映画は死んでいる!?オリジナル脚本が少ない理由とは

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映画監督のマーティン・スコセッシはアカデミー賞の授賞式後の雑誌インタビューでこう述べている。「映画は死んだ」と。彼の25年越しの作品『沈黙 -サイレンス-』(現在公開中)は、どの部門でも受賞とはならなかった。近年アカデミー賞でも続編や原作ものが目立つようになったのはなぜなのか。

■デジタル作品は進化ではなく衰え?
現在映画界は激動の時代を迎え、変化を迎えている。120年続いた映画はフィルムという概念はもはや完全に存在しない、より手軽で誰でも映画を撮ることができるデジタル撮影で作られている。フィルムからデジタルへの移行は私たち観客側からすると、さほど問題ではないように思える。むしろCGなどを自由自在に作ることができ、映画の幅が広がったような印象を受けるが、これが落とし穴となるかもしれない。撮影が簡単になり、どんな世界でも表現できる。だからこそ近年、技術に頼るばかりの映画が目立つようになっている。見た目や俳優のインパクトでの宣伝方法が多くなり、映画は第7芸術から完全に娯楽消費物となった。すると、何が起きるのか。脚本家の衰えである。セリフや人物の関係性でなく、やりたいことを無理にでもできる。脚本がだめでも見た目のインパクトがある映画は作れてしまう。内容を濃くしようとすると、もはや原作に頼るしかないのが現状であるといえる。

■原作ファンで客を呼べ!?
ハリウッドの映画興行収入は依然よりもそこまで落ちているわけではない。歴代映画興行収入ランキングで『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)や『アベンジャーズ』シリーズなどは上位5位以内に食い込んでいる。しかしどれもが原作、またはシリーズありきの映画なのである。2010年以降の作品で興行収入20位以内に入ったオリジナルストーリーの映画は、『アナと雪の女王』(13)しかない。これもアニメ作品であり、実写作品となると上位40以内にも入ってこない。観客は新しいものではなく、面白いとわかっているものを求めてしまうのである。そして映画制作側も必ず売れるものをつくろうとする。近年配給会社ではまず、オリジナル作品が企画すら通らないとされている。これでは若手監督、脚本家はまったく育たない環境であるといえる。こうした現状はハリウッドだけではなく、世界の映画界で起こっていると言われている。