では、寿命を縮めるほどまでアルコール依存症に進むタイプにはどんな人が多いのか。
 東邦大学医療センター大橋病院の精神科担当医によれば、「アルコール依存症の患者さんはおおむね三つに大別できる」として、次のように分類する。
 (1)時間を持て余している定年退職者。
 (2)背景に発達障害や躁鬱病、パーソナリティー障害などを抱え、ストレスをため込みやすい20〜30代の若者。
 (3)40〜50代で仕事におけるストレスが強く、昼夜の区別がつかない仕事に就いている場合。
 「これらの人たちは、連日飲酒するまではいかなくても、平日は我慢できるが週末や休日前などには大量にお酒を飲むタイプが多い。さらに、休日は朝からお酒が手放せず、飲まないと眠れない、よく寝酒する、などという人は注意が必要です」(同)

 こうしたアルコール依存症から逃れるにはどうすればいいのか。前出の担当医は次のように解説するが、治療に関しては難しいという。
 「まず、お酒に対する誤解を正すことです。例えば、リラックスできて寝やすいからと寝酒をする人がいますが、それは大間違い。脳には麻酔がかかるので、意識は“寝ている”状態になりますが、体はお酒を分解するために活動しており、質の悪い睡眠しか得られません。つまり、寝ながら走っているようなものなのです。また、糖尿病でも焼酎など糖質ゼロの蒸留酒なら大丈夫という考えも間違っている。アルコールが血糖を抑えるインスリンを分泌する膵臓に負担をかけるため、さらに糖尿病が悪化します。結局のところ、依存症を救う治療法は、断酒以外の選択肢はないのです」
 お酒も少量なら血流がよくなり、健康にいいとのデータもある。しかし、適量を超えたデメリットが非常に大きい。よく“ポリフェノールが多いワインは体にいい”と言われるが、ビールの倍以上のアルコール分が含まれており、やはり飲み過ぎは問題だ。

 今のところ優れた治療法がないアルコール依存症だが、民間組織としては、断酒会やAA(アルコール・アノニマス=アルコール匿名会)などの自助会があり、治療の場となっている。また医療機関としては、アルコール専門クリニックや精神病院のアルコール専門病棟、一般精神病院などがある。
 一般的精神障害からアルコール依存症までを専門的に治療する、都立松沢精神病院外来担当医は言う。
 「日本のアルコール専門病棟の大半は、断酒の動機づけを入院条件にしており、2〜3カ月の入院期間中に、患者自治会の主導で断酒会やAAへとつなげているのが現状です。とにかく、酒好きは1人にならないことが大切。アルコール依存症の人やその予備軍は、お酒を1人ではやめられません。1人暮らしの方は、可能ならば実家に帰るのも手です。そして、早めに医療機関等へ相談してください。寝酒をしている人は医師に相談し、睡眠導入剤などに切り替えましょう」

 その前に、まずは自覚が必要となることは言うまでもない。