり、「よく熊本には行っていたんで、早速城主になりました」とコメント。会場を大いに沸かせた。

 今回の映画祭では妻夫木が主演する『ジョゼと虎と魚たち』と『ぼくたちの家族』、そして行定勲監督とタッグを組んだ『春の雪』の三本が上映された。中でも足が不自由な少女ジョゼと大学生の恒夫とのラブストーリー『ジョゼと虎と魚たち』は妻夫木の代表作のひとつとして高く評価されているが、この日、観客と一緒に作品を鑑賞したという妻夫木は「久しぶりに観ましたけどいい映画ですね。14年前とは違った見方ができます」としみじみ。

 「本当にスタッフは優秀な方ばかりだったんですよ。監督も役者もスタッフも含め、みんなが熱くて、ひとつになれた作品だった」と続けた妻夫木は、本作のクライマックスで、ジョゼ(池脇千鶴)が魚を焼いているシーンについて、「あのシーンを撮っている時、美術さんにこの魚ってなんですかと聞いたら、サワラだと言っていたんです」と述懐。「サワラというのは、魚へんに春なんで、これをジョゼに焼いてほしかったんですと言っていて。そこまで分かる人は少ないでしょうけど、そこまで作品にかけているんだなと思ったら涙が出てきちゃって。僕はサワラで泣いていました。魚で泣いていたのは僕くらいですが」と付け加え、笑ってみせた。

 それを受けた行定監督は、「撮影中は、演出家から離れていて、呼ばれたら来るという俳優が多い中、妻夫木は気付いたら僕のそばにいる。そういう俳優ってなかなかいないんですよ。それは彼が、演出家が何を考えているのか、作り手の立場に立っている人だから。だからこそ、先ほどの美術のエピソードも出てくるんだと思う」と感心した様子で付け加えた。(取材・文:壬生智裕)

「くまもと復興映画祭 Powered by 菊池映画祭」は9日まで熊本県内各所で開催中